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NYで見た中国人の強さと勢い(前編)

 中国人を賞賛する事それ自体を嫌がる人もいるかもしれないけれど、私がNYで出会ったり、見たりした中国人からは、総じて強さと勢いを感じる。一般的なニュースを見てもアメリカにおける中国のプレゼンスは大きいように思う。米中間は貿易問題で大きく揉めている。そうした政府間のレベルだけでなく、民間レベルでもそうだ。例えばNBAの幹部が香港支持のツイートをしたら、中国からの反発を招き、発言の撤回に追い込まれた。NBAは中国で人気らしく、市場が大きい分、チャイナ・マネーを無視することはできない。でも、これは単にお金の問題というだけではない。ニューズウィーク日本版「中国の圧力に「無条件降伏」したNBAの罪」(ジェームズ・パーマー、2019年10月15日(火)19時00分)でも指摘されているようにアメリカは表現の自由を金科玉条の価値としてきた。強い表現をするなら、アメリカ人にとって表現の自由はアイデンティティの一つでさえあるのかもしれない。私の英語の先生(大学附属の語学学校なので教授)もその点を大勢の中国人留学生の前で嘆いていた。

 とはいっても、NFLで警察による黒人に対する不当な扱いに抗議をしたキャパニックは実質追放されている。キャパニックは試合前の国歌斉唱時に膝立ちをして、抗議の意を表現した。表現の自由をそういう形で行使した選手を認めないあたりに何かダブル・スタンダードを感じるのは私だけであろうか。その点を教授に指摘してみたのだが、私の乏しい英語力のせいで彼のレスポンスの真意がよく分からなかった。しかし、もう一つ、アメリカという国の不思議さというか、複雑さをこの件は示す。キャパニックを広告に起用していたナイキは当初、物凄く批判を受けたようだが、最終的にはキャパニックを支持したナイキは人々から支持されたそうだ。やっぱりアメリカ人はそうした表現の自由や、正義のための抗議を重んじているようにも見える。

 話が逸れたが、そうしたチャイナ・マネーに対する反応はディズニーにも見られるようだ。先の記事の中でも触れられているが、その点を「サウス・パーク」が痛烈に皮肉っている。ちなみにその回は中国国内で検閲にあって閲覧できないそうだ。

 残念ながら日本のプレゼンスは中国のそれほどアメリカ国内で大きくないように思う。私は今年の4月からNYにいるだけなので、それ以前を知らないのだが、中国のプレゼンスは例えば10年前とは比べ物にならなくなっていると推測される。

 この辺はネットで調べればわかる話なので、私が肌身で感じた話をしよう。私は前にも書いた通り、語学留学で来ているに過ぎないから、中国人のビジネスマンと交渉したりしたことはない。会ったことがある中国人は、大きく二つに分類できる。一つは、中華街にいる中国系移民。もう一つは、中国人留学生だ。

 マンハッタンにはチャイナ・タウン(中華街)がある。漫画「BANANA FISH」でも出て来るところだ。ショーター・ウォンがいたエリアである。その他のエリアでも中華街として呼称されていなくとも、中国系の人がやっている飲食店が集まるエリアがあり、NYはとにかく中国系の人は多い。前にあるアメリカ人が言っていたけれど、中国系移民は英語を話さない人が多いそうだ。実際、チャイナ・タウンに行って、英語が全然の人は目にする。もちろん、2世、3世の人たちはこちらで英語のネイティヴ・スピーカーとして育つ。だから、タピオカ屋の比較的年齢の若い人たちは発音がメッチャいいけれど、年配の方は訛りが強い人が多い。(まあ、発音に関しては、私は何にも言えないけれどね。日本人の英語とか本当に聞き取ってもらえないことは多いし、当然自分自身も経験した。マックでdouble quarter pounderを注文した時と、サラダのドレッシングの注文でlemon herb dressingを注文した時、なかなか伝わらないことがすごく印象的な出来事として私の中にある。)

 チャイナ・タウンでは路面で野菜や果物を売っている人が多い。魚屋も多くて、店先・店内には魚だけではなく、カニやイカなど色んな魚介類が並んでいる。とにかく活気がある。マンハッタンでそうやって路面店が密集するエリアは他にないと思う。ブランド物の偽物を売っている人も多い。

 彼・彼女らはすごくエネルギッシュだ。チャイナ・タウンのお隣はリトル・イタリーと呼ばれるイタリア人街だが、そこの入り口にさえ中国系のお店がある。チャイナ・タウンは拡大をして、リトル・イタリーは縮小しているそうだ。ちなみに、リトル・イタリーのイタリアンは美味しくないと言われることもある。知り合いがいうにはほっておいても観光客が来るから味をどうこうするインセンティヴがあまりないそうだ。私の感覚としては、不味くはないけれど、普通のとこが多い。中には美味しいところもあるんだけれど、平均的にはまあ普通。感動するようなものではない。ただ、映画「ゴッド・ファーザー」シリーズの雰囲気を感じることができる。例えば、Ⅱでデニーロ演じる若きヴィトーが暗殺を行うシーン。あれは9月にリトル・イタリーで行われるサン・ジェナーロ祭の最中という設定だ。そのお祭りを見に行ったが、もうあの映画の当時のものを使っているのかっていうくらいボロボロの台車で、正直かなりしょぼいパレードをしている。だから、最高なのだ。あの映画の世界の中に来たようにさえ思えるくらいレトロ感が半端ない。鳴り響く楽器の音色もあの映画のシーンを彷彿とさせる。そのリトル・イタリーが押されているのは何か寂しい。

 また話が逸れた。チャイナ・タウンの話に戻ろう。ある人から聞いたところによると、手コキ程度の風俗営業は全然あるそうだ。アメリカは一部を除き売春が違法だ。売り手も買い手も捕まる。私みたいな学生ビザでき来ている者がその罪で捕まったとしたら、即強制帰国だろう。だから、私はそんなリスクを犯したくないので、すごくオープンな、Yelp(日本でいう食べログ的なサービス)にも載っているようなマッサージ店しか使ったことがない。だから、その人の発言の真偽のほどは定かでないが、その人によると、全身マッサージに行ったら、まず全裸で普通のマッサージを受けて、終わりの方で「手コキするからチップを多くくれ」と言われるらしい。それでも、いわゆる本番行為も、フェラもないそうだ。あくまでもその友人の体験なので、都市伝説的な感じで聞いてほしい。少なくともその人はそう言っていた。

 この話が本当であるならば、随分逞しいなという印象を持つ。BOOWY/NO NEW YORKは立ちんぼの話だが、そんな人は見たことがない。街中で立って売春をするような人はマンハッタンですぐに見つけることは難しいだろう。あるジャーナリストの方がブルックリンではそういう人がいると書いていたと記憶しているが、まあそんな簡単に分かるものではない。NYでの売春はパパ活専用アプリで行われているそうだが、私は全く知らない。使っている人とも会ったことがない。なんにせよ、マリファナとは異なり、そうした売春が厳格に禁じられているNYにおいて、そうやって手コキマッサージを行なっているとなると相当、逞しい。逞しいと表現するのがしっくり来るように思う。(マリファナとか街でどこでも吸っている。もう絶対にタバコじゃない臭いがプンプンしている。あれはマリファナの臭いだと友達に教えてもらうまでは、なんの臭いいだろうと思っていたが。)

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