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独白

「ったく、どいつもこいつも」

誰もいなくなった病室で、私はそう独語する。

なにが助手としても意地だ。ただ自分の欲望とエゴを私に押し付けているだけじゃんか。

「まったく、面倒な奴を拾っちゃったね——ねぇ、ジキル?」

いるんでしょ? と私が外に向かって問いかけると、音もなく窓が開いた。闇夜に忍び込むための暗服が滑り込んでくる。

「お使いご苦労さん。頼んだ品は揃った?」

「ああ。けど、大丈夫なのか? いくら君でも、この品々は」

「オオカミの巣穴に殴り込みに行くんだよ? こっちもそれ相応の手土産を用意しないとねぇ」

「調達に手間取った。手数料込みで、請求しておくよ——ところで、助手君はどうするんだい?」

ジキルは側にガンケースを置き、今日の夕飯を訊くみたいに言う。

「‥‥‥いつから聞いてたの?」

「彼が君に、熱烈な告白をしている時から」

「盗み聞きキモいんだけど‥‥‥助手には、なにもしないよ」

「別れの言葉も、交わさないのか?」

「んなもん必要ないでしょ。第一、私たちまだ会って一週間だよ?」

「まだそんなことに固執してるのかい? 信頼関係に時間は関係ないと彼は言ってたが、僕もそれには激しく同意だよ」

「うっさい‥‥‥」

私は座りながら、毛布にくるまる。今はもう、何も聞きたくない。

強固な信頼に時間が必要ないことも、助手が己のエゴだけじゃなく、本気で私のことを心配しているのも。助手が自分のことを常に何から逃げてきた奴って卑下するけど、本当はとても優しい人間だってことも知っている。

だからこそ、私は助手を死なせたくない。

いくら助手の本望が私の助手を務め上げることでも、それだけはダメだ。

「僕としては、しっかり腹を割って話すべきだと思うけどね」

「助手、バカみたいにお人好しだから。話したら付いてくるに決まっているよ」

「じゃあ、何も言わずに逃げるのかい?」

「逃げる?」

私は毛布の中で眉を寄せた。

「逃げるんじゃない。私は、助手の未来を想ってるの」

「そりゃあ、私が死んだら、助手は悲しむかもしれない。絶望のどん底に落ちて、半年ぐらいは部屋に閉じこもるかもしれない。けど、それでも助手には命がある。まだ自由な時間が残されている。ジキルの雑貨屋を手伝うのもいい。適当な酒場で給仕の仕事をするのもありだ。私としては反対だけど、デビルハンターとして雑魚を一生狩続けるのもいいかもしれない。

とにかく、助手には平和に生きてほしい。なぜなら。

なぜなら‥‥‥。

「彼は君に向き合おうとしている。それなのに拒むのは、あんまりじゃないか?」

「向き合ったところで、何も変えられないよ」

私の過去も、これからの運命も。

「ごめん。頼んでおいて悪いけど、今日のところは帰ってくれない?」

「まだ傷が痛むのか?」

「ちょっと一人にしてほしい」

毛布の中から目だけ覗かせて、そう言うと、ジキルはわざとらしく肩をすくめて、病室を後にした。


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