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ハンドレッド編その7・それぞれの動き

 Side ガーディアンズ


 =夜・隠れ家にしているビルの玄関=


 激しい銃弾の嵐がガーディアンズの面々から発射される。

 相手はデビルズカードと呼ばれる魔の変身アイテムで変身した怪物だ。

 銃弾を受けても死なず、立ち上がって襲い掛かって来る。

 まるでモンスターパニック映画のようだ。


『隠れ家を放棄。撤収するぞ』

 

 どの道、この隠れ家はもう使えない。

 撤収準備に入る。

 職員退避のための時間稼ぎを行う。

 そのために対異星人戦をも想定した重火器の数々をも解禁する。


 同時に今回の作戦で動員されたヒーロー、古き良き古風な感じでありながらセクシーに露出している大人の爆乳魔女、ノーブルウィッチ。

黒いトンガリ帽子、長いブラウンの髪の毛に大人っぽく整った顔立ち、大きな胸の谷間が露出した純白のビスチェ、細い両腕を黒い布地で追い、豊満かつ魅力的な下半身はスリットが入った黒い長スカートで覆われている。足は赤い靴が履かれていた。

 手には幻想的な白い水晶が光る銀の杖が握られている。


 さらには金髪ショートヘアーで凛々しい顔立ち、目の周りを赤いアイマスクで覆った筋肉質で青いレオタード、赤いマントを羽織った胸元の星のエンブレムの古典的アメコミスーパーヒロイン、スターガーディアンの姿もあった。


 二人とも方向性は違うが顔が整っていて背もあり、スタイルもいい。

 モデルとしてもやっていけそうな文句なしの美女だった。


「いくわよウィッチ」


「ええ、*スターレディ」(*スターガーディアンの愛称)


 二人は怪人と言う未知数の脅威に立ち向かう。

 だが自分達は世界を救うために結成されたチームのメンバー。

 この程度の脅威で屈するわけにはいかない。

 恐怖を出さず、果敢に挑む。

 


 Side 谷村 亮太郎


 =隠れ家から少し離れた裏路地=


 隠れ家にしていたビルの爆破処理が行われたのを確認する。

 証拠は一つも残っていない状態。

 ガーディアンズはほぼ無事だ。

 

(行動が急すぎるな。計画を早めたか?)


 ハンドレッドはどこまで行っても半グレ。

 頭の悪い不良集団の寄せ集めでしかない。

 いくら日本政府、自衛隊の後ろ盾があると言っても行動には限度がある。

 派手に動けば動く程にハンドレッドは追い詰められ、切り捨てられるだろう。


 そもそもにしてブルーデビルの時もそうだったが、半グレだのカラーギャングだのが取引データーをキチンと作っている時点で不自然だ。

 スパイを送り込んで、何時でも弱味として潰せるようにそう言う弱点を作っておいたのかもしれない。

 

 それを考えると亮太郎は黒幕の思惑に嵌められたのではないかと思ってしまう。

 

(落ち着け落ち着け。こう言う時は後悔するんじゃなくて、次はどうするかだ)


 なってしまった物はどうにもならない。

 後悔している時間すら惜しい。

 次はどうするかだ。


「ハンドレッドの本拠地は分るか?」


「あっ、ああ……自衛隊の基地——なんかドローンを沢山作ったり、闇バイト感覚で兵隊を募集してたりしてて、俺の知り合いも何人かそこへ応募してた」 

 

「そこまで腐ってたか、この国は」


 ハンドレッドの本拠地と言うより、ハンドレッドの協力者、後ろ盾の連中の根城だろう。

 このままだとまた先日の少女A事件の時みたいになるのだろうか。

 

 少女A事件とは、お金持ちの権力者達が女の子達への強制猥褻行為を隠蔽するために大阪日本橋を焼け野原にしようとした事件だ。

 銃火器は当たり前、改造人間とかパワードスーツとか人型機動兵器とか投入して来た事件だ。

 これが日本橋の支配者層の逆鱗に触れる結果になった。

 

 今回もまたそう言う流れの事件になるのだろうか。


「俺はどうすれば?」


 死なれるのも気分が悪いので亮太郎は、


「念のため、僕の名前を出してメイド喫茶ストレンジに匿ってもらえ。闇乃 影司の事務所も考えたが、あの子も忙しいしそっちの方が安全だ」


 と、森住に提案した。

 自分が考えうる限りで最良の避難場所だ。

 同時に避難させる人間が森住 龍一である事が不安だ。

 何か失礼な事をしないかと心配になってしまう。


「あと、店員に手を出すなよ。命の保証は出来ん」


「お、おう」


 亮太郎は念のために釘を刺しておいた。

 そう言えばワンさんはどうしているだろうかと思う。

 あの人がいれば色々と安心なのだが。



 Side 黒川 さとみ


 =夜・ショッピングモール周辺=


 文字通り戦場になったショッピングモール。

 緊急閉鎖になった。

 警察や救急車のサイレンがけたたましく鳴り響いている。

 黒川 さとみはガーディアンズの人に連れられながら、念話でシノブが無事である事を知ってホッとした。


 同時にまた戦うのかと思った。

 通話アプリを起動し、グループ内の部屋に入り込む。

 メッセージ欄には綾瀬 リリ、天川 マリネ、ジェイミー・ゴードンがいた。

 綾瀬 リリはクラスメイト。

 天川 マリネは同い年の現役アイドル。

 ジェイミー・ゴードンは歳が近い学生の女子プロレスラーだ。


さとみ「遅れてごめん。心配かけた?」


マリネ「うんうん、そっちはどう?」

 

リリ「私もネットでしか状況は掴めてない。スレにクラスメイトらしき人間がいる」

  

ジェイミー「また何か巻き込まれてるか?」


 そこでさとみは知っている限りの情報を共有した。

 敵はハンドレッド。

 谷村 亮太郎と藤崎 シノブを二人を目の敵にしているらしい。

 その理由も大阪府内で、悪としてのし上がるためと言うしょうもない理由だ。

 不良漫画みたいに全国制覇を成し遂げたとしても、出来上がるのは日本一のロクデナシ人間だと言うのに。

 

さとみ「そもそもにして、須藤 勇也が私を狙って、シノブがどうにかしてくれて、ハンドレッドの連中はその須藤 勇也とかの後釜とか残したコネクションとかを狙ってて……そう言う理由だったら私も無関係じゃない」


リリ「須藤 勇也って逮捕されたあの——そうか、そんな繋がりがあったのか」


マリネ「私も似たご身分だから気持ちは分るわ。でも無茶したダメよ」


ジェイミー「私も標的になっている恐れがあるね。また謹慎かな?」


さとみ「私は私に出来る事をやるつもり。そう言えばリリ」


リリ「なんだ?」


さとみ「ハンドレッドの根城って以前話してた自衛隊の駐屯地のこと?」


リリ「うん。確か少女A事件が起きる前——熊と虎二匹が学校内に侵入したり、ファミレスでシノブが熊を殴り倒した騒動ぐらいに話してたな」


 少女A事件は日本橋で起きた天川 マリネの事件の総称。

 その前に熊と虎2匹が学園内に侵入して、それを対処したのが藤崎 シノブと谷村 亮太郎で、同じ日にファミレスへ突っ込んだ熊を殴り倒したのも藤崎 シノブ。


 その前ぐらいに綾瀬 リリは亮太郎のためにと、独自に動いて自衛隊の基地の事をアレコレと探っていたらしい事を言っていた。(*幕間その2、黒川 さとみと綾瀬 リリ参照)


リリ「亮太郎も覚えていたらしくて、その事を聞いて来たぞ。元クラスメイトがハンドレッドの構成員やっていて、裏切り者として処分される前に助けたそうだ」


マリネ「クラスメイトね——誰なのか色々と心当たりはあるわ」


 この時、天川 マリネは松村 サトシの事を思い出した。

 半グレ組織「ブルーデビル」に入って、その組織の大金と取引データーを盗み出し、最終的には全裸でハチの巣にされたらしい。

 サトシの両親はそのとばっちりを受けてカラーギャングの襲撃を受けたそうだ。

(*天川 マリネ編その1、*幕間その3、谷村 亮太郎の厄日参照)


さとみ「何が出来るか分からないけど、ジッとしてられない」


リリ「私も。一先ず日本橋で合流しよ? あそこなら何かあっても大丈夫そうだし」


 さとみの覚悟に突き動かされるようにリリも決断した。


マリネ「私も行くわ。恐らくまた大惨事になるんでしょうけど」


ジェイミー「私も行きます。イザと言う時、戦える人間はいた方がいいでしょ?」


 二人も決断したようだ。

 さとみは「皆、ありがとう」と返事をした。

 後でシノブに怒られるかもしれないが、それでもいいとさえ思った。



 Side 前嶋刑事


 =琴乃市近くの自衛隊駐屯地・コンビニ前=


 昭和のデカの様な帽子にトレンチコートに中肉中背の男、前嶋刑事。

 危険ではあるが、単独で自衛隊駐屯地周辺を調査していた。


 近隣住民はとても少ない。

 店はあっても、大体シャッターが降りている。

 文字通りのゴーストタウン。

 コンビニがあるぐらい。


 だがそれでも、自衛隊駐屯地周辺についてある程度噂を聞く事が出来た。

 人の出入りや物の出入りが激しい。これはまあ自衛隊駐屯地だから別におかしい事ではない。

 ただどう見ても自衛隊の関係者には見えない女の子や男の子が周辺をうろついているらしい。それも柄の悪い、夜中に遊んでますよと言ってるような感じの人間達だ。

  

 フューチャーテック事件では悪魔のような実験の数々をして、昭和の悪の組織のように改造人間や生物兵器の類などを研究し、産み出していた。

 その一方で女の子達を拉致ってレイプとかもさせていたらしい。

 そんな施設の主導者は警察の関係者、須藤 正嗣だった。

 

 須藤 正嗣は二年前に起きた、闇乃 影司に関わる日本の数々の騒動を上手く利用して出世し、一国一城の主になれたのだと。

 その騒動もまた、日本政府の悪の実験によって引き起こされた物らしい。

 証言が正しければ口封じのために、街の住民を皆殺しするために自衛隊を投入したのだとか。

 

 ふざけんなよと思う


 いっそ作り話だった方がよかった。

 人として怒らない方がどうかしてるレベルだ。

 特にフューチャーテックは警察官としての限界や一人の人間としての無力さを突きつけられたようで自分自身にむかっ腹がたった。

 自分にもこう言う感覚があったんだなと誇りたいぐらいだ。

 

(この施設も同じ穴の貉か……)


 決めつけるのはよくないが、この施設もフューチャーテックと五十歩百歩の施設なのではなかろうかと思う。

 刑事としての勘だ。


(しかし最近の騒動で捜査員も減ったなぁ……)


 デビルズカード、ハンドレッドが絡み、バックに自衛隊も絡んでいるこの一件。

 巨大化した怪人に危うく殺されかけたせいで捜査員は何人も減った。

 警察学校では巨大化した怪人と生身で立ち向かう心構えなど教え込まれないだろうし。

 警察だって人間だ。それぞれに人生がある。無理強いするのも酷だ。

 むしろ、まだ捜査に協力してくれる警官が居てくれたことを誇りに思うべきだろう。


「前嶋刑事」


 コンビニ前で色々と考え事をしていると私服の警官が来た。


「おう、あんまり派手に動くと察知されるぞ」 


 そう言って前嶋刑事はコンビニの監視カメラに目をする。

 自分達の行動は筒抜けの可能性もあった。

 少女A事件のように権力のパワープレイで物理的に口封じしてくる可能性もある。

 悔しいが警察単独でどうにか出来る連中ではない。

 公安や自衛隊、矛盾を孕んででも民間からの協力者や独断でガーディアンズ、魔術師、退魔師などからも人員を募らないと大勢死人が出る。

 そう言う戦いなのだ。


「ええ、突入班も待機しています。後は緒方さんと援軍待ちですかね」


「緒方君か……」


 緒方 ミツル。

 人当たりが良さそうな線の細い公安の人間だ。

 先日の日本橋でのハンドレッドの小競り合いで一緒に生身で怪人相手に戦い、共に血を流した中だ。

 彼が強力な援軍を引き連れてくる算段になっている。


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