第24話 刺客到来
3匹目のドジョウがいなかったのでグレてました。
いや、PV:0ってわけではないのですから、読んでくださってる方はおられるのです。
ありがとうございます。
一応言っておくと……マジでグレてたわけでは無く、色々読んで感想書いてましたよ。
某イベントで感想数平均化委員会してみたり。
まあそういうわけで、ここからクライマックスフェイズです。
ニオルム魔法学園に襲撃をかけるなら、最も適した時間帯はいつか。
深夜?
違う。確かにほとんどの者は寝てしまうが、学園内には居るのである。そして、研究熱心な一部の教官や学生たちが常に何人か起きている。
早朝?
奇襲の基本ではあるが、深夜よりも起きている連中が増えてしまう。
授業中?
バカな。
答えは放課後から夕食時だ。
通いの教官・学生は家に帰ってしまうし、住み込みの者も街の散策や夕食などで外出する率が高い。
特に、丹念に情報を収集すれば――あるいは上手く情報を操作すれば――要注意な幾人かの教官がいないタイミングを狙って襲撃が可能になる。
だから、学園をよく知る彼らが動き出したのは、その日の授業が終わって少し経った頃だった。
ティカはリエル先生の生徒、つまりユキの同級生であり、エルフであり、画を描くのが好きだ。
だから、その日の放課後は、中庭の絵を描くことに決めていた。
描いた絵は、ユキに見せる予定である。エルヴィナに頼まれたからでもあるし、彼女自身もユキの事が心配だった。
剪定はまだ半分ぐらいだが、それがむしろ樹々の奔放な命を感じさせる。火竜に襲われた後の、荒れ果てた姿はもうどこにもなかった。
「だからもう、あんまり気にしなくてもいい……とはいかないんだろうけど」
物理的な痕跡が消えても、心の傷は残る。
ティカはおっかなびっくりで中庭の一角を見やった。
すでにきれいに磨かれた石畳。そこに幽霊なんているはずはない。
あの日そこで黒焦げになっていたクラス委員長は、今日も普通に教室にいた。授業以外の書き物に熱心だったが。
それでもつい、ティカは目をそらしてしまう。
違和感があったのは、その瞬間だった。
視界の端ギリギリで何かが見えた。
慌てて向き直ると、そこには何もない。
いや、違う。
石畳の直線的な縁に歪みがあるのをみつけ、ティカは構成を編む。
「水の精霊よ、赤き……」
「判断が早ぇ!」
赤い絵の具を霧のように吹きつける魔法だったのだが、発動前に口をふさがれる。
ふさいだのは手。さっきまで何も見えなかった場所に、体にフィットした濃茶の衣装を着た男が立っている。姿をくらませる魔法が、急な動きをしたせいで解除されたのだ。
「ったく、今の学園生も優秀だな、おい。でも距離を取りながら唱えるべきだったと思うぜ」
男の顔は、上半分が服と同じ濃茶の頭巾で覆われていて良く見えない。だが、口調に敵意や嫌味は無く、素直に賞賛しているようだった。
男はティカの口をふさいだ右手を緩めることなく、左手で魔法の構成を描く。
片手だというのにかなりの速度で、ティカに読めたのは辛うじて雷に関係することだけだった。
もっとも、それが読めても、口をふさがれた状態では対抗する魔法を使うこともできない。
せめて痛くないように、と目を閉じようとした瞬間、男のものとは違う呪文が聞こえた。
「突風よ!」
「ティカ、大丈夫? あと、いきなり吹き飛ばしちゃったけどいいよね!?」
そういいながら、エルヴィナは突風魔法で吹き飛ばした男とティカの間に飛んで入る。
中庭でいきなり不審者が女生徒に失神魔法をかけようとしていたのだから、魔法で妨害するぐらいは多分許される。念のため、突き刺す系ではなく打撃で吹き飛ばす系にしておいたし。
「精霊王……、ロキの配下か!」
吹き飛ばされた男は転がるように受け身を取り、片膝をついた状態でエルヴィナを見据える。
「居場所を教えてもらうぞ!」
言うが早いか編み始めるのは先ほどと同じ雷属性の失神魔法。
だが、エルヴィナの魔法の方が早い。
得意とする風の魔法だし、なんと言っても効果が単純。
単に、声を大きくするだけだ。
「不審者がいるよーーーー!!!!」
「っ! スタンボルト!」
対象を決めて放たれた魔法は避けられない。だから、エルヴィナは男の放った雷の矢を魔晶石の翼で受けた。
「つぅっ……」
背中にくっついているわけでは無い翼なのだが、衝撃が加わると痛みはある。とはいえ、本来の狙いだった失神には至らない。
そして、エルヴィナの狙い通り、校舎の窓がいくつも開き、学生や教官が顔を覗かせた。
「クッソ、あのタイミングで防御でも速攻でもなく通報を選ぶって。訓練しすぎだろ、ロキめ」
ひとしきり毒づいた男は、懐から小指の先ほどの小さな球を取り出す。
もはや何人もが彼の姿を目撃している。
「静かにロキだけ殺して帰りたかったんだけどな。お前のせいでプランBに移行だよ、精霊王」
男が指を鳴らすと、魔力の光が球にともる。
と次の瞬間、球は空高く飛び上がると断続的に光を放った。
「ここからは、強襲だ。大ケガしても知らねぇぞ!」
その瞬間校舎のあちこちで一斉に魔法が放たれた。
男の子みんなのあこがれ、学校にテロリスト。
まあ、主人公はまだ引きこもり状態ですけどねっ
皆さんのリアクションで生きているので、ブックマーク、評価、感想等増えればもっと書きます。




