序:第五話 今後の方針
話が進まん
〜村人たち(?)〜
「いたか?」
「いや,俺たちは見てない.」
「本当にいたんだって!遠くからだったけど間違いないよ.二人組で.」
と少し幼さが残る少年が焦って言った.
「いや,疑ってる訳じゃないんだけどさ.俺たちもこの山での狩りにはなれてるって自負がある.
この人数で網張って見つからないんじゃもう帰っちまったてことなんじゃないか?もう日も暮れる.村に戻ろう.」
「そうだな.あとは村長にも相談して決めよう.夜の怖さはお前たちも知ってるだろう?」
リーダー格らしい男二人が少年をなだめつつ方針を決めた.
「・・・分かったよ.」
しぶしぶだということを隠そうともしないで少年はうなずいた.
「さて,野郎ども.村に帰っぞ.」
「うーす」
〜漂流者ズ〜
「・・・行ったみたいです.」
「よかった.さすがに夜に探索する程,無謀じゃなかったか.」
「でも,そんなに危ない森じゃなかったですよ?食べられる実とかキノコとか多かったですし.」
「「え?」」
「こっちは危ない感じの動物しかいなかったぞ.木の実とかキノコも全くなかったし.あったのは固くて太くて重い木だけだ.」
「そうですね.しかもそれを倒して軽々運んでる人もいましたし.」
「危なかったね〜.この森は二つに分かれてるのかもね.」
「ちょっと待て.なにげにスルーしようとするな,ここにはそんな筋力特化型のナノマシンを使う人間がいるのか?」
と今回森に入らなかったイレーヌさんが聞いてきた.
「人間にはない器官がありましたし,正確には人間とは言えなさそうでした.何よりナノマシン制御を受けている人間特有の体表温度分布が見られなかったのでナノマシンをここの人は使用していないでしょう.IISも感知されませんでしたし.」
「ナノマシンなしで大木を一人で運ぶなんて不可能だ.」
「おそらくあれは重力を制御していました.」
「・・・小型の重力制御装置か?しかしそんなもの開発されていない筈だが.」
「僕もそう思いました.しかし,装置らしきものを保持している様子はなく.」
「ではいったい?」
「分かりませんが.ここの人特有の性質かなにかとしか.」
「それはここでは全員に言えることなのか気になるな.」
「ちょっといいですか?」
とヤンさんがすまなそうに話に入ってきた.
「森に入った感じだと食料は問題なさそうですが,その人たちがいたことで状況は変わってきました.どうもあの森はその人たちのものだったようですし,勝手にいただくとその人たちの怒りを買ってしまうでしょう.あの人たちと交流を持って食料を分けてもらうようにお願いしてはどうでしょうか?」
「たしかにね.このままここで食料を取ってたら今日みたいに見つかるしなぁ.」
「しかし,使用言語が分かりませんよ?ある程度は解析できましたが,まだまだです.」
「そうですね.言葉がわからないとちょっと怖いかも.」
「じゃあ,彼らの村の会話から言語解析を行いそれから会いにいこう.」
「そうしましょうか.」
「じゃあ,今日はもう遅いし寝よう.」
「じゃそれぞれの宇宙艇で眠ろう.」
みんな疲れていたのかすぐに眠ってしまったようだ.
しかし,さっきの話し合いでは全く話題に出なかったことを俺は考えていた.
「俺たちは帰ることができるのだろうか」
みんな思っていたに違いない.それでも話題に出なかったのは何となくみんな感じていたからだろう.
「ここは太陽系にない星で救難信号も届かないのだろう.」
と.
〜村人たち(?)〜
「みんなの手前,安心させるようにああ言ったが,奇妙なやつらだ.」
「ああ,森で見つかった.足跡の種類は四種類.しかも森を歩きなれてない奴らだ.」
「そのくせ俺たちの動きを読んだかのように逃げやがった.」
「この辺りを探っていたようだったが,食い物を集めてもいたようだ.」
「変だな.」
「ああ,変だ.」
「穏やかじゃないな.まさか本当に‘共和国’の奴らだったのか?」
「かもな.でもなんで食い物を集めてたんだ?間諜なら足跡を残したくないだろう?」
「目的はこの際おいておけ」
「「村長」」
「取っていった食料は20人分は超えておったのだろう?それをもし毎日取られでもしたら,森には今後食料を期待できなくなってしまう.わしらは来年育つ分も考えて取っておる.」
「確かに」
「税金でかなり持っていかれとるわしらには森の恵は生命線だ.無視はできん.しばらく村の男衆で見回りをするしかないな.」
「わかったよ.村長.男衆には俺から言っとく.」
「頼んだぞ.」
「シンシアにも村長から頼んでくれないか?」
「ワシからか?」
「娘でしょ?」
「一応言うが,あいつはへそ曲げると話を聞かんくなるからな.女扱いしろというだろうな.」
「あいつはこの村で一番強いからな.みんなついついあいつを頼っちまう.」
「そこは反省しとる.」
話が進みません