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調達

「今日は銃砲店に行きます」

翌朝、前日の疲れから熟睡していた俺を叩き起こしたラハは開口一番、そう言った。

「銃砲店って、銃の店か?」

「それ以外何があるんだよ。寝ぼけているの?」

「あんなガラ悪い連中がたむろしているとこなんか、行きたくない」

それに外に出たら、また悪魔に襲われそうだし。今日一日はずっと家にいたい。引きこもりニートは世界を変えども、引きこもりなのだ。

「ので、銃砲店にはラハ一人だけで行ってくれる」

「のでって、何がのでだ。助手なんだから君も一緒に行くの!」

「あ、おい、毛布剥ぐなよ。せっかくの熱が逃げるだろ」

「往生際が悪い。諦めて起きな」

「お前は俺のお母さんか。嫌だ、今日だけは家でダラダラするんだ!」

「ここ私の家なんだけど!?」

ラハが布団を剥がそうとし、俺は必死に布団の端をつかむ。異世界に転移しても、この毎朝の攻防は変わらないか。

「さっさと起きろ! ウスノロ!!」

ついにラハがキレた。馬鹿力に任せて、俺から毛布を強奪する。

「‥‥‥なんで俺がついていかねぇといけねぇんだよ」

諦めた俺は身を起こす。

「なんでだと思う? 考えてみて」

「俺を的にして銃の試射をするとか?」

「いいアイディアだけど、今日のところはお預けかな」

本当にいいアイディアだけどね、と。念を押すようにラハは言う。

「今日の主役は君なんだよ?」

「もう囮役はこりごりだぞ」

「そうじゃないって。今日はなんとー」

ラハは片目をつむり、ビシッと俺に指を突き出す。

「君の銃を選びに行きます!!」



「なぁ、もうちょっと我が家の交通の便、良くならないのか?」

朝方に家を出て約二時間。俺らは昨日と同じ街に降りてきた。

さっきまで太陽は地平線の向こうだったのに、すっかり空高く登って俺たちを見下している。

「熱い。なぁ、昨日みたいに適当な店で休まないか?」

「ダーメ。昨日のあれは入社式みたいなもんだから。一周年記念とかに気が向いたらやるかもね」

それじゃあ一生ないってことか。

クソ、給料が入ったら美味い物いっぱい食ってやる。

「クソザコのヒョロガリ君でブサメンでも、助手は助手だからね。銃の一つぐらいは持ってないと締まらないっしょ」

「後半はともかく、前半言い過ぎだろ。なんか気に障ったか?」

「ん? 別にー? 助手のくせに私より遅く起きて、朝食すら用意しなかったこととか、全然気にしてないから」

めちゃくちゃキレてるじゃんか。

助手として雇われた以上、家事やらはやれってことか。一応、給料もらう以上、最低限の労働は致し方ない。

‥‥‥となると、明日からは早起きか。考えるだけで頭が重くなるな。

「うわっと」

俺は一瞬転びそうになる。考え事のしすぎで、つまづいたか。俺が足元に目をやると。

「なんだこれ」

よく映画で見る、丸い固まった干し草が俺の足にまとわりついてた。

「ダンブルウィードだ。よそ見していると、足を取られるよ」

「まだ銃砲店は遠いのか?」

俺はダンブルウィードを取ろうと、四苦八苦しながら、ラハに訊く。

「もう着いたよ」

「General store‥‥‥雑貨屋か?」

「え、すごい。英語分かるの?」

「まぁ、こんぐらいはな」

こう見えて、大学入る前まではそれなりに勉強してきたんだ。こんぐらいに日用英語、朝飯前。

「君って言語とか理解できるんだ。てっきりニワトリぐらいの知能だと思ってたよ」

「‥‥‥なぁ、明日から本気で頑張るから、そろそろ機嫌治してくれねぇか?」

「さぁ? 何のことやら」 

ラハは一足先に雑貨屋へと進む。

俺は重いため息をついて、彼女の背中を追った。


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