覚悟
「もうないよ。君の熱心さも分かったからね」
ラハはひらひらと手を振りながら、射撃場を去ろうとする。
「どこ行くんだ?」
これから俺の射撃を見てくれるはずだったんじゃ。
「どこって、仕事でしょ。お金稼がないと、おまんまは食べれないよ?」
「え、俺の射撃を見てくれるんじゃないのか?」
「天才的なんでしょ? だったら必要ないじゃん」
「え、さすがにいきなり実戦はキツいんだが」
腕前を披露する前に、死ぬかもしれないだろ。てか俺の場合、その可能性大だろ。
「私教えるの苦手だし、射撃とかって、勉強と違うでしょ。習うより慣れろって、感じ」
「‥‥‥俺がヤバそうだったら助けてくれるよな?」
「君専属のボディカードじゃないんだから。いざとなったら、自分身は自分で守りなさい。ほら、突っ立ってないで、行くよ」
君は私の助手でしょ、と。俺には目をくれず、ラハは射撃場を後にした。
デーモンハンターの助手を務め上げるには、それ相応の覚悟がいるってことか。
クソ、めちゃくちゃ怖えぇ。トゥピラクの時は咄嗟に体が動いた。だから恐怖も何も感じなかった。けどラハと一緒に戦うとなると、どうしても死を意識してしまう。
まぁ、今更、か。ここまで来て、自分の銃も選んだんだ。覚悟が決まってないってのはダサすぎる。
それにもう、逃げないって決めた。ここでまた逃げたら、俺は俺自身を裏切ることになる。
もうそんなの絶対嫌だ。勉強も、部活も、友人も、恋人も、何もかも諦めて、逃げて、無難にやり過ごしてきた。
もうそんな俺とは訣別だ。ラハがくれた『助手』の役割をぐらい、最後までやり遂げてやる。
どうせ一回死んだ体だ。この世界でも死ねば、ワンチャン元の世界に戻れるかもしれないしな。
俺は無理矢理ポジティブ理論を造り上げて、ラハを追った。




