壱
一応ホラーですが、まだホラーではないようです。ヒューマンドラマ(日常)に分類されるのでは…?
ねえ、そこのあなた? カメラを鏡に向けたことはあるかしら?
スマホ? いいえ、そうではありませんの。スマホではなくて、もっとこう…、カメラって感じのカメラですよ?
こほん、失礼。あまりにも説明になっていませんでしたね。使い捨てのフィルムカメラがあるでしょう? あれのことでしてよ。
え? まさか…まさか…ご存じないのですか? 使い捨てのフィルムカメラを知らないとでもおっしゃるのですか? なんてこと!
ほら、小学生のときに遠足で持っていきましたでしょう? バナナはおやつに入るのかなあと素朴な疑問を抱きつつ遠足に持っていくものを準備していたときにですよ、『カメラは失くされるのが怖いので持っていかせることはできないが、写真を撮って思い出も残したかろう…。そうだ、使い捨てカメラを授けよう!』と言って親に渡されるあれのことですよ!
まあ、あれは親が子供の思い出を見たいだけなのですけれど。きらきらとした目で自分の見てきたものについて語る子供は癒しですから仕方のないことですけれど。
ああ、午前中に写真を大量に撮りすぎてしまって、午後に一枚も撮ることができず、最高にかわいいクラゲの置物も必死に目に焼き付けることしかできなかったのは今でも苦い思い出です。
それはさておき、使い捨てカメラですよ! これで思い出しましたでしょう?
きょとんとしているだと…? 使い捨てカメラを知らねえのかよ!!
こほん、失礼。おほほ…、おほほほほ……。わたくしとしたことが失礼致しましたわ。口が滑ってしまいましたわ。あまりにも驚いたものですから。
え? ○○を授けようって、某エナジードリンクのCMかよ! とおっしゃいましたか? そんなところにきょとんとしていらっしゃったのですか。ツッコミが遅すぎますわ。あなたはボケ担当なのですか? ボケでもツッコミでもないわという目をなさりましたね? なるほど、わたくし一人でボケもツッコミもやらなければならないのですか…。って、一体わたくしは何の話をしているのでしょう。いつの間にお笑いの話になったのでしょう。
こほん。話を元に戻しますと、使い捨てカメラに関しては思い出してくださいましたね? ガメラでもなくキメラでもなくゴジラでもなくカメラですよ?
あなた、ここは笑うところですよ。そんな、何言ってるんだこいつという目は向けないでくださいな。たしかにゴジラという言葉が出てきたのは自分でも何言っているんだこいつとはなりましたよ。ええなりましたとも。自分で分かっているのですから、そんな変人を見る目はしないでくださいな。
……そうね、どうせなら、とびきりの美人を目の前にして思わず息をのんでいる目にしてくれないかしら。
待ちなさいな。黙って立ち去ろうとするのは良くないですわ。先程のはただの冗談ですわ。頭の狂っていらっしゃる方に捕まってしまったという目はしないでくださいな。……わたくしに尊敬語を用いたことだけは誉めてあげましょうか。
さて、使い捨てカメラについて丁寧に、それはそれはとても丁寧に説明したところで、本題に移ることにしましょうか。またそんな何言っているんだこいつという目をなさらないでください。わたくしがかわいそ……かわいいでしょう?
待ちなさいな。黙って立ち去ろうとするのは良くないですわ。先程のはただの本音ですわ。本音なんかい! という目をしていますね。ええ本音ですとも、心からの本心ですとも。可愛くないという言葉を人に言ってはならないのですわ。か、格好いいという言葉が添えてあれば別ですけれど……。
そ、それは置いておきまして……。もう、話が全然進みませんね。困ったものですわ。おまえのせいだろという目は…していませんね、よかったよかったですわ。……そんな目はしてませんよね?
さてさて、なぜ使い捨てカメラについて話し出したかと言いますと…………。あっ、そうですわ、鏡とカメラについてでしたわ。もうなんとも言えないという途方にくれた目はなさらないでくださいな。まるでわたくしが悪いみたいでしょう?
気を取り直しまして、鏡とカメラのなんとも奇妙な物語を始めましょう。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
さてさて、ようやく物語が始まりそうですね。今回は最後までお付き合いいただきますよ。
『次へ進んでくださらなかったら怒りますわよ』
あっ、まだ更新が…。
追記:更新する予定なし(--;)