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大学
真人間初日とでも言うべきだろうか。朝から大学に行くことになった。門の前の横断歩道が青になるのを二人で待った。気恥ずかしいが、もはやいくらか気分がいい。
「ここが京介の大学かー。講義の間に色々見てくるね」
「お前、制服でうろついてていいのか?」
「受験生が見学に来てるってことでいいんじゃない?」
笑顔を見せる葵を見て、自然に言葉が出た。
「服とか、ほしくないか?」
葵が首を傾げる。
「そろそろ金がなくなる。最後の金で買ってやるよ」
心から笑う彼女を見て、偽悪的な顔ができた自信はない。