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機械化少年の異世界史  作者: 噛ませ犬
第1章 序
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序:第二話 機械化少年、漁業に挑戦する

なんだろか

話の進むテンポがやたら遅い気がする。

 「どういうことだ?」


 『正確には外部データにアクセスできない状態にあります。』


 「圏外か。」

 基本的に太陽系には圏外は存在しないことになっているのだが。まさか大量の宇宙線に阻害されている?


 「電磁波及び人体に有害な放射線などを感知できるか?」


 『生命活動を阻害するものは現時点では感知されません。』

 っほ。とりあえず安全のようだ。というかなぜ海に?


 「ここは地球のどこかか?それとも火星の人口湖?」

 少量の海水を飲んでみる。


 『地球の海の成分と異なります。火星の人口湖は純粋に3%の食塩水ですのでまた異なります。また空気中、海水中に有害なものは検知されませんでした。』

地球でも、火星でもないとなるとどこだ?

いや位置を知ることは意味がない。俺は遭難しているのだ。

遭難したときは安全な場所で動かず、救援信号を出して救援を待つ。これがベストだ。

とりあえず今は宇宙艇の中にいて転覆の心配はない。安全と見ていいだろう。

エネルギは。


 『残少。宇宙艇の推進装置に損傷有。』

動けないか。修理の方法は知らないしな。

救難信号は出せるようだ、出そう。


それより深刻な問題がある。

それは、食料である。

これは現代人特有の問題ではないが、現代人は特に問題になってくる。

なぜなら体内に注入されたナノマシン及びIISの動力は人の体温、正確に言えば消化の際に得られるエネルギである。

つまり簡単に言えば腹が減りやすい体質なのである。

高カロリー剤があるにはあるが節約しても一月分。圏外の場所に一月で救助が来るとは思えない。

食料をとらなければ死ぬこともありえる。

餓死というしたくない死に方BEST3で。


救助が来るまで食料を自給しなければならないが、ここは未知の場所。

何が食べられるか分からない。

ここは海だから魚などの海産物がとれるか?しかしどうやってとる?


まずここに海産資源があるかだ。

 「この宇宙艇のレーダで海洋生物を探知できないか?」

 『可能です。実行しますか?』

 「実行」


どうやらいることはいるようだ。形までは分からないが群れは感知できた。

あとはどんな生物か観察しなくてはな。群れのいる方向を肉眼で確認する。

 「視力強化」

 『視力強化』


ナノマシンは生まれたときから注入され、

生活の中でよく使われる部位を効果的に使用できるようになる。

俺の場合、人間観察を日常的に行っていた結果、感覚の強化が行えるようになり、

強化された感覚から得られた情報をIISに送られ、解析及び分析される。


 『海洋生物と思しきものの分析終了いたしました。』

やはり海を移動するものだけあって形状、大きさは地球のものと同じようだ。


 「この宇宙艇の装備は?」

 『障害物除去用のレーザ装置と採取用のアームがありますが、エネルギの残量が少ないため使用回数と出力に制限があります。』

 「アームは最大伸張は?」

 『15メートルです。』

アームは確かIISと接続して手足のように動かせたはず。

 「半年エネルギをもたせるとしてアームはどのくらいの負荷に耐えられる?」

 『一日に二時間アームを稼動させるとして1トンまでなら耐えられます。』

よし実行だ。


結論から言おう。無理だった。

魚のつかみ取り大会をご存知だろうか。アレはなかなかコツと集中力がいる代物で素人には難しいものだ。

しかも海を自由に動き回る魚を殺さないように掴み取るなど宮本武蔵でも難しいに違いない。


『もしもし、ヨシヒロ君。生きてる?生きてたら返事して!』

・・・白状しようこのときまで他のメンバのことを思いつかなかった。


 『もしもし、こちらヨシヒロ。その声はトモエさん?』

 『よかった!他のメンバは皆無事よ。』

 『そうか!よかった!』

えらいなパニックにならずみんなを心配できるとは。

よくみたらレーダに他の4艇が集まっている様子が映っていた。


『実は推進装置が壊れて動けないんだ。』

『今からそちらへ向かおう。』

と回線にイレーヌさんが入ってきた。


『直せるんですか?』

『直せるか見てみないことには分からない。』

『OK。よろしくおねがいします。』


数分で皆に合流できた。おそらくそんなに分かれていたわけではないのに長年あっていないようなそんな感覚に襲われた。


 「どうやら直せそうだ」

 「そうですか。他の艇は全部動くんですか?」

 「いや、私のとトモエのものだけ動かせた。他は一応牽引してきた。」

 「じゃあ直していただいて、どこか陸地を探しましょうか。食料や水の問題もありますし。」

 「いや、このまま引っ張って行こう。海上での修理は面倒だ。」

 「分かりました。」

そのままレーダで確認できた一番近い陸地に向かうことになった。


 そこは港などはなく天然の岸壁と砂浜、後ろには森が広がっている。地球では見ることが難しくなってしまった光景だった。

「ふう。」

 「さて、遭難したわけですけどまず食料はどうします?」

 「そうだね。水は海水から抽出できそうだが、食料は高カロリー剤だけでは心細いからね。」

 とリチャードさんが少し考えて言った。


 「あとここがどのような場所かも探らないと。」

 「じゃ分担しない?」

 とトモエさんが提案した。

 「そうしよう。」

 「では私は艇の修理と見張りをするよ。もしかした救難信号が届いて連絡が来るかもしれない。」

 とイレーヌさんが引き受けた。

 「では残りは二手に分かれて辺りの捜索と食料収集を行いましょう。」

 とヤンさんが提案した。

 「じゃ、そういうことで。」


 グループ分けはヤン・トモエ組みとリチャード・ヨシヒロ組で分かれた。年齢から考えれば合理的な選択といえるかもしれない。

 そうして2グループは森の中へ進んでいった。









気のせいじゃなくテンポが遅い。

三話目なのにまだ第一異世界人にあっていない!


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