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Anatomy of N  作者:
story.1
4/60

Ep.3

the nAil which was covered

19時45分。

私は解体時にしている手袋を外す事も忘れるぐらいに焦っていた。


約束の時間まであと15分。

解体が終わったのは今。


これは間に合わないフラグが立っているのではなかろうか。

着替えは後としてポテトチップスのダンボールを隠さなければいけない。


物置に急いで駆け込んでテキトーに引っ掴んできた本でカモフラージュさせてみた。

多分バレない、バレないと願いたい。



「これはセーフでしょ…掃除機出してから寝た自分には感謝」



物置に入られてしまえば完全アウトだが掃除機も出してる事だし入られない事に私は賭ける。


気づけばあと10分しかない。

着替えてないしメイクすらしていない。


これはかなり危機的状況では。

とりあえず白衣はダメだ。



「ルークお願いだから遅刻してくれ…!!」



真面目な彼だからそんな事は起きるはずもないのだろうけど。

願うくらいは許せ。


まず手袋をゴミ箱に投げ捨てガウンも解剖室に投げ込む。

白衣はリビングのソファに放置しよう。


外に出るならTシャツ短パンはダメだな普通の人が着そうなのをそれっぽく選んでおけばいいや。


あと5分。

ナチュラルメイクでいい、最悪夜だし見えない。



「ヘアゴムどこー!?」



鏡の前を散らかしてようやく見つけ出したヘアゴムで髪の毛を1つに纏める。

鞄さえ用意してしまえばこっちの勝ちだ。


リビングに落ちていた小さめのポシェットに財布とスマホと鍵を入れる。

あとはハンカチとチップがあればどうにかなるだろう。


やっと用意が終わったところでインターフォンが丁度なる。

やっぱり20時ピッタリに彼は来た。



「はーい、今開ける~」



急いで玄関に向かい、ロックを外して開けると少し呆れた顔の彼がいた。



「なんかドタバタ聞こえたんだけど大丈夫なの??」


「あー…気にしないで」


「はいはい、先にチップ貰うよ」



誤魔化しきれない返事をしてポシェットに入れたチップを彼に渡す。



「これ、修復はしたけど完璧では無いかもしれないからドクターくんにでも見せて確認した方がいいかも」


「了解、ほら靴履いて、行くよ」



ルークは着ていたジャケットの胸ポケットにチップをしまうとゆっくりと寂れた階段を降りていった。


戸締りだけしっかり確認して彼を急いで追いかける。

車の鍵を指でクルクル回して階段の下で待っていてくれるあたり優しいところもある。



「最近忙しいってちゃんと寝れてんの??これに関しては俺に言えた事でもないんだけどさ」


「睡眠はちゃんと6時間は確保してるから大丈夫、ルークよりはめちゃくちゃ寝てると思う」


「それは正解だわ、下のヤツらがもうちょい大人しけりゃ俺だって寝れんのに」



随分ボスの右腕は苦労していたようだ。

確かに彼の部下のわんちゃん達を見ていると胃が痛くなりそう。


車に乗せてもらい、助手席で今回した解体の報告をする。



「かなりボロボロだったよ、内臓は辛うじて無事だったけど足とかはダメ」


「いやー、モノが今回はかなりキレたみたいでさ」


「彼いつもキレてない??ナイフか何かなの??」



彼らの組織から依頼で来る遺体は大体がボロボロだったりする。

理由はいつもわんちゃんの1人、モノくんがキレて暴れるから。


彼にはルークもかなり手を焼いているようで渋い顔をしている。

普段よく胃が痛いと言っている原因なのでは。



「あいつエネルギー有り余ってるんだよ」


「うん、それは会う度に痛感させられる」


「まあラスト辺りにも注意させておくから許してやって」




この間はそのラストくんもキレたって聞いたけどね。

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