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ハンドレッド編その2・変わり果てた元クラスメイト

 Side 森住 龍一


 カラーギャングのハンドレッドと呼ばれる組織に所属している。

 元々は谷村 亮太郎と同じ中学で、考え方の違いから何度もケンカした仲だ。

 ベタな昭和の不良漫画みたいに、互いに友情が芽生えることはなかった。

  

 互いに互いを嫌悪した。

 こう書けばお互い様のように聞こえるが、実際は森住 龍一が悪い。

 そもそもにして森住 龍一は小学校の頃から有名な悪で、同じ学年の生徒同士を教室で戦わせる、気に入らない奴はぶん殴るなどの悪事を働いていた。

 そんな生き方を中学に上がっても続けていた。

 悪事も過激になり、酒もタバコもやってるし、クラスメイトに万引強要までさせていた。

 全部亮太郎に密告され、警察にも通報された。

 さらに亮太郎は現役アイドルの、当時売り出し中で人気者の天川 マリネと仲が良かった。

 育ての親も、教師も谷村 亮太郎を褒めていたのが気に食わなかった。 

 だから潰そうとした。

 だけど嫌がらせや暴力が通じる相手ではなかった。

 

 高校に上がり、ハンドレッドに入り、谷村 亮太郎がネットの有名人になったのを知り、藤崎 シノブとの付き合いもある事を知って、これを利用してハンドレッドでのし上がった。


 後はケンカの、実力で黙らせればいいとさえ思った。


 それが間違いだった。


 ハンドレッドは想像の何百倍も危険な組織だった。

 

 リーダーの赤霧 キョウマも人間不信気味に脱退しようとする人間を文字通り血祭りにしていき、悪の組織のような人体実験に手を染め始める。


 それを見て森住はハンドレッドのからの脱走を決意した。


 =昼・大阪日本橋近辺=


 ハァハァと逃げ惑う全身赤服に100のバッジを付けた、人相の悪い不良少年、森住 龍一。

 周囲は遠巻きに見ていた。

 とんでもない人当たりが良さそうな美少女ならともかく、人相が悪い半グレに自分から積極的に関わろうと言う人間はいないのだ。


「お、俺は——いったいどうしちまって——」


 後ろからは同じくハンドレッドの人間が追いかけて来る。

 顔面が黒いマスクで覆われている。

 昭和の特撮物に出て来そうな戦闘員を思わせるマスクだ。


「死にたくねえ、死にたくねえ!! 死にたかねえよ!? どうしてこうなっちまったんだよ!?」


 そして森住 龍一はと言うと——先程から黒い人型の竜のような姿と人の姿とを何度も行き来していた。

 森住 龍一は死の恐怖に、自分が自分でなくなる恐怖に襲われる。

 こんなの自分が望んでいた未来じゃない。

 このままだと化け物になる。

 真っ当な大人でも恐怖の支配されそうな状況だ。

 他人を虐げて上へ上へと上り詰めた少年の精神は脆かった。

 気が付いた時には襲い来るハンドレッドの構成員を力任せに薙ぎ倒していた。

 建物の壁にクレーターを作ってそのまま動かなくなったり、車の窓ガラスを突き破ってピクピクしていたり、周囲に倒れ伏していた。

 

「何だアレ!?」


「まさか本物の化け物かよ!?」


 周りは大騒ぎだ。

 

「また宇宙人でも攻めて来たのか!?」


「てかあの衣装、ハンドレッドの——」


 まるで本物の怪人にでも遭遇した様子だ。

 学校では、少なくとも中学時代には自分が正しい、自分が正義だと思っていた。

 教師の言う事も親の言う事も聞かず、ただただ自分にとって都合のいい事だけ聞いて来た。


「あっあっあっ!?」


 そして制服姿の警察官が二名、慌てた様子で銃を向けて来た。

 まるで漫画の悪党のように。

 森住 龍一は口から火炎光弾を発射。

 運がいいのか悪いのか、近くの車に直撃して爆発が起きた。


「う、う、うわああああああああああああ!?」


 森住 龍一は逃げ出そうとした。

 

「どう言う状況かなこれは? 舞さん見えてます?」


『ああ。どっかの組織の新手の怪人か?』


 と、そこへ谷村 亮太郎が立ち塞がった。



 Side 谷村 亮太郎


 クラスメイトとのご対面。

 正直殺されても文句は言えないぐらいの悪事は積み重ねている奴だが、松村 サトシの一件みたいに、無関係ですと放り出すと自分に飛び火する可能性もゼロではない。

 それにどうにも天川 マリネや綾瀬 リリ、ジェイミー・ゴードンの顔が頭をよぎる。


(しゃあない。助けるつもりで頑張りますか)


 子供達の永遠のヒーロー、黒い仮面に赤いマフラーのライドセイバー2号に変身。

 スーツはただの頑丈なスーツであり、素の身体能力で誤魔化しているだけのコスプレである。

 鑑定の効き目は若干悪いがデビルズカードと呼ばれる物を人体投与して変身しているらしい。 


『お、お前は、谷村——うぉおおおおおおおおおおおおお!!』


 森住 龍一は弱々しい姿から一転、勢いよく飛び掛かって来た。


『お前さえ!! お前さえいなければ!! こんな事にならずに済んだのにぃいいいいいい!!』


『はぁ?』


 攻撃を巧みに捌きながら亮太郎は疑問を浮かべる。


『人様の言う事は聞かない、気に入らなければ暴力に走る、犯罪だってしてたし、他の奴にさせてただろう。自分の面子のために人数嗾けてきたり、他にも何かあったか?』


 反省する機会、元に戻る機会は幾らでもあった筈だ。

 にも関わらずこの状況を招いたのを全部亮太郎にせいにされてはたまらない。

 自分達のいじめが暴露したいじめられっ子が全力で被害者ムーブをかまして、いじめられる方にも責任がある、いじめは犯罪ではないと自己弁護するような気持ち悪さを感じた。 

 大物ぶっていたが結局のところ、この男はその程度の器だったのだ。


『ああ!? あぎゃぎゃぎゃぎゃ!! あぎゃぎゃぎゃぎゃ!?』


 体から火花を散らし、苦しみ悶えだす森住 龍一。

 やがて巨大な細長い東洋の龍へと成長した。

 これには流石の亮太郎も「マジかよ……」と驚いた。

 

 周囲に火炎弾を吐き散らし、建造物を物理的に破壊していき、上空へと逃れた。

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