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Anatomy of N  作者:
story.1
8/60

Ep.7

hAppiness to become the memory

あれからというもの、時々ジャックくんはムックをここに連れてくるようになった。

相変わらず小さく不健康そうなままだが。


でも元気に吠えてくれるようになったり、ジャックくんの後ろを着いて回ったりムックなりに成長していた。


今日もドアを開けてやると満面の笑みのジャックくんとワン!!と吠えるムックがいた。



「やあ、2人とも元気そうだね」


「先生聞いてよ、ムックってばめちゃくちゃ餌食べるようになったんだよ!!」


「おやおや偉いじゃないか~大きくなりな」



部屋に入れてやるとしっぽを振って駆け回る。

ここに来た時とは見違えるように。


最初はどうすれば餌を食べてくれるのか、と相談されていたのに今では食いしん坊ときた。


子供の成長は早くて私は目が回りそうだ。

とても嬉しい事だけど。



「最近ではラストにも懐き始めたんだよ」


「まあ彼、犬好きらしいしね」


「俺が居ない時とかにおやつやってるみたい」


「これは太りそうだな」



2人で跳ね回るムックを見つめてくすくすと笑い合う。

最近は私もムックに元気を貰うようになってしまった。


あまり動物と接した事が無いから理解していなかったけどこれがアニマルセラピーというやつなんだろう。



「ムックのおかげで俺、結構健康的な生活してんだよね」


「いい事だよ、私も犬飼おうかな」


「あはは、飼ったらムックと一緒に遊んでもらいたいな」


「検討しておくよ」



まあ職業上飼うことは出来ないだろうけど。

いつか解体屋をやめた時にでも、視野に入れておこう。


はしゃぎ疲れたのかムックはジャックくんの膝の上に座り、眠り始めてしまった。

ジャックくんは優しい眼差しで見つめる。



「ああ、傷の具合はどう??」


「俺そーゆーのよく分からないけど大丈夫そうだよ」


「ドクターくんに診てもらうのが1番いいんだけどねぇ」


「最近は俺の部屋にすら近づかなくなったんだよね」



ドアを開けなければ出てきはしないだろうに。

オドオドしているドクターくんを想像して少し笑ってしまった。


彼は本当に変わらないんだな。

犬の方が小さいというのに。



「具合が悪くなってなかったらいいんだ、ドクターくんに頼る必要も無い」


「この間猫なら良かったのに…って言われたよ」


「猫ならルークが叫ぶだろうね~」


「そっちの方が厄介そう」



猫好きも変わらないようで。

そしてルークはもう少し猫に慣れろ。


さすがに猫が路地裏に居て通れないから迎えに来てと言われた時は引いた。



「あー…俺そろそろ仕事だ」


「おや、今日は早番??」


「詳しくは言えないけど壊滅させちゃう予定だからね」



これまた17時から物騒な。

そして私の仕事が増えそうな予感。


明日は解剖室に籠りっきりだろうか。

しかも徹夜で。



「先生の所に多分依頼送るからよろしくね」


「ああ…掃除しようと思ってたのに…」


「…頑張れ」



私にエールを送った後、少しコーラを飲んで彼は帰っていった。

腕にはすやすやと眠るムックを抱きながら。


最後に見たムックは幸せそうな、楽しい夢を見ているかのような顔だった。

どうしてこちらまで幸せになれるような顔を出来るのだろうか。

ムックも、ジャックくんも。



「…徹夜の準備でもするか」



カメラロールに入っているこの間撮ったムックとジャックくんと私のスリーショットを愛しい気持ちで見て、背伸びをした。

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