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アメリカ人が抱くヨーロッパ人のイメージ???

 ヨーロッパ人というとどういう印象だろうか?あるいはもっと絞って、イギリス人というとどういう印象だろうか?


アメリカ人というとどういう印象だろうか?


これをお読みの多分日本人の皆様にはそれなりのイメージがあるかもしれない。


では、アメリカ人が思うヨーロッパ人ないしイギリス人のイメージとはどんなものだろうか?


 正直、アメリカ人が思うヨーロッパ人のステレオタイプなんて考えたこともなかったのだが、あるちょっとした二つの揉め事をキッカケに別々のアメリカ人からそれを聞く機会があった。


 一つ目の揉め事というのはこうだ。予め言っておくと私は直接の被害者ではないし、間接的にも被害を被ったわけではない。この話の登場人物は、(1)留学前半で通っていた語学学校のイギリス人の経営者(小さい学校だから毎日会う)、(2)強盗被害者の日本人女性の20代半ばの留学生(Cさん)、(3)私のアメリカ人の先生、(4)私の4人だ。

 Cさんはその語学学校が案内・紹介しているドミトリーに住んでいた。最初は1階に住んでいたのだが、窓から棒を差し込まれてカバンを盗まれそうになった。その時はカバンを必死に奪い返したそうだ。(ちなみにこの判断は誤りだとみんな言っていた。もうそんな抵抗して殺されたら元も子もない。)その事件があったので、上の階に移動したのだが、数週間後に、入り口のドアを壊して、強盗が侵入して、その強盗にCさんはちょうど遭遇してしまった。そして、強盗に数十ドルのお金を渡すことになった。Cさんは合計2回、語学学校が勧めた寮で、強盗で怖い思いをした。まあ、NYの治安が良くなったとか言っても、そんなものなのだ。日本人の感覚からすれば、治安が悪いと表現するべきであろう。(もちろんNYの中でも地域差はある。)

 以前書いたように私も強盗に遭ったことがあるので、彼女の気持ちを今なら多少は察することができる。私はPTSD初期症状が出ていると診断されたし。二度もそうした経験に遭えば、本当に怖かったし、辛かったであろう。でも、彼女はいかなる時も笑顔で気丈に振る舞った。おそらくそうしていないと心が折れそうになったのと、周りに心配をかけないためだったと思う。そんな彼女も実はトラウマになっていた。家の中で扉が半開きになっているのを見ると立ちすくんでしまうそうだ。

 語学学校が学生に勧めている物件である以上、ある程度は学校側にも安全を保障する責任は一定程度あるように思う。でも、最初の事件(棒を差し込まれた時)は学校側にとっても初めての事件だったそうだ。今まで何年もそういうことがなかったのだから、学校にとっても寝耳に水といった感じだったのだろう。だから、その分は責任を差し引いて考えないといけないかもしれない。でも、2回目の事件(ドアが壊されて侵入された)が起きたのは防げたかもしれない。学校側が防犯を強化していれば、未然に防げたかもしれない。しかし、学校側は何も再発防止策を講じなかったそうだ。少なくともその点には落ち度があるように私は思う。

 その学校の経営者はCさんに一切の謝罪もなかったそうだ。しかし、Cさんは現にメンタルをおかしくして、お金も奪われた。それも学校がレコメンドしている物件で、だ。ちなみにCさんは金銭的補償を学校に求めることはしなかった。長期間その学校にいるから、小さな学校で毎日顔を合わせるその経営者と気まずくなりたくなかったそうだ。彼女は感情的な部分で期待していたところが当初はあったようだ。要する、事務的に処理するのではなく、一言、謝って欲しかったようだ。でも、あまりに事務的に処理する経営者に対して愕然として、もうそれも諦めたと言っていた。

 これにはいくつも文化的な違いがあるように思う。(1)まず、経営者は謝ったら負けだと思っていたかもしれない。これは想像だが、謝罪は自分の非を認めることになるから、そうすれば賠償責任が生じ、経営にとってマイナスになる。だから、Cさんに謝罪はせず、警察対応をしておく程度の事務処理だけを行った。日本の企業であれば、どうだろうか。ブラックなところはシカトを決め込むだろうし、優良企業であれば菓子折り包んで謝罪にやってくるかもしれない。その辺は企業によりけりだろうが、こちらが大きく抗議をしなくても、相手側が謝罪するという予期や想定は日本人に多かれ少なかれあるように思う。

(2)経営者に謝罪を求めるのならば、Cさんは病院に行って、診断書をもらい、自分がこれだけの被害を受けたという抗議を正式にした方がよかったかもしれない。黙っていても何もしないなら、理詰めでキッチリと要求するしかない。でも、これはもしかしたら「日本的」な態度ではないのかもしれない。とりわけ顔の分かる範囲でそんなことはしないかもしれない。ただ、Cさんの立場に立って考えれば分かるが、メンタルがやられているので、もう謝罪なんてどうでもいいのである。それどころじゃないのだ。金銭的補償を彼女は欲してなかったし、経営者を理詰めで無理に謝らせたところで何も感情的なプラスにならないのだ。「はいはい、わかりましたよ、すみませんでした」と渋々謝られても全然スッキリしないだろう。だから、彼女はそういう謝罪を要求することはしなかった。(でも、もしこれがアメリカ人なら話は違ったかもしれない。スタンドアップ・コメディでもアメリカ人は自虐的に「訴訟大好きだろ」って言うくらいだ。訴訟して金銭的補償と謝罪を求めたかもしれない。)

 (3)私は自分の先生とこの問題について話していて、学校側にも責任が一定程度はあるし、Cさんは金銭的な補償を求めていないのだから、一言でも経営者はCさんに謝るべきだと言った。先生は概ね私の意見に同意していたが、一点、私には意外なことを言っていた。この意外さというのは、先生の非寛容さに由来するものではない。私がやっぱり日本人的で、平和ボケしているのだと思った。先生は「1回目の強盗未遂の時に、Cさんは具体的に再発防止策を経営者に要求するべきだった」という旨のことを言っていた。要するに、何をして欲しいか、被害者の方から明確に要求するべきだったということだ。私の中にも、再発防止策を学校側が考えて、自発的に学校側が講じるべきだという甘い考えがあったという証だ。アメリカではキチンと自分の要求をその都度明確にしなければならないということを思い知った。それはどんなにメンタルがヒヨっていてもそうなのだろう。誰かの助けを待っているのではなく、自力でそれを行わなければならない。ただ、先生の名誉のために言っておくと、先生は学校に雇われている人間だけれど、別に体制側の人間ではない。Cさんにかなり同情的だし、学校側にある程度の責任があるという点は認めていた。それは下記のエピソードを知れば納得してもらえると思う。

 (4)この問題についてその先生と話している時に、その先生は「金のことばかりで、謝罪はしない。それがイギリス人のやり方だ」と言った主旨のことを言っていた。これには驚いた。訴訟大好きと自虐するほどのアメリカ人がイギリス人に対してそういう印象を抱き、よく思っていないのである。これにはそのアメリカ人の先生とそのイギリス人の経営者の関係がうまく言っていないという背景も関係しているだろう。そして、そのイギリス人経営者はすごく神経質で、ケチだという評判もあり、人間的に難しい奴だ。他の先生もその経営者を本当に嫌っていた。ちなみに私もそいつのことが大嫌いだった。そういう部分を差し引いても、イギリス人に対するアメリカ人が有するステレオタイプはそういうものであるらしい。一人の気難しいイギリス人を例にして、そのステレオタイプが正しいと断ずることは私にはできないし、そのイメージを強化するつもりもないけれど、少なくともアメリカ人の一人がイギリス人に対してそういうイメージを抱いているということは事実だ。そして、次話でお話しする揉め事で明らかになるが、そのようなイメージを持つアメリカ人は一人ではないということだ。


 ちなみに、このトラブルの顛末について触れておこう。結果からいえば、経営者からCさんに対して謝罪があったそうだ。私も面談している様子は外からちらっと見えた。話し声までは聞こえなかったけれど。その謝罪の前日かなんかに先生たちによるミーティングで、Cさんに対して経営者は一言謝るべきだとなったそうだ。結局、先生たちに説得・催促される形で、経営者はCさんに謝罪した。それをCさんは受け入れたし、周りの先生たちが味方になってくれたことを喜んでいた。


補足:私は寮ではなくホームステイだったので、強盗に遭わずに済んだ。その学校は経営者のクセの強さ以外は色々な意味で大変に素晴らしい学校だった。

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