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食卓で浮かんだ事。

作者: 一柳 紘哉


 お菓子の枕で毎晩眠る彼のことを、この町の皆は馬鹿にしていると思う。


 皆が皆、彼の事を子供っぽいと言って指を刺して笑うからだ。


 お菓子というのが子供っぽい印象を与えるのだろうか?


 でも、僕はそうは思わない。


 彼は身長だって高いし(2m2cm)、暖かくて眠りやすい優しい匂いのするお菓子の枕を毎晩キチンと焼きなおしては取り替えてるし、仕事だって(ネジ工場に勤めてる)早いし責任感だって強い。


 でも、お菓子の枕でしか眠れないという彼のちょっと変わった部分で大多数の人は勝手に間違った判断をしてしまうのだ。


 残念に聞こえてしまうけど、とても寂しい。


 僕は彼と友達になりたかった。


 彼と僕は殆ど同じ趣味を持っていた。


 音楽は同じジャムバンドを好んで聞いていたし、週一回は必ずレンタルビデオ店で五本何かを借りていくのも同じだった。


 それに、なんと言っても彼と似ている部分は僕は毎日お菓子で作った眼鏡を身に着けなきゃ外出できないって事だ。


 でも、僕はうまいこと逃げ回って町の皆に馬鹿にはされてない。


 なぜなら、皆が皆。僕の眼鏡をバームクーヘンみたいなお洒落な眼鏡だねって勘違いして間違えてくれるからだ。


 僕は彼の家の隣にある青い犬小屋の脇から彼を見る。


 真昼の小さな緑の庭で彼はお菓子の枕で眠っている。


 とても堂々としていて、僕はなんだかとても恥ずかしくなった。


 僕は彼と友達になりたいんだ。


 でも、僕は本当に情けない人間で、前に町の皆と彼のことを馬鹿にしてしまったことが頭によぎってしまって、話しかけることができない。


 真昼の悪戯な風がふいて、彼の家から甘くて優しい匂いが香る。


 僕は彼に話しかけるタイミングを掴むために、毎日隠れて彼を見る。


 お菓子の眼鏡を食べながら。

本当にただパッと食卓で浮かんだ話しです。知り合いの先生の家でお菓子を出された時に浮かんだだけで、頭の中で掘り下げても何もならないですが何故か文字にしたら少し意味をもってるように感じたのでモノとして出してみました。読んでもらって本当にありがとうございます。ピース


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― 新着の感想 ―
[一言] お菓子の枕とお菓子の眼鏡、実際にはありそうにないものなのに、なぜか不思議と「ありかも」と思わせてしまう面白い作品でした。 町の人たちが彼のことをバカにするのは、お菓子が子供っぽいという理由で…
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