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ハンドレッド編その3・黒き龍VSライドセイバー2号

 Side 谷村 亮太郎


 =昼・日本橋=


 以前の自分ならば容赦なしに森住 龍一を殺してこの騒動を終わらせいたかもしれない。

 情報を聞き出さないといけないので出来うる限りは生かしたまま頑張るだろうが、周囲の被害が増え続けているこの状況だとやむ無しだ。


 相手は巨大な黒い竜。

 宇宙犯罪組織の巨大ロボット程ではないがそれでも大きい。

 大まかな全長は分からないが20mぐらいだろう。

 それでいて宙に浮いている。

 科学的なアレコレにケンカ売ってると言っていいが、今更だ。


(短期決戦で勝負をつけたいけど——)


 周辺の住民の避難や怪我人の退避が先だ。

 中には戦場カメラマン気分でスマホ撮影している馬鹿がいるが、死なれると目覚めが悪いので退避させなければならない。


『聞こえてるか? こっちはこっちで周辺住民の退避作業を進めている。どうにか持ち応えてくれ』


 周囲には北川の舞が手配したらしき人員が避難誘導に加わっている。

 他にもメイド喫茶の店員、毒島 リンカやジェイミー・ゴードン、工藤 怜治も手伝ってくれている。

 前嶋刑事や警察官もこの事態に出くわし、何となくだが事情を察して手伝ってくれていた。

 ライドセイバーの谷村 亮太郎はその場に踏み止まり、攻撃を受け続ける。

 相手の狙いは亮太郎。

 今の龍一は強い妬み、恨みで動いているのだろう。

 逆恨みや自業自得の果てだ。

 こんな奴でも昭和の熱血教師でもいれば人生は変われてたのかな? などと考えなら相手の火炎光弾を浴びていた。

 

(この程度で死にはしないが、あんまり攻撃を浴び続けるのも不味いな)


 アルファルトの地面は爆発でクレーターが出来ている。

 スーツの表面は魔力障壁を張ってあるのでノーダメージだ。

 だけど普通の人間に直撃すれば即死級の火炎光弾なのでその点だけには気を付ける。

 

『遠目から見た感じ、やられっ放しだが大丈夫か?』


 と、舞が呼び掛ける。

 先日、亮太郎がワザと洗脳されたフリをした事件で亮太郎の本気を見たので特に心配されてる様子はなかった。


『大丈夫だ。これから反撃に出る』


 そう言って亮太郎は相手の火炎光弾の照射のタイミングを見計らって思いっきり跳躍、顔面に思いっきり一撃を入れた。

 轟音が響いた。

 大気が揺れ、地面が振動する。わりと本気めのパンチ。

 日本橋に立ち並び雑居ビルより大きな20m級の巨体が揺れる。

 

 そのまま2撃、3撃と顔面に拳を叩きつけてグロッキーにさせた後、一旦地面に降りた。

 力を、精神エネルギーを両足に集中。

 

『イナズマ!! セイバーキック!!』


 イナズマセイバーキック。

 元々はライドセイバー1号の技。

 昭和のライドセイバーは特訓によるパワーアップが多く、これで一度負けた敵怪人を撃破したのだ。

 足場にしたアスファルトの地面を砕き、閃光の矢となって巨大な龍の胴体を真芯から捕え、上空に押し出し、一定の高度に上がった段階で爆発が起きた。

 藤崎 シノブと同じく50m級の宇宙人の巨大ロボの顔面をも蹴り砕けるぐらいのフィジカル+強化魔法の複数併用使用による精密な技。

 

 ライドセイバーは森住 龍一をお姫様抱っこの要領で地面に着地した。

 

(まさかコイツを助ける事になるとはな……)


  情報を引き出すために仕方なくでもあるし、ジェイミーやマリネ、リリの顔や異世界で旅した仲間の顔がどうしても頭の中でよぎるから仕方なくだ。


(それにしても顔が悪いな——死んでるんじゃないか?)


 運良く助け出した。

 ある程度のダメージを与えると、本体と人間とが分離するタイプだったのが救いだった。

 ひび割れた黒いカード、黒い竜の絵が刻まれたアイテムや、それを差し込むらしい、何かしらの科学的処置で作られた装填口が首下にあった。

 

(かろうじて生きてるが……やむおえんか……)


 こんな人間の屑に貴重な魔法薬を使いたくはなかったが、今はどんな些細な情報が欲しい。

 このまま見捨てるのも後味が悪い。

 魔法を掛けて応急処置、異世界の魔法薬を強引に口の中に注ぎ込む。

 

「お、俺は——それにアンタ——ライドセイバー……」


『立てるか?』


「あ、ああ……」


 そうして森住 龍一を立たせる。

 見た感じは元気そうだ。

 取り合えず暗示でも掛けて知ってる事を全部白状させなければならないが——


『伏せろ!!』


 ライドセイバー2号に向けて爆発が起きる。

 


 Side ハンドレッドの構成員


 ハンドレッドの構成員は森住 龍一もろともライドセイバー2号を消し飛ばした。

 元々は軽薄そうな感じのルックスが良い男であるが、今は平成辺りの真っ赤なヒロイックなロボット然とした姿だった。

 胴体には獅子の顔、右手に剣、左手には楯、背中にはキャノン砲を2門に空を飛ぶための飛行用バインダー。

 正義のスーパーロボットを人間サイズにしたような外観だったが、やった事は建造物を巻き込むために裏切り者の始末と不意打ちである。

 

『ヘッヘッへッ——やった、やったぞ!! あのライドセイバーを、俺が、俺が倒したんだ!! ザマぁねえ!!』


 と、有頂天になる構成員。 

 元々は小心者の性格だったが、才能を見出されて今の姿になった。

   

『これで他の連中にデカい顔をされなくて済む!』 


 そう言って彼はその場から立ち去った。

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