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人間①

霊長類・ヒト科・ヒト


ホモ・サピエンス




一人一人がその内に宇宙程の可能性を秘めた種族。




※※※※※※




「ねぇねぇ!今度さ!どこか行こうよ!日曜日!」


「日曜は晴れるし、どこ行っても他人がいっぱいいるからイヤだ」


「えぇ~!?じゃあまた家でゴロゴロ?」


 彼氏の上着の裾を掴み、頬を膨らませる彼女の名は本堂 佳子ケイコ

黒く艶やかな膝まである長い髪が印象的な15歳の少女。肌は健康的に焼けていて、セーラー服を着ていなければ野生児のようかもしれない。


「それが1番だろ。だいたい、『どこか』ってどこだよ。決めてから言え」


 佳子に揺さぶられながらも、まるで動く気配のない彼の名はカケル


 翔は二十歳くらいで、フランス系の顔をしている。

 肌は血管が浮き出そうな程白く、髪も銀髪。

 服は全身真っ黒で、ハイネックの長袖とデニムのパンツ。ベルトも黒で、白い肌と合わさると彼だけモノクロの世界にいるようだ。


 ただ、瞳だけは美しい真紅だった。


「『どこか』は二人で決めなきゃ意味無いじゃん!」


「出掛けるのはお前だけで決めていいんだ?」


「そっ…」


「そ、なんだよ?ほら、言い返せるなら言ってみろよ」


 ニヤニヤ笑う翔に、涙目で赤くなる佳子。



「…そんなに出掛けたくないなら、もういいよ!ルゥの引きこもり!!」


「なっ!!おまっ!…ヒデェ」


「それこそ言い返しなよって、ああ!!」


 突然上げられた大声に、驚く翔。でも眉が少し上がったくらいの反応だった。


「今日友達と約束してたんだった!すっきり忘れて帰って来ちゃったよ」


「すっきりしてんならいいんじゃない?」


 軽く?みぞおちにツッコミと言う名の拳を食らわす、佳子。


「ぐっ…お前の拳は凶器だ、な」


「うるさいなー。とにかく、ゴメンね。行ってくるよ」


 スクールバッグに適当に荷物を放り込む。

 もちろん彼女は選んで入れてるのだが、男の翔からしたら適当にしか見えない。


「あーケイ。キヲツケテネ」


「え、何?その気持ち悪い言い方」


「無意味と知りつつ言ったらこうなった」


「どういう意味かな?」


「お前は気をつけてもトラブル起こすし、起こっても気付かないから大丈夫」


「鈍感て事!?それは私が鈍感だって事!?」


「分かってんじゃん」


 翔は軽く息を吐く様に笑った。


「も~じゃあ行って来るからね」


「いってらっしゃい」




 ドアの閉まる音を聞きながら、翔は目を瞑った。


 床に、長い手足を投げ出し仰向けになる。自然と両手を腹の上で組み、脚をクロスさせた。



 そのまま次に彼女が来るのを待つのがいつものパターンだった。


 ただ彼は、本当に一切身じろぎせずに待つ。


 眠った翔は、まるで死体のように見えた。






「いや~ゴメン可奈」


「ゴメンじゃねーー!!」


 軽く謝る佳子に可奈は怒鳴った。


「両手挙げたらお腹見えちゃうよ?」


「うるさいわね!そんな事どうでもいいの!」


 と言いつつ、頬を赤くしてお腹を隠す可奈。恥ずかしさでますます怒りが沸いたようで。


「な・ん・で!一緒に遊ぼうって約束してるのに!先に!帰る!の!」


 ついつい変な所にまで力を入れてしまう。


「いやーメンボクない」


 ルゥの所に直行してましたなんて言ったら殺されそうな勢いだなぁ、とぼんやり佳子は考えた。


「どうせ、カレシの所でしょ?」


「バレてた!」


「佳子の猪突猛進は毎度の事ですから」


「す、すみません…」


「でも、いいの!どうせ今日は罰でも何でもなく奢ってもらうつもりだったし」


「え?何ソレ、ちょ」


「ドーナツ食べに行くよ佳子!聞いて!そして聞いて!」


 佳子を猪突猛進と言っておいて、可奈も同じ様な性格のようだった。友達だから似てくるのか、似た者同士だから友達なのか。

 


毎度の事ながら説明文は適当です。

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