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プロポーズ

今日も葵は俺について大学へ向かう。横断歩道が青に変わったのを確認して、大学の門の前にある車道を渡り始めた。彼女は今日も嬉しそうだ。


「そろそろ就職活動とか考えないとね」


口に出すのも気恥ずかしいが、笑顔が向日葵のようだ。


「どんな仕事がしたい?」

「親父みたいな引きこもりにはなりたくないな。だから翻訳家は嫌だ」

「英文科なのに」


葵の顔が曇ったのを見て、急に気まずくなった。


「そうだな。会社勤めなら、理想は商社か。英語も活かせる」


彼女の顔色が向日葵に戻った。


「わかった。他にやりたいことはない?」


少し照れたが、彼女の顔を見ていると自然に言葉になった。


「結婚。死ぬまで一緒にいられる女と。できれば、お前と」


彼女は笑顔のまま泣いた。雨に濡れた向日葵だ。俺は立ち止まった。


「ダメ!立ち止まらないで!」


俺を突き飛ばした彼女に、一台のセダンが突っ込んだ。そして立ち尽くす俺を尻目に、通行人たちが救助を呼び始めた。


結婚、夢、将来、向日葵。

全部消えてしまった。

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