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しくじった殺し屋

 Side 黒川 さとみ


 =朝・電車内部にて=


 制服姿のまま、通勤ラッシュを終えて人が少ない平日の電車内部に乗り込む。

 正門から学校をサボって逃げるようにして電車に乗り込んだ。

 幸いにして金は多めに持っていたのが幸いした。


「ねえ? 何が起きたの?」


 電車内でさとみは先程起きた事を尋ねる。

 返って来たのは信じたくもない突拍子もない言葉だった。


「殺し屋に命を狙われた?」


 最初何を言っているのかさとみは分からなかった。 

 その言葉を理解するにつれて徐々に頭から血の気が引いていく。

 目を見開き、汗を流す。


「じょ、冗談よね?」


「拳銃は俺を狙ってた。サプレッサーにスコープ付きの拳銃。安い粗悪な海外産の密造銃じゃなくて正規品を非合法なルートで密輸した……」


「そう言うのを聞いてるんじゃなくて――だけど、でも……たまたま銃器持った通り魔が狙っただけって言う可能性もあるじゃない!?」


「通り魔にしては暗殺に失敗した時の判断は早かった。車のガラスもスモークガラスだったし、たぶん俺を殺した後の手筈とかもしっかりと整えた後の犯行だったと思う」


 そこまで言われてもさとみは「まさか、でも……」とブツブツ言う。

 思考整理ができなかった。

 だが自分も言っていたではないか。

 

 「話聞いてた? それとも想像力足りないの? 人生を相手と心中する覚悟があってもどうにもならない。国家権力すら敵に回すことになるわよ?」


 昨日、メイド喫茶で自分が言った言葉を思い出す。

 自分も認識が甘かったかもしれない。

 まさか須藤が殺し屋まで差し向けて来るなんて。

 

「これからどうする? ストレンジなら不思議な力で――」


「ストレンジで保護してもらってもたぶん家族や友人に手を出してくると思う」


「そ、そんな……警察は――って、須藤は警察に手を回せるんだった」


「ともかく相手の情報が足りない。これならあの殺し屋逃がさない方が良かったかな?」


「藤崎君、あなた自分命狙われたのによく平然としてるわね……ある意味感心するわ」


 嫌味のつもりで言ったが、とうの本人はと言うと「まあ、自分が狙われる分なら平気だし。核ミサイルとか細菌兵器とかは危ないかもしれないけど」などと呑気なことを言っていた。 


「あなた何者なの?」


「異世界に行って魔王倒して元の世界に帰って来た勇者」


 馬鹿正直にシノブは言うが、さとみは「どちらかって言うと、元傭兵とか特殊部隊とかそう言うのの出身の方が信じられるわ」と呆れ気味に返した。


 Side 殺し屋


 =昼・琴乃学園から少し離れた廃倉庫=


「何が起きた……」


 と運転手に尋ねる殺し屋。

 銃を向けていたと思ったら気を失っていた。

 頭の殴られた箇所が痛い。

 この程度で済んだのが幸運とするべきだろう。

 

「分かりません。一瞬の事でした。気が付いたら目の前にいて――ハリウッドのアクションスターみたいな動きで拳銃を奪って殴り倒した様子でした」


「んで、失敗と判断してここに逃げ込んだか。いい判断だ」


「それよりもどうします? 警察は動いてないみたいですが」


「どうせ警察は動きはしない。そう言う段取りだったからな。それよりもあの藤崎 シノブと言う奴だ」


 あの少年を思い出す殺し屋。

 殺せたと思った。

 だが結果は返り討ちだ。


「普通の人間が殺し屋の攻撃を察知して返り討ちできるか? もう一回情報を洗い直すぞ」


 普通の高校生なら拳銃を見たら何かの冗談か、驚くか、身を守る姿勢なり動作をとるかだ。

 間違っても拳銃を掴んで躊躇いなく殴り倒したりはしない。

 それが日本の平凡な高校生の必須科目なら、日本の治安は外国人に脅かされたりはしないだろう。

 

 そもそもにして近づくまで、殴られた後でようやく殴られたことに気が付けた。

 銃を向けたら気を失っていたのだ。

 強面の大の大人を一撃で黙らせるパンチを普通の高校生が躊躇いなく顔面に打てるのだろうか。

 

(じつはあいつ、日本政府が送り込んだ黒川 さとみを守るためのボディガードか何かじゃないだろうな)


 などと殺し屋は思いつつ、情報屋に連絡を入れる。

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