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次の日の朝、レンは目を覚ますと、朝食をとるために町の屋台に向かった。屋台には新鮮なレタスと干し肉が挟まれたパンが並んでおり、その香りに誘われるようにしてレンは足を止めた。
「このパンを一つください」とレンは屋台の主人に頼んだ。
「おう、ありがとうよ。銅貨7枚でいいぜ」と主人は元気よく答え、レンにパンを渡した。
レンはパンを受け取り、銅貨を支払ってその場で朝食を済ませた。パンは思った以上に美味しく、レンは満足そうに微笑んだ。食べ終わった後、昼食の分も買っておくことに決め、もう一つパンを購入した。
「もう一つお願いします」とレンは追加のパンを注文し、再び銅貨7枚を支払った。
「毎度あり!昼も楽しんでくれよな」と主人は笑顔でレンにパンを渡した。
パンを受け取ったレンは、ギルドへ向かった。
ギルドに入ると、昨日とは別の美しい受付嬢がいることに気づいた。レンはふと、受付嬢には容姿端麗な人しかいないのではないかと考えた。
レンはクエストが書いてある掲示板の方に向かった。初心者用のクエストがリストアップされている場所には、いくつかの依頼が掲示されていた。
レンは掲示板をじっくりと見つめ、どのクエストを受けるか考えた。いくつかのクエストが目に入る。
「薬草採取…これは前にやったし、もう少し違うものを試したいな」レンはつぶやきながら、他のクエストを見ていった。
「牧場周りのスライム退治…これも悪くないけど、報酬の割に大変そうだな」
レンは他のクエストにも目を向けた。「町の清掃…これも重要な仕事だ。でも、もっと自分のスキルを試せるものがいい」
レンは悩みながら、クエスト掲示板を見上げていた。最終的に、彼は決断を下した。
「よし、今回は牧場周りのスライム退治をやってみよう。戦闘の練習にもなるし、少しは自分のスキルも向上するはずだ」
レンは受付嬢のもとに戻り、「このスライム退治のクエストを受けたいのですが」と告げた。
受付嬢は微笑みながら、クエストの詳細を説明してくれた。
「このクエストは、牧場周りに出現するスライムを退治するものです。スライムは家畜の餌となる雑草を食べてしまうので、牧場主たちにとっては大きな問題なんです。報酬はスライムの数に応じて変わりますが、広範囲にわたるため、少し大変かもしれません」
レンは頷きながら話を聞いていた。
「分かりました。やってみます」
受付嬢は書類を渡しながら
「気をつけてくださいね。スライムはそれほど脅威ではありませんが、多くいると厄介です」
「ありがとうございます。頑張ってきます」
冒険者ギルドを出たレンは、町の門を通るときに冒険者証を見せて門番に挨拶した。
「行ってらっしゃい。気をつけてな」
門番は親切に送り出してくれた。
レンは町を出て、牧場に向かって歩き始めた。牧場は町からそれほど遠くなく、歩いて30分ほどの距離にあった。道中、彼は自作した槍とナイフを確かめながら、スライム退治に備えていた。
牧場に到着すると、広々とした草原が広がっており、いくつかの家畜が放牧されていた。牧場の入り口には、年配の牧場主が立っていた。レンは近づいて挨拶をした。
「こんにちは。冒険者ギルドから来ました、レンです。スライム退治の依頼を受けました」
牧場主はしわがれた声で言った。
「お前がスライム退治の依頼を受けた冒険者か?ずいぶんと貧弱な装備じゃないか?」
レンは軽く笑いながら答えた。
「はい、そうです。でも、スライム退治ならこの装備でも大丈夫だと思います。」
牧場主は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに納得したように頷いた。
「まあ、スライム退治は誰でもできるからな。頼むぞ、あいつらは家畜のエサを食い荒らして困ってるんだ。」
牧場主から依頼内容を聞いた後、スライムを探して周りを見渡した。すると、牧場の広大な敷地内には、たくさんの牛が草を食んでいる光景が目に飛び込んできた。
「この世界にも牛がいるのか…」
レンは思わずつぶやいた。前世の記憶がぼんやりと浮かび上がり、牧場の風景が懐かしく感じられた。
レンは牛たちを避けながら、スライムを探し続けた。すると、思った以上に多くのスライムが牧場のあちこちに散らばっているのを発見した。
「こんなにいるとは…」
レンは驚きながらも、すぐに行動を開始した。槍を構え、スライムの一匹に狙いを定める。最初のスライムを一突きで倒すと、次々と近づいてくるスライムに向かって槍を繰り出した。
「これで二匹目…三匹目…」
数を数えながら、レンはスライムを次々と倒していった。スライムの数は多く、次から次へと湧いて出てくるようだった。
その間も、レンの目には牧場の風景が目に焼きついていた。牛たちがのんびりと草を食む姿や、青空の下で広がる緑の牧草地が、彼の心を落ち着かせた。
「この世界でも、平和な場所はあるんだな…」
レンはそう感じながらも、任務に集中した。スライムを倒し続けるうちに、ふと前世の知識が頭をよぎる。牧場での作業や動物たちの世話についての知識が、自然と彼の行動を助けていた。
レンはスライムを次々と倒し続けていた。午前中の作業を終えた頃、ちょうど半分くらいのスライムを討伐し終えたところで、少し休憩を取ることにした。
「ふう、これで一息つけるな…」
レンは持ってきたパンを取り出し、牧場の端に座り込んで食べ始めた。パンは朝食で買ったものと同じく美味しく、エネルギーを補充するのに最適だった。
その時、牧場主がやって来てレンに声をかけた。
「おい、君、あんなに多くのスライムをこんなに早く倒すとは思わなかったよ。」
レンは驚いた顔をしてパンを口に運びながら答えた。
「そうですか? まだ半分くらいですけど、何とかやってます。」
牧場主は感心したように言った。
「いや、それでも早いほうだよ。君は本当に頼りになる冒険者だな。今までこんなに早く進んだことはなかった。」
レンは少し照れくさそうに微笑んだ。
「ありがとうございます。残りも頑張ります。」
パンを食べ終え、エネルギーを補充したレンは再びスライム討伐に取りかかった。午後も勢いを緩めず、次々とスライムを倒していった。
夕方になる頃には、レンはすべてのスライムを討伐し終えていた。再び牧場主の元へ向かい、成果を報告した。
「すべてのスライムを倒しました。これでしばらくは安心ですね。」
「レン、君には本当に助けられたよ。スライムは定期的に発生するから、またお願いしたいんだが、どうだろう?」
レンは笑顔で答えた。
「もちろん、またお手伝いします。いつでも呼んでください。」
牧場主は満足そうに頷き、感謝の言葉を述べて去って行った。
レンは報酬を受け取って冒険者ギルドへと戻るために町へ向かった。
道中、レンは牧場での経験を振り返りながら、自分の成長を再確認した。
(そういえば、あんなに多くのスライムを倒したことで、レベルも上がってるかもしれない…)
そう思ったレンは、自分自身を鑑定してみた。
[名前: レン(レベル7)]
[所持スキル: 鑑定(レベル2)、初級槍術(レベル2)]
[状態: 健康]
「やっぱり、レベルが上がってる…これでさらに強くなれたな」
レンは自分の成長を実感し、ますますやる気が湧いてきた。
ギルドに着くと、レンはクエストの達成報告を行い、受付嬢から報酬を受け取った。
「これでクエスト達成ですね。お疲れ様でした、レンさん。」
「ありがとうございます。次のクエストも頑張ります。」




