ハンドレッド編その12・道中
Side 前嶋 刑事
=夜・自衛隊駐屯地から少し離れた道路=
周辺の道路を封鎖。
検問を張り突入準備を始める。
巨大怪獣が暴れた後のせいか厄介なマスコミも嗅ぎ付けて来た。
前嶋刑事は少し離れた場所で緒方 ミツルと連絡をとる。
巨大怪獣三体に襲われると言う、とんでもない災難にあったらしいがヒーロー達の手でどうにか生き延びたようだ。
死人が出ていないのは奇跡と言っていい。
「しかし、君も想像以上にタフだね」
前嶋刑事は緒方 ミツルの想像以上の根性に賞賛する。
『自分でも驚いてますよ』
「で? 彼達は?」
『我々では足手纏いになると判断して現在別行動しています』
「そうか。段取りは?」
『今そちらに向かっています。あってから話しましょう』
「ああ」
盗聴対策だろう。
迂闊だったかと前嶋刑事は思う。
(彼達はもう近くか……準備を急がせよう)
もはや警察の手に負える範疇など超えている。
それでも誰かがやらなければいけない事のためと言い聞かせて、職務に励む。
自分はここまで警察と言う仕事にプライドや誇りを持っていただろうか。
その事を不思議に思いつつも準備をする。
☆
Side 藤崎 シノブ
=夜・自衛隊駐屯地近辺の寂れた田舎町=
目的地である自衛隊駐屯地がある周辺の町は寂れた田舎町と言った感じだった。
ボロボロで人が済んでおらず、雑草が伸びて建造物にまで伸びてある廃墟。
さび付いたシャッターが降ろされた商店だった建造物。
元気なのはコンビニぐらい。
ちょっとした肝試しをしているような感覚になる。
傍にいるのは青髪で凛々しく整った顔立ちの王子様系爆乳女子、桜井 あきらと長い金髪ギャル、キャロル・アイビリーブの二人。
あきらは並行世界人で女戦隊レッド。
キャロルは異世界人で魔法少女(見た目はサイバーパンクくノ一)。
藤崎 シノブは異世界人で元勇者であり、どちらかと言うと王子様系女子のあきらが仲間外れ感がある。
「二人ってどうして緒方さんに協力してたんだ?」
ふとシノブは疑問を浮かべる。
「私は、今回の事件解決に頼まれたのもあるし、メイド喫茶の店主——ヘレンさんに頼まれたのもあるかな?」
特に隠す事でもないのかキャロルは話してくれた。
あきらも「僕も似たような感じですね」と打ち明けてくれる。
「そう言うシノブはどうなんですか?」
あきらも尋ねてくる。
「場の流れって奴だな。ショッピングモールでデートしてたらハンドレッドの襲撃に遭って、死んだふりして場をやり過ごしてたところを緒方さんに拾われた」
特に隠す事でもないのでシノブはその当時の状況を思い返しながら伝えた。
「デートってシノブ付き合ってるの?」
ここでキャロルがデートと言う部分に食いついた。
シノブは何となく予想できた流れなので特に動じる様子もなかった。
「まあ、異世界を救って元の世界に帰還したら色々あってそう言う仲になった。俺には勿体ない人だよ」
これは本音だった。
ハーレム容認していて、異世界での女性関係も把握した上で付き合ってくれる。
更にはオタク趣味とかにも合わしてくれるし、騒動に巻き込まれる際は泣かれながらも背中を押してくれる。
とてもいい女性だとシノブは思う。
二人は何故だか顔を真っ赤にしながら何やら考えている様子だった。
「ファイターロボで戦ってる姿は二度あったけど、まさかこんな美女だったとは。彼氏いるの?」
「え? その、僕なんかに彼氏なんか……」
奥手な様子を見せつつ照れるあきら。
「あきらってこんな感じなの。女の子らしさとかそう言うのに憧れてるけど、何か男っぽくあろうとしている感じなのよね」
「キャロルってば」
(そう言えばファッションも力入れてるな)
あきらのファッションは女の子っぽい落ち着いたカジュアルな背格好のファッションだ。
元がいいので余程変な格好をしない限りは何でも似合うだろう。
ゴスロリ系とか地雷系とかもギャップ狙いでいけそうでもある。
「こんなに顔が綺麗で、スタイルも良くて胸も大きいんだし、そう言う話もあったんじゃないの?」
「じゃ、じゃあキャロルはどうなの?」
尋ね返すあきら。
「私? 異世界リブラリアって男尊女卑的な世界だからね。恋愛と言うよりも、Hの道具? みたいに扱われる女の子が多いらしいの」
と、何処か悲しげに語るキャロルにあきらは「ごめん。嫌な事聞いたね」と謝った。
「ううんいいの。それに男女平等社会はそれはそれで大変だってこの国で学んだしね」
キャロルが言う通り男女平等社会にも問題はある。
そこへ更に人種だの国籍だの思想だのが絡むから余計にややこしい。
「それに私ってその、結構Hなところあるしね。可愛い女の子が敵に負けてHな目に遭うゲームとか普通に手を出してるし」
などとキャロルは顔を真っ赤にしてカミングアウトした。
「あまり誰彼構わずそう言うのは言わない方がいいと思うよ?」
「うん、シノブの言う通りだよ。気を付けた方がいいよ」
二人の忠告にキャロルは恥ずかしがりながら「ごめん」と謝罪する。
「でもシノブとあきらならいいかな~って思ったり」
「あきらはともかく、俺はまだ会ったばかりだろ?」
シノブは頭を抱える。
「え~? でもでも? あきらと私のおっぱいに目をやらないように頑張ってるところとか私的に好感持てるんだけど?」
「周りに同じぐらいのサイズの子が何人もいてなぁ……それにジロジロ見られるの嫌なのがお約束だろ?」
「でもでも、こんな大きいおっぱいに目を向けるなって言うのも酷じゃない? それに私のあの恰好でHな妄想期待するなって言うのは間違いなんじゃないかなと思ったり?」
「言っている事に好感は持てるけど、やっぱそうならないように気を付けるよ」
「シノブって真面目なんだね」
何故だかあきらも顔を赤くしている。
「言う程真面目じゃないぞ? 異世界でもそれなりに付き合いのあった女の子を置いてこの世界に戻って新しい女作ってるような状況だし」
まるで自分卑下するかのように恋愛事情を暴露するが、
「ああ、この世界って一夫多妻制とかじゃなかったわね。だけど、シノブってあんだけ強いんならさ、一夫多妻制が許される世界に戸籍とか移してハーレム作って面倒見ればいいんだよ。なんならウチの世界に来る?」
キャロルはとんでもない提案をする。
黒川 さとみといい、どうしてこう聖女揃いなのだろうかと。
「ハーレムが許されるのは創作物の世界だけで、現実ではダメなの」
「でもでも、それぐらいやらないとこの国の超少子高齢化は解決しないと思うよ?」
返事に困る政策を挙げるキャロル。
シノブは顔を赤くしつつ「あ~その問題は他の人に任せる」と放り投げた。
異世界を救った勇者は巨悪を倒せるが、人間の個人個人の問題でもある超少子高齢化はどうにもならない。
「お喋りはここまでだ——ついたぞ」
自衛隊の駐屯地が見える位置に辿り着いた。
三人は自然と気を引き締める。
「っ!? これは!?」
次の瞬間、空間その物に異変が生じる。
三人は突如として現れた、ゲートの様な物に飲み込まれてこの場から姿を消した。




