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機械化少年の異世界史  作者: 噛ませ犬
第4章 帝国編 2
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帝国編:第二十二話 廃墟の歩き方~廃墟だからといって無断でモノを持ち出してはいけない、窃盗である!

廃墟

いいですね

廃墟

いいです


 起きて先ずした事は硬いベッドのせいでがっちがちに固まった体をほぐす事だった。いつか気持ちいい起床ができるベッド環境を手に入れたい、義弘です。


 今日は自分で決めていた日曜日である。休日である。安息日である。毎日を漫然と生きるのはメリハリが無くどうにも上手くない。

 そこで、こちらには無い安息日を設けてみたのである。というわけで今日は(自主)休日である。


 手元にはある程度まとまった金もあることであるし、なによりあの悪魔のような子供から離れた地で開放的な気分に浸ろうではないか!


 しかし、どうであろう。元々休日にはじけるタイプの人間ではない。そんな人間が南国に来たからといって開放的になるだろうか。


 ペルセポネ様にいただいた礼装は大事にしまっておき、分相応な普段着を着る。そして宿屋を出て森に出た。森に出るといっても町の外壁を出ればすぐに森なのであるが。


 なぜ森なのかといえば、森の中に精霊術が生じない『忌み地』があるという話を昨日テイアさんから聞いたからである。そのような『忌み地』が世界中の各所にあるという。


 この話を聞いたとき俺は思った。そこなら平和に暮らせると。今日はそこに入ってみることにしていた。


 

 火の神殿前の商店を回ったときに、装飾品が売っていたので立ち寄って色々話を聞いているとこれは『精霊石』というものを使って作られているという。『精霊石』とは精霊の力が入っている石らしく何回か使えば効果を失う程度のものらしい。中には半永久的に使えるものもあるらしいが。効果を失った石は精霊術師なら補充可能だという。

 つまり、これを使えば精霊術を使えるということである!そこで私はライターを買った。ここは火の神殿前である。当然火の精霊の精霊石が手に入りやすく、必然廉価である。


 ここで疑問が持ち上がる。ここの皆さんは精霊術を誰でも使えるはずである。ならばこんなものは無用の長物ではないか?なぜこれを売るという商売が成り立つのか?

 それはどうやら人によって使える精霊術に種類があるらしく、使えない精霊術を補完するためにあるらしい。

 だから、切れればご近所さんにその系統の精霊術を使える人がいれば補充してもらうらしい。

 ただ、何回か補充を繰り返すとだんだんすぐに切れるようになって来るという。まんま携帯の充電電池ですね。

 その石はその組成はSiO2(二酸化珪素)、要は水晶である。これの不純物の少ないものほど効率が良い様である。純度が高いほど高価だったものだからさ!


 そこでそこそこ純度があって(ようは長持ちしそうで)、廉価なライターを買ったわけである。そのライターの火をつけながら例の『忌み地』へと近づくことでどのあたりからその忌み地であるのか判断しようという考えである。


 しかし、結論から言うとその必要はまったく無かったのである。何故ならその境界があまりにはっきりしていたからである。


 その植生からまるっきり違っていた。こちらの植物は総じて地球に比べて巨大である。しかし、この忌み地の植物は地球の標準サイズである。というか見たことある植物がそこかしこに見られるのである。

 ツツジ、山桜、山藤、エトセトラ。日本である。日本の山である。目頭が熱くなるのを感じる。

 ひょっこりそのあたりから日本人が現れるのではないかと妄想してしまう。

 

 しばらくあたりを散策していると、採石場と思しき場所に出た。そこには長い年月に負けて朽ちた建機がまだ原型を想像できるくらいには残っていた。その建機は製造年がかなり古く西暦2003年である。製造年にも驚いたが何より漢字を見たことで私は確信した。

 この忌み地は地球の大地そのものがこちらに来たものであると。おそらく精霊とやらいうものも異質なこの地を嫌うのだろう。


 だったらこの地の人間じゃない私に精霊術が効かないということになるのが自然ではないか!そうはならないところに悪意を感じる。

 

 採石場から道が伸びていたので歩いてみる。石畳の隙間から雑草が生え放題であるので大変歩きにくいが道は道である。苦労の末、開けた場所に出ることが出来た。


 そこは傾斜地であり、レンガで出来た構造物が見える。これは登り窯というやつではなかろうか?


 ところどころ損傷しており今のままでは使えそうに無い。しかし、こういう明らかな人工物が朽ちている様子というのはなんとも郷愁を誘う。


 窯の横には失敗作の置き場と思しき物があり、陶器が積み重ねられていた。その破片を記念に持って帰ることにした。勝手に拝借することにもはや擦り切れた私の良心がちくりと痛んだので拝んで帰った。


 この事実は四人の仲間に伝えなくてはなるまい。西に行ったときに教えてあげよう。


 しかし、完全にこの地は放置されていたようである。そうとう忌み嫌われていたのだろう。まぁ、精霊術のに依存した生活を続けてきたのだ、それが使えない地に寄り付かないのは自然か。この際、ありがたい。


 この忌み地は俺にとっての癒しスポットになりそうである。立ち直れないことがあったときはここに来よう。



 適当なところで引き上げ、町に戻った俺は宿屋に戻って濡らした布で汗をかいた体を拭うと、着替えを早々に済ませ、夕食に繰り出した。


 この南の地の魅力はなんと言っても飯の上手さであろう。西の地のそれは南のそれに比べれば残飯である。ふんだんに使われた香辛料により鼻を抜ける風味がなんともいえない。ここ特有の米もどきの味にも完全に慣れた私である。もはや私の食欲を止めるものは何も無い。

 私の横には皿のタワーが林立している。周りが信じられないものを見る目で俺を見ている。しかし、そんなものを気にしてなどいられない。この体は燃費が悪いのだ。食えるときに食っておかないと。

 

 ここでこんなに食べて財布のほうは大丈夫かという疑問をお持ちの方がいることであろう。そこは大丈夫である。宿の一階にある食堂のおじさんに大食いチャレンジメニューを作ってもらったのである。なかなかにのりのいいおじさんで快諾してもらった。

 それには俺が比較的小柄でそんな量を食べる人間に見えなかったことと食えなかったら食べた量払うと確約したこと、あといい客寄せになるとオジサンの商魂をくすぐったことが効いたのであろう。

 最初、余裕の表情を見せていたおじさんもだんだんその顔色が蒼白になっていく。最後に完食した際は、もはやあきらめ顔で拍手に加わっていた。


 「すごいな、坊主!」

 「よし、俺も挑戦するぜ!」


 その日、俺の勝ち分を超える利益がその宿屋の食堂にもたらされることになる。大食いチャレンジメニューはこの店の定番になることになったが、俺はこの店の要注意人物に認定されてしまった。

 店の壁には俺の名前がチャンピョンとして書かれてしまった。チャンピョンはチャレンジャーになれないのである。


 この後、何度かチャレンジャーが現れたが成功者はおらず、この名は伝説になり語り継がれることになる。おそらく、西の地にいる某四人は軽くクリアするであろう。ここが遠い南の地であることが救いである。

 

 余談であるが、ただになるのは飯だけで飲み物代は後でキッチリ請求された。このおじさん、けちである。






なんか不安になりますね

廃墟

行くのが難しいですね

廃墟

崩れそうで入るのに勇気いりますね

廃墟

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