転換
「うぅ‥‥‥」
体が痛い。頭も鉛みたいに重たい。口の中は唾液と血と砂利でシェイクされている。服もボロボロだし。それに、この店の惨状は? 屋根の半分が吹き飛んでいるけど。
私は重い体をゆっくり起こす。
‥‥‥えっと何が起きたんだっけ? 記憶が繋がらない。
確か、サル・マカーノの連中を倒して、ジキルのとこに戻ろうとしたら、馬車が来て‥‥‥
「助手!!」
思い出した。ダイナマイトを放り込まれたんだ。私より、助手の近くで爆発した。
「助手!? 助手!? いるなら返事して!」
店内に目をこらしながら、私は叫ぶ。けど、誰の返事もない。誰の姿もない。助手の姿も。攫われたか。
「私が寝てからどんぐらい経った?」
立っていても何も起きない。私はカウンターの向こうで、さっきより二倍増しぐらいに震えている店主に話しかけた。
時間がない。奴らの目的は、私だ。私を誘き出すため店主に、何か伝えているはず。
「三十分ぐらいだ」
「ならそこまで遠くに行ってないか‥‥‥奴らのアジトは?」
「し、知らない」
「嘘をつくな!!」
いい加減にしろ。私は店主の襟首を掴み上げる。こうしてる内にも、助手はキツい尋問を受けているかもしれないのに。
「いい? 私は今最高に気が立っているの。誤魔化したり、変なこと言ったらマジで頭、吹き飛ばすから」
こんな奴に残り少ない弾使いたくない。ぜひとも正直に話してほしい。
「分かった。分かったよ。話すから手、どけてくれ。北区の港、そこの倉庫だ。詳しい場所は、行けば分かる」
私は一拍置いて、店主の目を覗き込む。嘘をついているかどうか、目を見れば分かるからだ。
「OK。情報提供ありがとう。また今度、困ったことがあったら呼んで」
リボルバー、ショットガン、共に残弾わずか。加えて大ぶりのナイフ一本だけが、私の持っている武器。どこかに寄っている時間もない。
一か八か、行ってみるか。
待ってな助手。すぐに助けに行くから。




