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38、晩餐会

 食堂には、やはりと言うべきか、城の雰囲気に合った長いテーブルが置かれていた。

 卓上の白いテーブルクロスの上には豪華な食事の数々が並べられている。星でも知っているもので言えば、(素がどんな生き物なのか分からないが)ローストビーフ、(よく分からないが新鮮な野菜の)サラダ、コーンポタージュだ。

 テーブルの前には椅子が八脚、整然と並べられている。上座に二脚、左右に三脚ずつだ。上座にはもちろん王と王妃が座っている。

 星達は二人が座っている場所の右側の椅子三脚を見る。彼らが入ってきた扉が王達の左手方面なので、テーブルを挟む形になる。

 王の子達であるだろう若い男女が三人、真紅の瞳をこちらに向けていた。男が一人、女が二人だ。

 一番王寄りに座る、おそらく一番年長なのが男である。見たところ齢二十程で、王族にも関わらず服の上からでも分かるくらい鍛えられた筋肉質な身体が印象的だ。逆立つ短い髪の毛からも、彼に武術の心得があることが窺える。

 中央に行儀よく座る女性は、星やカノンと同じぐらいの年頃で、星が出会った人の中でも珍しく眼鏡を掛けている。そしてスラッとした体型、艶のある黒のロングヘアーから知的な印象を与えられる。

 端っこにちょこんと座るのは見た目十歳かそこらの少女だ。幼さの残る顔立ち、発育途中の身体、紅蓮のように赤いツインテールからは、しかし成長した後の美貌の片鱗が容易く見て取れた。星も確信する。この娘は絶対美しくなると。

「来たか。では空いている席に座ってくれ」

 王クレイドが告げた。

 星達は、上座の側からディオネ、カノン、星の順に座る。体裁の上ではディオネが一番偉い(?)からだ。王達と知り合いということもある。無論星、カノン、ディオネの間で身分云々は最初から意味などないのだが。

 三人とも腰を下ろすと、クレイドが子達に促す。

「御客人に挨拶をしなさい」

 まず、男が口を開く。

「俺はギャノン・レフェリア。ここラフェリア王国の第一王子だ。王子に似つかわしくないとか思ってるんだろうが、まあ、自覚はしてるぜ」

 はは、と快男児よろしく笑うその顔は、さながら少年のようであった。二十歳ぐらいなら、見た目によっては少年と呼べないこともないのだが。

 次に眼鏡の少女が滑らかに喋りだす。

「シュリテア・レフェリアと申します。以後お見知りおきを」

 簡潔にシュリテアが名乗ると、今度は一番年下の女の子が待ってましたとばかりに身を乗り出す。

「シャリイ・レフェリアですっ。王家の名に恥じないように頑張ってますっ。よろしくねっ」

 満面の笑み。

(か、可愛い……)

「星君、どうかした?」

「あ、いや、何でもないよ」

 慌てて星は取り繕う。

 コホン、と一つ咳払いしてディオネが話し出す。

「私達も名乗っておこうか」

 そしてディオネ達も軽く自己紹介を済ませた。

「では改めて。食事を始めようか」

 王の言葉を合図に、各々飲み物の入ったグラスを顔の前辺りに翳す。シャンデリアから漏れる光が反射して鮮やかなコントラストを描いた。

「乾杯!」

 そして豪華な晩餐会は始まった。

 それぞれ楽しげに会話を始める。ディオネは王と王妃と、カノンはギャノンとシュリテアと。そして星はと言えば、

「シャリイちゃん」

 早速、自分の前方に座るシャリイ・レフェリアに話し掛けた。

「はい。ええと、星さん、だよね。なあに?」

「シャリイちゃんは、普段はどんなことして過ごしてるの?」

「礼儀・作法のお勉強とか、お兄様やお姉様に遊んでもらったりとかかな。星さんはどんなことしてるの?」

「俺は、このお姉ちゃんとあっちのお姉ちゃんと三人で旅をしてるんだ。でも、そうだね……俺がしばらく前までは普段していたことを話そうかな。ゲームっていうんだけど――」

 十分は経っただろうか。シャリイは食事を行儀よく食べながら興味津々といった風に星の話に耳を傾けていた。

「よく分からないけど、すごいっ! 今はそのゲームっていうのはないの?」

「ごめん、ちきゅ、じゃなかった、ずっと遠い所にある家に行かないとないんだ」

 と、そこまで言った所で星は気づく。右ポケットに手を入れ、携帯電話を取り出した。

「シャリイちゃん、こっち向いてちょっと笑ってくれない?」

 少なからず疑問に思っただろうが、シャリイは素直に星の言う通りにする。

「これでいい?」

「うん、それじゃあちょっとそのままでいてね」

 星は携帯電話の画面と少々にらめっこした後、決定ボタンを押す。

 パシャリ。

「!?」

 王家の者が全員星に驚きの眼差しを送る。

「見てごらん」

 シャリイに今撮った写真を見せる。

「わあ~、私が写ってる。どうしてどうして?」

「これは写真っていって、好きなものを写すことができるんだ」

 言い終え、自分の方に戻すと同時に保存した。

 再び、それぞれ会話や食事を始める。王族の人達がいつも食べている料理を一般人が食することなんてそうそうあるものではない。星、そしてカノンやディオネまでもがたっぷりと豪勢な夕食を堪能した。

 時刻にして二十時、晩餐会は幕を閉じた。

何か、最後らへん適当に纏めた感が否めないのですが、前回投稿から17日も経ってるので投稿しました。


キャラの名前を決めるのも大変ですね。英単語から引用しようとしてもしっくりするものがなく、色々考えた結果、結局決めるのに何日か掛かってしまいました。シャリイだけは前から出そうと思っていた名前です。


ではまた、2~3週間(?)後くらいに。


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