吸血鬼
世界各地に伝わる血を吸う怪物。生きた死体。
ヨーロッパのドラキュラ伯爵が有名。
物語の中で最強とされる事が多いが、その分弱点も
日光、十字架、純銀、聖水、聖灰、流れる水(川や海)など、数々ある。
実際に倒すには、胸に杭を打つか、首を切り足元に置くくらいしか無い。
また別名も多く、ノスフェラトゥ・ノーライフキング・グール・キョンシー・酒天童子も吸血鬼の類い。
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俺は、生まれながらに王だった。
吸血鬼の祖だった俺には何の不自由も無かった。仲間に逆らう者は無く、敵は撫でる様に殺してきた。
ただ退屈だった。
ある日人間と戦争をする事になった。
と言うより、部下に聞いて初めて、戦争をしていたのだと知った。
今まで俺が食事だと思っていたものは、戦争だった。
それから少し、退屈では無くなった。俺の元にも強い人間がやって来るようになったからだ。
人間は面白い。脆い身体に浅い知恵。それらを駆使して向かってくる。
どんなに心を砕いても。
食事は遊戯になった。
しばらくして、俺も少しずつ人間の土地に攻めていった。待っているだけじゃ詰まらんからな。
そこには色々な人間がいた。よりどりみどりだ。
老人よりも若い方が美味い。でも赤ん坊まで行くと味がイマイチだ。俺には柔らかすぎて乳くさい。大人になる少し前位がいい。そして男よりも女だ。酸味もクセも少ない。香りも甘く、口当たりが柔らかい。15・6歳程の娘。あぁ……最高だ……。
遊戯は快楽になった。
狩って 吸う。弄んで 捨てる。笑いながら 殺す。
欲しい分だけだらしなく血を吸い、あとは要らないとばかりに打ち捨てた。
敵も味方もなくただ目に写る全てに死を与えた。
飽きる程に殺して……飽きた。
唐突に、何もかもが煩わしく感じた。数で攻めるしかない人間。無能な部下。死なない我が身。
何に熱を持てばいい?
快楽は堕落になった。
歳月は流れ、化物たちは滅びた。
理由は知らない。死なないのをいい事に日の当たらない穴の中に閉じ込もっていたから。
起こしに来た部下も人間もやっぱり等しく殺して血を吸えば、俺は更に強くなった。
死が、また遠くなる。
堕落は滅びになり、俺は独りになった。
化物が滅びてからの世は何処も彼処も人で溢れ、夜も昼と変わらない明るさで。仲間はもう御伽話の中にしかいない。
孤独が俺を蝕んでいく。
どこでそうなったのか分からない。ふと寂しいと思い、それしか考えられなくなった。
今まで死は俺が与える物だった。では俺が死を望んでいる今、誰がくれるのだろうか?
今宵も獲物を求め、狩りにでる。味覚は何百年経っても変わらずあの時のままに。
これもまた吸血鬼についての説明文は適当です。
厳密に言うと違うと思うのですが、『人間の血肉を啜る』『死に難い』という括りで吸血鬼の別名としています。
ホントすみませんウソではないですすみません