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日常
大学に向かう途中、俺はラルフローレンという居心地が悪くなる服にも慣れてきたと思いながら、葵を眺めた。弁当が二つ入ったトートバッグを持っている。講義が終わると、水色のスカートに白いブラウスを着た彼女が手を振って迎える。まるで大学生のような大学生になったと首を傾げたくなる。
昼休み、弁当箱を開くと中にはハンバーグが詰まっていた。葵いわく、フードプロセッサーでひいた手作りミンチで作ったそうだ。どおりで朝から騒がしかった訳だ。
帰り道も葵を眺めた。整った顔立ちだ。完璧な女なのかもしれない。ただ、色気がない。しかしそんな彼女が、何となく可愛く見えてきた。