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2日連続で履いたパンツを一旦寝かせてからもう一度履く

 4月22日に到着してから1週間はただ観光だけをしていた。有名美術館に行ったり、セントラル・パークに行ったり、観光ガイドブックに書いてあるベタなことをした。唯一の例外は、マンガやアニメで有名な『BANANA FISH』の聖地巡礼として、NY市のお隣のニュージャージー州からマンハッタン島を眺めたことかもしれない。私はその場所から、すなわちマンハッタン島の西側からマンハッタン島を眺めたという人に今のところまだ会っていない。すごく綺麗に見えるし、雰囲気が良いから穴場スポットだと思う。(ブルックリン地区から、すなわちマンハッタン島の東側から眺める人は多い)私はBANANA FISHを好きな人には是非ともその場所をオススメしたい。すごく細かいことを言うと、その場所のアニメでのシーンで登場人物たちは夕焼けを見ているのだとずっと思っていたのだが、それは夕焼けではなく、朝焼けだったのだと気がついた。

 さて、4月28日からホームステイ先に移り、翌29日から語学学校での授業が始まった。私は本当に英語が得意ではないけれど、クラス分けの結果、上から二番目のクラスになった。しかし、当然、何を言っているのか全然分からないのだ。最初の2、3週間は焦りや不安もあってかなりストレスが溜まっていたと思う。でも、まだ留学で来て早々なのでモチベーションが高いというか、気を張っていたので、なんとか耐えることができた。語学学校とか語学留学についてはまた別の機会に書こうと思う。というのも、私はそこの学校で15週間のプログラムを終えた後、3週間の夏休みを満喫し、これから(9月から)別の語学学校に移るからだ。そこの学校のプログラムは14週間となる。比較対象の学校があった方が説明も上手くいくだろう。

 私の留学スケジュールを整理すると、最初の1週間は観光、その後15週間の語学学校のプログラムに参加、そして3週間の夏休みを経て今に至り、数日後から別の語学学校の14週間のプログラムに参加して、その後少しだけまた観光をして、帰国ということになっている。要するに、現時点で19週間が過ぎ去ったことになる。こちらでの生活に完全に慣れたというわけではないけれど、でも当然のことながら最初の時に比べれば慣れてきている。こうしてエッセイを綴ってみようと思えるくらいには精神的に余裕があるわけだ。

 一人でコインランドリーに行って、一人で洗濯ができるようになった時、こっちで「生活」をしている感じがした。それが生活に慣れ始めた証だと思っている。洗濯は私の一番嫌いな家事なのだけれど、それが一番日常的な行為に思えた。一番嫌いな家事だということだけではなく、根がビビリなので、そのコインランドリーという日常的な行為が行われる場の中に、よそ者である私が入って行くということの敷居は物凄く高かった。汚い話になってしまうが、最初のその1ヶ月は同じパンツを2日連続で履いたりした。時には2日連続で履いたパンツを一旦寝かせておいて、もう一度履くということもあった。実にお恥ずかしい限りだ。でも、それくらいコインランドリーに行くのがなぜか怖かったのである。初日の深夜に治安状況もよく分からないのに「えいや!」とタイムズスクエアに向かう勇気はあっても、コインランドリーに向かう勇気はなかった。今思えば、大変不思議なことだ。これが生活に慣れ始めたと思える証であるのだけれど、その実はもういい加減同じパンツは履けないと思ったという切実な理由があったからだった。それはNYに来てから約1ヶ月経った5月22日のことだった。


 なんにせよ、私はアメリカでの留学生活に慣れ始めっていったのである。

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