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嫌なら出て行け

 パトリオットの私でも、自己主張の件に限らず、他にも日本社会で嫌だなあと思うことはある。「他の人がこうだから、あるいは今までそうだったから、あなたもこうしなさい」という「同調圧力」は息苦しい。中島義道が『人生に生きる価値はない』という著作の中で「普通」に縛られる日本人を批判しているが、そうした「普通」による締め付けも結構あるように思う。あと、年功序列。(前回に引き続き言うと)理不尽な要求でも「歳上が言ったから」というよく分からない「理由」もどきが「理由」として機能することはしばしばだろう。

 今のシーズンは忘年会が行われていて、それがちょっとした話題であるようだけれど、実忘年会はそうした宿痾を凝縮しているように思う。「みんな行くんだからお前も来い」、「「普通」行くのだから来い」、「先輩である俺の酒が飲めないのか」etc…知らんがな!!! 楽しければ喜んで自発的に行くし、飲みたい量とか自分で決めさせて欲しい。無理強いさせられるだけで飲み会はつまらなくなる。こっちがどれくらい飲むかでどうして楽しみ方が左右されるのか分からない。みんなが各人楽しめる量を飲むのが一番楽しい飲み会・忘年会になるのではないだろうか。

 ついでに言うと、私は同期が無理に飲ませてきたりするのも死ぬほど嫌だったのだけれど、一人だけ飲ませ上手の奴がいて、そいつにフラれるとついつい飲んでしまうことがあった。二日酔いは最悪だけれど、彼にだけは嫌悪感はなかった。世の中にはそんなパターンもあるよなって思い出した。でも、彼は例外中の例外である。私との性格的な相性がすこぶる良かったのだ。これが勘違いした奴によって行われたら、やっぱり地獄絵図だ。面白くもない奴に無理やり飲まされるとか、飲みすぎてゲロを吐く前にゲロが出そう。


 こうした不満は日本のイヤなところがあるという意味であって、キライを意味しない。それでも不満を持つと、それなら海外に済めばいいとか、極端に言えば日本から出ていけとか思われがちだ。でも、海外がユートピアで最高だなんて思っていない。NY留学でそこまで自分が嫌な思いをしたということも少ないけれど、アメリカでの生活はしんどそうとは思った。特にここ数回書いている自己主張の話はそうだ。ニュースレベルでいえば、差別の問題は深刻だ。NYは比較的そういうのが少ないエリアだから、私自身は差別を経験しなかった。今私はすでにNYを発ち、帰国の途についているけれど、キューバとメキシコを観光してから日本に帰る。今はハバナでこれを書いている。約5日間ハバナにいたけれど、結構嫌なところも見たし、ハバナに住みたいとも思わない。要するに、私は別に海外が最高だぜ!なんて一回も思ったことはないのだ。

 不満があったり、批判したりするのは、何も日本がキライだからではない。単純にイヤなところがあるだけで、もし私の不満や批判が真っ当なものであるのならば、パトリオットとして日本にいい方向に変わって欲しいと願っているということなのだ。日本への愛着や愛情の裏返しである。しかし、残念なことに「嫌なら出ていけ」と言う人がいるどうやらいるようなのである。

 こうしたイヤなところへの不満や批判も自己主張の一種だ。やっぱり日本は自己主張がトコトン嫌われる国なのだなぁと思う。

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