ラハの家へ
「お、おい! いつになったら付くんだよ!」
「あとちょっとー。てか体力無さすぎ」
ラハが仕方なさそうに立ち止まり、ため息を吐きながら俺に振り返る。
いやそっちの体力が化け物なんだろ。そんな残念そうにこっちを見ないでくれ。
「きゅ、休憩だ。休憩」
俺は息を切らしながら、近くの岩に腰を下ろす。
街の中にラハの家があると思ったが、どうやらそれは理想をふんだんに含んだ見当違いだった。
街に出て、荒野に入ってもラハは足を止めない。それどころか岩山に足をかけ始めた。
それからずっと、こんな感じだ。
どれくらい時間が経ったか。俺の体力はとっくのとうに限界に達している。
「ほらこれ。その汗拭きな」
ラハが俺のとこまで寄り、ハンカチを差し出す。
ありがたい。福利厚生はバッチリだな。
「お、このハンカチ、良い匂いするな」
「ぶっ飛ばすよ?」
いやすぐ怒るなよ。さらに暑く感じるだろ。
「なーんか変な奴らが付いてきてるね」
「もしかして悪魔か?」
さっき殺したトゥピラクの親玉とか来ないよな?
基本的にニートは一日一ターン行動だから、さっきみたいな火事場の馬鹿力は期待できないぞx
「さぁ? ここで休憩してたら分かるんじゃない」
その時は仲良く死ぬ時だな。そんな軽口が口を突いて出そうだけど、ラハなら何の躊躇いもなく俺を囮にして逃げそうだから、死ぬのは俺だけ、か。
おかしいな、急に背筋が冷たくなってきた。俺は立ち上がり、ない力を振り絞って岩山を登っていく。
「やっとやる気出したか」
「下からラハのパンツが覗ければ、もっと気力が湧いてくるんだけどな」
「‥‥‥もしかしてさっきから覗いてた?」
さぁ? それは各々想像して楽しもうじゃないか。いや、楽しむのは俺だけか。まさかラハに見られて喜ぶような趣味はないだろうし。
「ここからならあんたの尻がいい的になりそう」
「撃つなら後ろに頼む。運が良かったらお前のいう『変な奴』に当たるんじゃないか?」
「なら二つ試してみる?」
「俺の負けだ。パンツなんて覗いている余裕なんかなかった」
「知ってたし。ていうか私、履いてないし」
え、その言い方だとノーパンってことになるんだけど。
さ、さすがに冗談だよな? ちょっとキツイカウボーイジョークだよな?
いやでも、ラハの声色から冗談を言っている風には聞こえないけど。
くそ。ただでさえ体力がないというのに、余計な思考に力を削がれる。
「まぁ、嘘だけどね」
「言わなくても最初から知ってた」
「嘘。助手、顔が赤くなってるよ」
それはこの気温と突き刺すような日光のせいだ、とはもう言い切れないか。
「俺の負け。負けだよ。降参。ノーパンだって聞いて動揺した」
「ふふん。私の勝ちだね」
まったく、クソ熱いなか俺たちは何で勝ち負けを争ってるんだ。
これからはラハに何を言われても黙っていよう。体力は無駄に消費しないに限る。
「今更だけどさ、ノーパンって言葉にすると恥ずかしいよね」
「‥‥‥結局お前も動揺してんじゃねぇか」
しばらく




