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ハンドレッド編その13・分断の異次元空間

 Side 藤崎 シノブ


 =昼・廃墟=


 気が付けば何処かの町の廃墟にいた。

 夜から昼になっている。

 ライドセイバーに変身し、周囲を見渡す。

 偵察系、探知系スキルが上手く作動しない。

 それにこの空間——以前経験したジャマル空間に似ている。


『よく来たな、ライドセイバー!!』


 上空のモニターから黒い鎧を身に纏った白肌で金の毛のライオンの獣人が映し出された。


『俺は宇宙犯罪組織の大幹部、キングライオスだ』


『仲間はどうした』


 このタイミングで宇宙犯罪組織が絡んで来るとは思わなかったが、日本政府とグルで、日本橋に封印された恐怖の大王のために悪事働いていた連中だ。

 ハンドレッドと組んでいると言うより日本政府との関係を今も続いていると考えた方が自然だ。

 その流れでハンドレッドに協力しているのだろう。


『安心しろ。別々の場所に転移してある。もっとも生きてるかどうかは分からないがな』


 典型的な脅しだ。

 それよりも周囲から迫る敵と戦わなければならない。


『頑張ればこの空間から生きて出られるかもしれないなぁ。まあ精々頑張るがいい』


 と、言い残して通信を切った。

 

(戦闘員クラスか……複数の組織の戦闘員を投入している感じだな)


 戦闘員達のデザインはバラバラ。

 見た事あるのはジャマルの戦闘員だ。

 後は頭部だけが変異した迷彩服の兵士のような怪人までいる。

 

「よぉ、藤崎ぃ? また会ったなぁ?」


『赤霧か!!』


 現れたのは赤霧 キョウマだ。

 その間にもシノブは戦闘員の群れを高速で捌き続ける。


「テメェはやっぱ念入りに殺しとかないとなぁ。生き延びられて色々と邪魔されても厄介だしよ」


『直々に始末しに来たと』


 事態は赤霧 キョウマを倒してどうこうと言う段階は過ぎている。

 だが放置しておくには危険すぎる人物だ。

 

「お前も、谷村も、邪魔者は全員殺したらお前の女を物にしてやんよ」 


『ヘラヘラ喋ってないでさっさと変身しろ。スグに終わらせてやる』


「はっ、余裕満々かよ。気に食わねえな」


 黒いヒーロー風バックルを腹部に押し当て、変身ベルトにし、カードを装填して変身。バイクモチーフのダークヒーロー然とした姿となる。

 全体的に厳つくなっていた。

 両腕に戦車の大砲、両脚がキャタピラがついてごつくなり、両肩は軍艦の砲台が付いた船首部分になっていて、背中に戦闘機の後ろ部分を乗っけたようになっている。

 胴体には戦闘機のコクピットがついた先頭部分がついている。


『フルバーストだ!! くたばりやがれ!!』


「ッ!!」


 空中に飛び上がり、砲弾や機関銃、ミサイルが雨あられと降り注ぐ。

 敵味方を巻き込んだ大爆発が起きる。 



 Side 桜井 あきら


 =昼・ファイターベース=


 自分達の秘密基地。

 ファイターベース。

 それが廃墟となっている。

咄嗟にファイターレッドに変身しつつ、眼前の光景に目を疑うあきら。

彼も人の子、突然の空間転移の先で自分の家とも呼べる場所がこうなれば精神的に動揺してしまう。

 

『待ちかねたぞ、ファイターレッド』


現れたのはメカデスだった。


『メカデス!? お前もこの世界に来ていたのか!?』


『当然!! 我々異次元帝国ディメルにとって侵略できる世界があるのなら手を伸ばすに決まっている!!』


 メカデスのトマホークを変身して剣で受け止めるあきら。

 激しい武器のぶつかり合いが始まる。


『仲間はどうした!?』


『手始めに仲間から孤立した貴様から葬り去ってくれる!!』


 その言葉は、裏を返せば仲間は死んでいないと言う事だ。

 心配ではあるが、少し安心してあきらは強気に出た。


『僕達の仲間はそんなヤワじゃない!!』


『ああ、忌々しい程にしぶとい連中だ!! だがリーダーのお前が死ねばあの世界の侵略は楽になる!!』


『そんな事させない!! お前を倒して僕は元の世界に帰る!!』


 両者ともに激しく武器をぶつけ合いながら戦う。

 時に移動し、時に跳躍して空中でぶつかり合い。

 そして崩壊したファイターベースの屋上へと移動。

 互いに距離を取り、出方を伺う。


『成程、強い。この世界で遊び惚けていたワケではないな』


『メカデス。お前もハンドレッドに協力しているのか?』


『ハンドレッドと言うより、この世界の日本政府にな。この世界の日本政府はお前がいた地球の人間より聞き分けがいい。味方だったら即刻首を跳ね飛ばすぐらいのクズ揃いだがな』


 と述べるメカデス。

 ここで本気で殺すつもりなのだろうか、丁寧に教えてくれる。

 日本政府が屑揃いなのは、あきらも話に聞いている。 

 異次元帝国ディメルも邪悪であるが、それに負けないぐらいに邪悪であると。


『ハンドレッドと協力して、日本橋を破壊してどうするつもりだ?』


『ククク、そう言う取引なのだよ』

 

 肝心なところでガードは硬い。

 恐怖の大王、アンゴルモアが絡んでいるのだろうかと思う。


『お前を倒し、仲間達も後を追わせてやる!! 安心して死ぬがいい!!』


 メカデスが仕掛ける。

 瞬時に距離を詰めてトマホークを振るう。


『僕は敗けない!!』


 そう言ってあきらはメカデスの迫りくるトマホークを剣で弾く。

 しかし左腕で殴られ、吹き飛ばされる。


『ガッ!?』


 あきらは手に持った白く玩具っぽい形状のファイターブラスターを発射。

 メカデスの胴体や頭部に何発も着弾する。

 そのままあきらは屋上を後退って屋根の端、落下寸前のギリギリのところで立ち止まる。


『舐めるな!!』


 攻勢が止まらないあきらに両目からビームを放つメカデス。

 不意を突いた攻撃はあきらに着弾して爆発が起きた。 



 Side キャロル・アイビリーブ


 =異世界・リブラリア、フェルミア王国跡地=


 フェルミア王国。

 嘗て異世界リブラリアに存在していた、男尊女卑だらけのリブラリアにおいて女性に優しかった国。

 地球の日本政府が見捨てた国だ。

 

 見捨てた正確な理由はキャロルも分らない。

 憲法九条とか、国同士のアレコレとかが関わっているのだろう。

 その滅んだ国に何時の間にか転移した。

 だが頭につけたヒーローグラス型の魔道具の解析結果が、眼前の光景はある種の幻であると告げていた。 


 呆然としながら眺めていると、背後からカオスが現れる。

 

「ゼツパライア帝国のカオス——」


『日本政府は異世界リブラリアを地球の避難所にするつもりらしい』


「それって―—」


 キャロルは知っている。

 地球の移民問題。

 そして世界各国によって民度と言う奴は違うらしい。

 礼儀正しい、マナーとか土地の決まりを守ってくれる人は少数派。

 大多数は寄生虫の様に、自称難民を名乗って裕福な暮らしを人間がいる事も知っていた。


『だが帝国にとっては将来の奴隷が増えるだけに過ぎん』


「世界跨いで奴隷貿易って何を考えてるの!?」

 

『地球の事は私も調べた。日本は何だかんだ言われてるがまだマシな方で、国によっては奴隷制度はまだマシな方、酷いレベルだと臓器売買ビジネスが成り立つ土地もあるのだろう?』


「それは——」


 地球の負の部分だ。

 カオスが言ってる事は否定できない。


『我々帝国も善とは言い難いが、お前達が救おうとしている国は悪しき人間だらけだぞ?』


「それでも救う!!」


 キャロルは言った。


「飯も美味しいし、服も可愛いのあるし、女の子だってヒーローに憧れても普通で許されるステキな世の中だし、ゲームとかも面白いし、皆距離間とか模索しながら何だかんだで優しくしてくれる人も多いし、風呂も毎日入れてトイレも綺麗だし……ともかく、私は救う価値があると判断した!!」


 と、言ってのけた。


「日本の人達はね、本当はいい事したいんだけど、ただどうすればいいのか、どうすれば本当にいい事なのかどうしても模索しちゃう人達なのよね。それを善いとか悪いとかの二元論で考えること事態が良くないんだよ」


 と言って笑みを浮かべるキャロル。

 カオスは鼻で笑い、雰囲気が一転。


『ならば自分が愛した国のために殉じるがいい』


 そう言って手下を大勢出す。

 全身鎧の魔導兵を中心にゼツパライアの魔獣も繰り出して来た。

 

「多勢に無勢だけど、そう簡単にはやられないぞ!!」


『その強がりが何時まで持つか見物だな』


 戦闘が開始。

 キャロルは空中に浮かんで光弾の雨を敵集団目がけて放った。



 Side 前嶋刑事、緒方 ミツル、北川 舞


 =異空間内・夜・日本橋=


 多勢に無勢。

 何時の間にか戦争でも起きたのか、廃墟となった日本橋で前嶋刑事、警察官達、緒方 ミツル達や公安の人間達も巻き込まれていた。

 カッコいいSFぽいアーマーに身を包んだガーディアンズの人間も巻き込まれている。

 変わった背格好の人は退魔師や魔術師の人達だろう。


 相手は雑多な種類の特撮物に出て来そうな戦闘員。

 昨今は一番組でも戦闘員は色々と種類が出るそうだが、どう見ても複数の組織分ぐらいの種類はある。

 激しい銃撃は鳴り止み、あっと言う間に徒手空拳で立ち向かう事を余儀なくされた。


 これでも前嶋刑事は昭和のヒーローに憧れて空手や柔道を嗜んでいたが、もっと力入れて鍛えておくべきだったかと後悔する。

 それよりもこの歳になってこんな修羅場に放り込んだ、いるのかどうかも分からない運命の神とやらに恨み事でも言えばいいのか。

 宇宙人もいたし、魔法使いもいるのだ。神様だっているべきだと、前嶋刑事はどうでもいい結論に辿り着きながら相手の戦闘員を投げ飛ばす。

 だが投げ飛ばされた戦闘員は即座に立ち上がって襲い掛かって来る。


「まったく。無駄に歳くった罰でも当たったか?」


 一体、二体投げ飛ばしてどうにかる状況ではない。

 汗だくになり、ゼエゼエと呼吸を荒くする前嶋刑事。

 緒方 ミツルも似たような状況だ。


「不味いですね。乱戦に持ち込まれて被害が拡大しています」


 相手は銃など何ともないし、恐れもしらない怪物軍団。

 自衛隊でも想定外と言わざるおえない相手。

肩 退魔師や魔術師、ガーディアンズにヒーロー達が率先して被害を抑えようとしているが、それでも限度がある。


「ちっ、遂に出たか」


 黒い魔犬のような怪人。

 右肩も左肩も頭部。

 三つ首の魔犬、ケルベロスをイメージしたような怪人だ。

 ここは敵の本拠地、覚悟はしていたが最悪な状況での登場だ。

 三つ首から火炎光弾が放たれ、前嶋刑事達が爆炎に包まれる。 

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