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「それじゃ、向こうに世界の日本って国から来たのね」

「ああ。コンビニで飯を買ってたら、悪魔に殺された」

少女についていくと、馬が一頭だけ居た。もちろん俺は馬を操ることなんか、できないから、少女の腰をに掴まっている。

「コンビニ? それもあっちの国の名前?」

「いや。なんて言えばいいか‥‥‥タバコとか、酒とか、飯とか色んな物が置いてある店みたいな?」

「雑貨屋みたいなところね」

「そうそう。そんなところ」

移動中気まずくならないか、心配してたけど、どうやら杞憂だったみたいだ。異邦人とやらが珍しいのか、少女は食い気味で俺に質問してくる。

こんなに人と話すの、いつぶりだろう。変に早口とかなってないよな?

「そういえば、まだ自己紹介がまだだったわね」

「確かに。あんた、名前は?」

「ラハ」

「ラハか。さっきみたいに銃を打って化け物を殺しているのか?」

「まぁね。おかげで助かったでしょ?」

「ああ。あんたは命の恩人だ」

「お礼なら金の延べ棒一本から受け取ってあげる」

「砂って磨き続けたら金みたいになりそうだよな」

俺が大富豪だったら要望通り山ほどの金を送り続けたいけど、あいにく手持ちは100円だけだ。

「ラハは一人で戦っているのか?」

「そう。私はソロ専門のデーモンハンター」

「なんで一人ぼっちなんだよ。普通に危なくないか?」

パーティーを組んでやれば効率も安全性も格段に上がりそうだけど。

「色々事情があるのよ。それに一人もそんなに悪くないし」

「例えば?」

「熱くなったら人目を気にせず服を脱げる。オアシスを見つけたら水浴びが出来るし、最高」

「もうちょっと遅く見つけてたら」

「それ以上想像したら置いてく」

あまり口数が多くない俺だけど、一人で行動するラハに親近感が湧いたからか、柄にもなく冗談を言ってみる。

「てか、当たり前みたいにスルーしてたけど、悪魔って本当にいたんだな」

「あんたの世界にも居なかったの?」

「俺の世界も居たは居た。ただ伝説上の生き物みたいな感じだったな」

少なくとも、矢を放って人を殺すような一等級の危険生物じゃなかった。

「え、じゃあドラゴンとかも居ないの?」

「居るわけないだろ。悪魔と同じ扱いだ」

もしかしてこの世界、ドラゴンとか妖精とかそういった類の物がうじゃうじゃいるのか?

それにしては銃をとかやけに近代的な物使っているけど。

「こっちじゃ悪魔とかドラゴンも当然の存在だけどね。変わった世界もあるもんだ」

「俺からしたらこっちの世界もかなり変わっているけどな」

まぁ、それはお互いさまってことで。世界が違えば常識も、人もルールも何もかも変わってくるだろ。

「なんか、転移した割には落ち着いているね。えーっと」

「万場だ。万場公」

さっきは記憶があることを証明するために名前を口走ったから、ラハが覚えていないも当然か。

「マンバって言い難いから、コウって呼ぶわ」

「いきなり下の名前呼びって、フランクだな」

距離感近いのは別にいいけど。

「そう? こっちじゃ挨拶の代わりに全裸でハグするのが普通だけど」

「マ、マジで?」

「嘘」

「いや嘘かよ」

顔色一つ変えずに嘘吐くなよ。怖いから。

「いや顔紅くしすぎ。ププッ。異邦人からかうのが一番面白いわ」

ラハの野郎、笑ってやがる。クソ、年下女子に騙されて、こうも笑われるとなんか、仕返ししてやりたくなる。

そう思う俺の手は、ちょうどラハの腰のところに。

一撃、喰らわしてやるか。

「ちょ、コウ! あんた、見た目通りさっそく変な気起こしたわね」

「見た目通りってなんだ見た目通りって! 訂正しろ」

俺は手をそのままラハの脇下に差し込む。

世界が違えど、人間弱いところは同じだろ。

「この性獣! 調子に乗っ、アハハハハハハハハハ!」

俺はラハの脇下をくすぐった。

「あんましを大人をバカにすると、痛い目見るぞ」

「初対面の女の子の脇をくすぐるとか、変態すぎ」

「お前って女の子なのか?」

「君って多分マジの馬鹿だよね。私を怒らせたらどうなると思う?」

‥‥‥まじで切れるなよ。ちょっとくすぐっただけじゃんか。現実問題、ラハと俺じゃあ天地の差がありすぎる。彼女がその気になれば、俺なんかすぐ殺せるだろうし。そうしなくても、馬を止めて俺を蹴落とせばいい。それだけで俺は干からびて死ぬ。

「ごめんなさい。次からはもうしません」

「それで良し。罰として今から君は私の犬だから」

「‥‥‥はい」

状況が状況だけに、ラハに逆らうわけにはいかない。

犬だろうが猫だろうが、彼女が望むならドラゴンにでもなりきろう。

「はいじゃなくてワン。犬は人間の言葉喋らないで」

「ワン」

「もっと元気良く!!」

「ワン!!」

「そう。やればできるじゃん」

異世界に転移して、美少女カウボーイに拾われてどんな大冒険が始まるかと思えば、なんだこれ。

死んで犬扱いとは、世知辛いにも程がある。

「犬は私が命令したらその通り動かなくちゃダメなの。私がお手って言ったらお手。お周りって言ったら私の周りを回って。ハウスって言ったら私がそこら辺に穴を掘ってあげるから、その中で寝ないとダメ」

「ちんちんって言ったら、チンチンカイカイだよな」

その流れで言ったらと、つい俺の口がすべる。

「そんな下品な犬は殺処分かな」

「ワ、ワン!!」

流石に調子に乗りすぎた。ラハが満足するまで、ワンって言い続けよう。限りある命のために。

「そうそう。それで良いんだよ」

そんな馬鹿みたいな雑談を交わす間も、馬は休みなく走り続ける。体感で二時間経ったか。

いつの間にか横には線路が見え始めた。

「あれは機関車用の線路だね。これを伝って行けば、街に着くよ」

「ワン!!」

「ふむふむ。どんな街かって」

ずいぶん長い間、『ワン』の一言でセリフを埋めてきた。ラハの解読スキルもかなり向上している。

「一言で言えば、荒くれ者と悪魔の街、かな」

「ワ、ワンワン」

「うん。危険度で言えばかなり危ないね」

さっきみたいな悪魔に加えて荒くれ者って。どうせラハみたいに銃を持っているんだろ? 生き残れる自信がない。

「まぁ、何とかなるよ。私の家だってそこにあるしね」

「ワン」

「うんうん。コウが満足しているなら良かった」

いや全然満足してないけどな。生命の危機を感じてガンガン拒否してるけどな。

でも手綱を握っているのはラハだし。俺に拒否権なんかあるわけない。








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