プロローグ
皆さん、はじめまして。蒼穹天使と申します。このサイトは以前から拝見させていただき、自分も小説書いてみようかなあ、と思い、書いてみることにしました。では、どうぞ。
深い深い、とても深い森の奥。そんな場所に、何かの儀式にでも使うかのような祭壇が、ぽっかりと空いた空間に築かれていた。
正方形をした祭壇は、四方に柱が立ち、中央には石でできた台が設置されている。そしてその上には、心を見透かされそうな程に透明な水晶玉が置かれている。
その前方に、水晶玉を見つめる一人の人間が立っていた。
フードを深く被り、身体全体をマントで覆っているが、マント越しからでも分かる華奢な体型、そしてフードから僅かに覗く透き通るような白い肌から、女性だということが窺える。
女性は、希望に満ちた、しかしどこかもの悲しそうな表情で暫く水晶玉を見つめ続けていたが、思いきったように口を開け、何かを呟き始めた。
魔法。
遥か昔、この世界、《ウェリアル》に於いて、その存在は欠かせなかった。
人々はこぞって新しい魔法を造り出し、より強大な魔法を行使できる人間が大衆を指揮し、魔法文明は揺るぎない繁栄を誇った。
だがある日、それは起こった。
一夜にして、魔法文明は何者かの手により滅ぼされたのだ。
その後、僅かに残った人間で子孫を増やし、数百年という長い歳月が流れていったのである。
何故魔法文明は一夜にして滅びたのか、それを知る者は今となっては数人しかいない。
彼らは魔法を唯一使える存在として、現在は賢者と呼ばれ、ひっそりと生活を送っている。
そして、現在水晶玉に向かい呪文を唱えている女性が、大賢者、アグライアである。
彼女は呪文を唱え終えると、水晶玉に語りかけた。
「世界中の皆様、聞こえていらっしゃいますか」
彼女が唱えたのは、水晶玉を通して人々の頭の中に直接語りかける魔法。
その効果は凄まじく、世界中の人々に遍く伝わっていた。
ある町では町人が道にひれ伏し、ある村では村人が歓喜にうち震え、そしてある国では王が感泣した。
それ程までに、ウェリアルの人々にとって大賢者アグライアというのは偉大なる人物なのである。
アグライアは語る。
「この世界は十年後、滅びを迎えます」
人は皆、動揺した。動揺せざるを得なかった。
アグライアは水晶玉を通して見える人々に対して、よく通る、それでいて荘厳さを感じさせる声で続けた。
「しかし、希望を失ってはいけません。十年後、異なる世界より救世主が現れ、必ずやこの世界を救うでしょう……」
そうしてアグライアは語り終えた。
(私の魔力も底を尽きかけている。十年間眠り、魔力を回復させないと……)
そう呟き、大賢者は祭壇を跡にした。
改めまして、蒼穹天使と申します。暇な時等にちょくちょく更新していく予定です。まだまだ未熟故、稚拙な文等あると思いますが、自分の文章で精一杯執筆していきますので、今後も是非ともよろしくお願いいたします。