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永遠
葵が消えた日、浴びるほど酒を飲んだ。親父が外に出なくなった気持ちが分かる。喪失感というものは、すべての生きる理由を奪う。頭痛を誤魔化すように睡眠薬を飲み、意識が途切れる眠りについた。
目覚めると、部屋に高校の制服を着た女が座っていた。ご丁寧に正座で。
「おはよう。今日からまた一緒に暮らそうね」
言葉に詰まる。
「あなたを守りに来たの。ずっと一緒にいたいって言ってくれるから、また来たよ」
向日葵のような笑顔だ。
「ただ、今までと違うのは私の姿は見えなくなるんだ」
今度は静かに笑う。
「京介、ありがとう。そばにいるけど、さよなら」
「葵…」
立ち上がった彼女はドアに向かった。
「葵!」
「私にしてくれたみたいに、女の子は大事にしてね」
彼女は部屋を出ていく前に、涙を流しながら満面の笑みを浮かべた。
「ありがとう」