表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/41

怒り

「あ、また来た」

「ただの風だよ」

風にしちゃあ違和感がある。

「もしかして悪魔か?」

「この辺りは私が祝福しているから、悪魔は入ってこれない」

なら動物か? でもこんな悪戯をする動物なんて、チンパンジーぐらいしか思いつかないぞ。

それにテキサスに猿って、どこかミスマッチだし。

「テキサスにチンパンジーとかっているか?」

「熱帯林じゃあるまいし。いるわけないでしょ」

なら動物もなし。

となると残されたのは。

「もういいよ。すぐに収まるし、明日も早い。君を早く寝な」

ラハは不貞腐れたようにベットに身を滑らせて、一方的にランタンの火を消す。

——こいつ、何か俺に隠してない?

ラハのこの態度、怪しいし、納得いかないし、腑に落ちない。けど、俺一人で暗闇の荒野にて犯人の正体を探るわけにもいかない。そんな勇気もないし。 

結局、俺は硬い地面の上に敷かれた毛布の上で、身を丸めた。

ただしばらくは寝ず、聞き耳だけ立てていた。

まったく、これじゃあ忠犬だな。

「——おい、これが噂の女の家か?」

「ああ。今朝街で悪魔と大暴れした奴だ」

確かに聞こえた。酷く酩酊した二人の男の声が。

「デビルハンターだけどな、実は懸賞金もかかっているんだ」

「お尋ね者はハンターにはなれないんじゃないか?」

「こいつだけは特別なんだ。ちょっと事情があってな」

「事情って?」

「あの女の中には悪魔が住んでいるんだよ。化け物女だよ。だからこーんな辺鄙なとこ住んでやがる」

「それってまるで、奴隷みたいだな」

「ははっ。言えてるな。あの小屋はさしずめ悪魔の小屋だ。酔い覚ましにはちょうどいいだろ?」

荒野の夜は極端に静かで、小屋の壁も薄い。老いた俺の耳にも、二人の会話ははっきり聞き取れた。

ラハに懸賞金がかかっている? それに悪魔って?

「ただの酔っ払いの戯言だよ」

いつのまにかラハが俺の耳元で囁く。

「‥‥‥お前はいいのかよ? あんな風に言われて」

「別に。慣れてるよ」

「‥‥‥慣れる必要なんか、あんのかよ」

胸の中でふつふつと湧き上がる思いを、俺はそのまま口にした。

懸賞金とか悪魔とか、この際どうでもいい。ラハとは今日知り合ったばっかだし、彼女には彼女なりの事情とか背景とかあるだろうし、嘘か本当かも分からない。

ただ俺とラハが今日、二人で力を合わせてトゥピラクを倒したのは事実だ。

そりゃあ、街に招き入れた俺が悪いかもしれない。けどそれは俺の咎であって、ラハの責任じゃない。

彼女の信念がどうであれ、悪魔と戦い、街の人々を守った。何度も言うけど、それは揺るぎない事実。

それを化け物女とか奴隷とかなんとか。言いたい放題しやがって。

なんだか、自分の頑張りも否定されたみたいでムカつく。

「気にしなくていい。どうせ何もしてこないから」

「あの手の連中は一回味を占めたら、調子に乗って何度も繰り返すぞ」

「私が我慢すればいい話」

ふと、俺の目にはラハが使うライフル銃が目に入る。

——確か、あの金属の部分を起こせば、撃てるんだよな。

「初日から命令違反、許してくれよな」

俺は素早く身を起こし、ライフル銃を掴んだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ