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ひとつの空

作者: いけさと

 遥かなる森に暮らす人々よ。これから私がテレビと呼ばれている存在について話をしよう。

 わたしたち文明人にとって、テレビとはつまり神と同じような存在なんだ。これまで神になりたいと思い、神になれたものなどひとりもいない。しかし人々は知らず神を創造してしまった。それがテレビと呼ばれているものなんだ。

 このテレビという奴は、とても気紛れな神で、多くの人間を簡単に幸福にもすれば、幸せな家庭を一夜にして崩壊させたりもする。

 そしてテレビの言葉により、偽りは真実となり、真実は偽りとなる。人々はテレビに泣き、笑い、感動したり、怒ったりもするが、決してテレビを恨むことはない。

 どれほど強力な武器を持つ兵隊たちも、どんなに広大な土地をもつ王様でさえも、テレビを完全に操ることはできないし、テレビとは争いたくないと考えている。それどころかテレビを恐れてさえいるんだ。

 テレビに祈りを捧げたり、供え物をするものなど誰一人としていないが、知らず人々はテレビを信じ、テレビにあやつられ、テレビを信仰し、テレビなしではいられないでいるんだ。

 森の人々よ。お前たちはテレビを神ではなく、悪魔だと思うかもしれない。だが私たち文明人が、テレビからさまざまなことを学び、新しい知識や幅広い考えかたを教えられていることも、忘れてはならない確かな事実なんだよ。

 テレビの色や形については、あえて語る必要もないだろう。テレビは色や形ではなく、その存在そのものに意味があるのだからね。

 しかしテレビは人間にしか意味をもたない。お前たちの信じる神のように、涸れた地に雨を降らせたり、優しい太陽の陽ざしをわけあたえてくれることも、テレビにはできないのだから。

 これまでどおりでいい。お前たちはこの森を育む青空の神に身をゆだね、信じて生きてゆけばいい。それはお前たちにとっての最高の幸せの一つでもあり、テレビを信仰する私たちにとっても、また一つの幸せに違いないのだから。




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