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貧困国としてのキューバ

 そもそも私はキューバに寄ってから日本に帰国するプランが元からあったわけではない。日本を出発して、NYに向かった頃はそういうことは考えていなかった。でも、12月くらいに帰国するつもりでいたから、8月下旬に帰国のプランを練った。その時に折角なら少し旅行してから帰ろうと思い、キューバに行くことにした。(そして色々考えた末にメキシコにも行くことにした。)

 キューバに決めた大きな理由は、2015年にアメリカと国交が回復したことだ。オバマ政権がキューバとの関係の改善を目指し、当時は「アメリカ資本がキューバに流入するからキューバも大きく変わる」とか「今のキューバを見られるのも数年だ」などと言われていた。中国以外の共産国に行ってみたいという好奇心はぼんやりとだが当時からあった。それでも日本から近いところではないし、そこまで強い好奇心まであったわけではないので、結局カストロ(兄弟)政権下のキューバを訪れることはなかった。だが、アメリカ東海岸にいるので、そんなに遠くはない。飛行機で4時間程度だ。国交回復から4年経っているが、それでもまだ4年だと思った。

 トランプ政権によってアメリカの方針が変わったということは聞いていたが、それも程度問題だろうと私は思っていた。ある程度はアメリカ資本が流入して、昔のキューバと資本主義の波が交わる過渡期にあるキューバが見れるだろうと思っていた。しかし、私が見たのはマックもスタバもないキューバだった。帰国した後に調べて知ったことだが、トランプはかなり本格的に制裁を加えているようだ。オバマ政権を否定することがトランプ政権の一つのアイデンティティのようなところがあるから、対キューバ外交を元に戻したというのも言われてみれば納得だ。現地の人たちに聞いてもこの10年で変わったことは特にないと言っていた。結局、アメリカとの関係が良好なものとなったのは一時的なもので、なんならトランプの外交政策によって経済的に厳しい状況にあるようだ。

 ただ、Wi-Fiができたことと、ロックが聴けるようになったことはこの10年で変わったことだとも言っていた。推測だが、観光業を国の産業として推し進めたいキューバは、観光客が不便しないようにWi-Fiは優先的に設置したのかもしれない。ちなみに私が宿泊したホテルは1時間1ドルの利用料が必要だった。無料Wi-Fiというわけにはいかなかった。

 ロックが聴けるようになったというのは意外かもしれないが、それはThe Rolling Stonesの南米ツアーのドキュメンタリーにも出てくるエピソードだ。共産国だからそうした資本主義的なロックは禁じられていた。そのキューバでのライブに何万人もの人が押し寄せたそうだ。

 情報を得ることがWi-Fiによって容易になり、文化の解放は大きな出来事だろう。しかし、それを圧倒的に上回る貧困という現実がキューバにはあった。情報より、文化より、食事という雰囲気を私は感じた。これは私の旅行の仕方によるバイアスなのかもしれない。キューバの旅行情報を調べると明るく陽気に踊っている動画を見つけることができるし、キューバはそういう明るい国のイメージが先行しているかもしれない。そして、それも一つのキューバの見え方だろう。しかし、「日本人が知らない「観光立国」キューバの光と闇:コロンビアから世界を見る③」(若旦那)と題されたネット記事では、キューバにおける貧困と売春の関係や、中南米の中でのキューバ人の自殺率の高さが言及されている。実際に私が見たキューバもそうした負の側面が強かった(さすがに自殺現場を見たりしたわけではないけれど)。

 結論のようなものはもうすでに書いてしまった。要するに、私は貧困を目にした。ここから書くことはその具体的なお話だ。ハバナで過ごした5日間を時系列で紹介しようと思う。


(おまけ)

 私がキューバに興味を持った最大の理由は上記の通りだけれど、しばらくキューバという国にちょくちょく興味を持っていた。一つのきっかけは私が大好きな映画「ゴッドファーザー2」をN Yに行く前に見ていた時だ。ゴットファーザー2の中にはキューバのシーンが出てくる。主人公マイケルはキューバの利権の関係でハバナを訪れるが、その時にキューバ革命が起きる。そのシーンを見て、妙に私はキューバのことが気になって、そのあと映画「チェ」を見た。

 もう一つは私が大好きなお笑いコンビ オードリーの若林さんが『カバーニャ要塞の野良犬と表参道のセレブ犬』というキューバの旅行エッセイを書かれていたことだ。若林さんの『社会人大学人見知り学部卒業見込』も面白く読んだが、今回のエッセイは号泣だった。私の親父はまだ元気で生きているけれど、「ほんと親父ってそういう存在だなあ」と思って読んだ。

 キューバは何か縁を感じる国だった。

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