結成
「‥‥‥」
「‥‥‥」
俺とラハは互いの腹を探るように睨み合う。
俺が悪魔と戦う? 想像できないし、俺なんか瞬殺される。けど、今断ったら絶対ラハに殺される。
結局、死ぬのが早いか遅いかの問題、か。
ならせめて、美少女カウボーイと一緒にいれる方を選ぼう。
「分かった。分かったから。銃を下ろしてくれ」
「私の奴隷になる?」
「ああ、奴隷でも犬でも猫でも良い。お前の好きにしろ」
「気が利かなそうだから奴隷はなし。微塵も可愛くないから犬も猫も論外かな」
「じゃあお前は俺に何を望む?」
好き放題言うラハへの反発じゃなくて、純粋な疑問だった。
さっきも思ったけど、こいつ、凡人以下の俺に執着しすぎだろ。
「あ、もしかして俺の顔めちゃくちゃハンサムになってたりする?」
この世界に来てから鏡も見てないし、オアシスの時は喉を潤すのに必死で、自分の顔なんかまったく気にしていなかった。
「銃弾を添えたら、私好みの顔になるかも」
「やっぱ何でもないっす」
場を和やかにするジョークだったが、逆効果だったか。
「私は君を助手にしたい?」
「助手?」
意外な要望だな。もっとこう、悪魔召喚の生贄にでもされるかと危惧してたが。
「そう。私が悪魔を殺すから、君は助手として、私の手助けをして欲しい」
「それだけでいいのか?」
初対面ままならない人間に、銃を突きつけ求めた要望が本当にそれだけ?
ラハは何か隠している。ただ探りを入れるには、今の俺の立場は弱すぎる。
「それだけって。私の助手は結構大変だよ?
「朝の着替えは手伝ってやるし、お風呂だって一緒に入っている。どうしてもって言うなら夜添い寝してやってもいい」
「私も君の手懐けるために頑張るよ。愛用している鞭があるんだ。君も気にいると思う」
やっぱりお尻から叩いて欲しい?、と。ラハは銃を下ろしながら言う。
ピリついた空気が、一気に霧散した。
「まぁあまりイジメちゃうと、助手が泣いちゃうからね。ほどほどにしてあげる」
「その心遣いがあるなら、銃なんか向けないと思うんだけどな」
「君を説得するための演出だよ。撃つ気なかったし」
「嘘つけ。しっかり撃鉄起こしていただろ」
俺の返答次第なら本気で殺す気だったろ。油断も隙もないな。
「さぁ、何のことやら」
ラハは頬杖をつき、窓の外を眺めながら言う。さっきのピリついた空気もどこかに霧散した
「ドSどころのレベルじゃないな」
俺は手で額に出来た玉汗を拭いながら、そう呟いた。
店内にはいつのまにか軽やかなジャズが流れ始めている。
何事も起きず胸を撫で下ろしたウェイトレスが、冷えた俺らの料理を持ってきた。
「それじゃあバディ結成をお祝いしようか」
「まったくもって不本意だけどな」
ついでにラハが頼んだコークらしき飲み物が入ったグラスを持って、俺らは乾杯する。




