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黒川 さとみとのデート

 Side 黒川 さとみ


 =朝・黒川 さとみの部屋=


 部屋に置いた自分のファッションチェック、身嗜みの確認のために置いた鏡の前で最終チェックを行う長い黒髪でやや背がある爆乳の女子高生。

 部屋も戦隊ピンクのフィギュアやポスターが置かれたり、ロボットのプラモが置かれたりと、オタクな男の部屋に間違われそうな雰囲気がある。


(ついに今日デートするんだ)


 テストが終わって少しの時間が経過し、ようやくデートに漕ぎつけた。

 長い黒髪をポニテールに括り、115cmのバストの胸の谷間や、自分でもムチムチしている太腿を曝け出すコーディネートをする。

 気合を入れる。

 服のコーディネートは自分でやった。

 白のベレー帽に黒の長袖がくっ付いた、首や肩回り、胸の谷間が丸出しなベアトップ、青いスカート、白のソックスに茶色いローファー。

 下着もピンクの勝負下着だ。ピンクなのは自分が好きな戦隊ヒロインと言えばピンクだからだ。

 

 一般人が持つスーパー戦隊の感覚は初代をベースに科学戦隊のやたらめったら爆発するイメージの混合である。

 一つ目が敵ロボットと言うイメージと同じ感覚だ。

 

「ネクプラの調子も良しっと」


 最近はクラスと言うか学園でもネクプラバトルがブームになっている。

 今日のデートの相手、藤崎 シノブとその相棒の谷村 亮太郎がネクプラバトルでとんでもないバトルを披露したのがキッカケだ。

 もしかして二人はこのままプロ入りするのではないかと言う話も出てきてネクプラバトルを始める、あるいは再開する人間が増えていた。

 さとみもこの流れに乗り遅れず、作中のヒロインが乗った赤いガルグドメナスを乗る。

 一つ目でシルエットがマッシブで背中のパーツとか含めて少々厳つい機体で、何故かサーベルではなく、上下に刃が付いた薙刀と言う謎仕様である。

 素直にサーベルにしといた方が良いのではさとみは思う。


「さてと、行きますか」


 そう言って黒川 さとみはお出かけした。

 場所は大阪府内で行われるスーパー戦隊展だ。



 =朝・メッセージアプリ会話=


【参加者】


〇綾瀬 リリ

 地雷系女子ファッションを好むスレンダーな黒髪ツインテールの女の子。

 黒川 さとみと同じクラス。  


〇天川 マリネ

 茶髪の垢抜けた人気アイドルの女の子。

 谷村 亮太郎と中学時代同じクラスで亮太郎が好き。 

 現代アイドル活動休業中だがわりと頻繁に亮太郎と接触しているらしい。


〇ジェイミー・ゴードン

 身長180cmの巨女。

 長い金髪で胸も大きい。

 体は鍛え抜かれていて腹筋は割れている。四肢も丸太のように太く逞しい。

 ファンタジーの世界なら間違いなく職業は女戦士とかアマゾネス、女剣闘士とか。


リリ『今日はさとみのデートらしいぜ』


マリネ『私も亮太郎とデートしたいな~』


ジェイミー『すっかりホの字ネこの人』


リリ『言うてもジェイミーも亮太郎の事気に入ってるんだろ?』


ジェイミー『うーん? 英語も出来るし、その気になればパスポート取って、海外へ両親に挨拶とかも出来そうだし。どんな危機だろうと守ってくれそうだし、日本で言うなら優良物件って奴かな?』


リリ『それを気に入ってるって言うんだぞ』


マリネ『そうだぞ』


ジェイミー『そう言うリリちゃんはどうね?』


リリ『私だって正直したいんだぞ。デート』


マリネ『誘えばいいじゃん』


ジェイミー『しないと先に私が先約入れちゃおうかな~?』


リリ『うう~』


マリネ『そう言えば二人は何処にデート行く気なのかしら?』


リリ『隠れスーパー戦隊ファンだからな、さとみは。大阪府内のスーパー戦隊展にしたらしい』


リリ『スーパー戦隊展』


ジェイミー『彼氏さんに趣味を告白するつもりなのね』


リリ『まあ場所とかについてはどうこう言うのもアレだし、成功を祈るわ』



 Side 藤崎 シノブ


 =朝・スーパー戦隊展=


 今世の中はヒーローブームである。

 それを作った張本人の一人である藤崎 シノブ。

 上は黒のボロシャツに下はネイビーブルーのジーパンに白と黒のスニーカー。

 まだ時期的にも熱い時期なので軽装な感じの衣装だ。

 腕にスマートウォッチとかもつけていた方が良かったかなと思う。

 

 そんなシノブはスーパー戦隊展に来ていた。

 ヒーローブーム事態は突発的に起きたブームだ。

 狙って今の時期に行われたワケではないが、運よくスーパー戦隊展と噛み合い、人も多くいた。

 

 今日は休日で家族連れや恋人連れ、その手のオタクの方も多い。

 オタク文化と言うか、サブカル文化はかなり大衆に認知されてるんだなと思う。

 亮太郎によれば、昔はテレビやマスコミなどがオタクを犯罪者予備軍扱いしていた時代があったらしい。

 犯罪者がアニメ好きならその部分を強調してアニメ、漫画を叩く。

 そう言う時代もあったのだと。

 

「お待たせ」


 長い黒髪をポニーテールにして束ねた爆乳美少女、黒川 さとみが現れた。

 白いベレー帽。

 黒の長袖が付いた首回りや肩回り、胸の谷間丸出しの長袖ベアトップ。

 短すぎず長すぎずのスカートに健康的な太腿や脚のラインを外気に晒し、ソックスに茶色のローファー。

 垢抜けて綺麗な女の子の背格好だ。

 ちょいと上半身の露出度が高いのが気になるが。

   

「似合ってるけど、露出度高くないか? 無理してない?」


「い、いいのよ。私はアンタにしか眼中にないんだから?」


 互いに顔を赤らめ、視線を反らしながら恥ずかしそうに言う。


「今日はゆっくり、じっくり見て回るわよ」


「お、おう」


 と、さとみはシノブの手を引っ張りながら会場入りした。

 

 

 黒川 さとみの提案と言う事もあり、とにかく水を得た魚のように展示物を見て回った。

 スマホをフル稼働させて何枚もパシャパシャと撮影している。

 この分だと会場から出た頃にはスマホのバッテリーは瀕死状態になるだろう。   


 =会場内・特設カフェ=


「わ~見て見て!! レッドキンガーだ!! シノブは撮影よろしく!!」


 そうして特設のカフェ内に辿り着いた。

 そこで戦隊レッドがコスプレして出迎えていた。

 たぶんアルバイトだろう。 

 そこでさとみは記念撮影した。

 中の人はたぶん体格的に男だろうか、黒川 さとみのような爆乳美女に大はしゃぎされて役得であろう。

 ヒーローショーとかに行ったら色んな意味でさとみの犠牲者が出るかもしれない。


「あ~楽しかった」


 そう言ってシノブとさとみは席に座る。

 置かれた特注のイベント限定アイスカフェラテから甘ったるい香りが漂っている。

 周囲から視線をもらうが、シノブはネットの有名人だし、さとみは綺麗で胸が大きくて大はしゃぎして目立つ要素は十分ある。

 最悪の場合は認識阻害系のアイテムを取り出すつもりだ。


「本当に戦隊大好きなんだな」


「うん大好き」


 と、純情な少女のような満面の笑みで返す。

 キャラが完全に崩壊している。

 

「いや~今は大人でも女の人でも戦隊好きなのが大っぴらに出来るいい時代になったけどね。狭い学生社会だと肩身が狭かったと言うか」


「あ~今でもあるよな。そう言うの」


「そうなのよ。アニメ、漫画好きですとか言ったら変な目で見てくる奴とかいるし。学校に一割か二割、暴力的で発言力がある陰湿な変なのがいたら、学校はそいつの色に染まるからね」


「何か言ってる事が谷村さんみたいだ」


 シノブの相棒の谷村 亮太郎の本音全開にして喋る時はバイオレンスで闇が深い傾向がある。

 並行世界で一体どんな経験をしたらあんな性格になるのだろうか。 


「私達の学園だってそんな感じだったでしょ?」


「何か遠い昔のように感じるけど、、まだ最近の話なんだよな」

 

 中妻、白王寺先輩や織姫先輩、鎌田教諭などを思い出す。


 中妻は異世界から帰還して早々に巻き込まれた事件で、須藤 勇也を後ろ盾にして好き放題にしていた女子生徒だ。


 中妻は今も入院中。取り巻きも学校を去った。

 須藤 勇也の後ろ盾がなくなってすっかり恐怖に憑りつかれたらしく、日々をビクビクしながら生きている。

 今も社会的に破滅するか、文字通りの破滅するか怯えながら生活しているのだろう。


 続いて白王寺先輩、織姫先輩、鎌田教諭。

 三人とも中々に悪だが、敵に回した人が悪すぎた。

 例えるなら漫画の一流レベルの殺し屋や暗殺者よりも上のレベルの人間を敵に回したのだ。


 白王寺は谷村 亮太郎を破滅させようとし、最終的には殺し屋を雇って消そうとまでしたが、最終的に転校。

 

 事件の黒幕で回りくどい真似をした退魔師の織姫。 

 フュチャーテック事件後、須藤 正嗣の後釜を狙って色々と暗躍し、その過程で谷村 亮太郎や藤崎 シノブの存在を知って先ずは谷村 亮太郎に目を付けた。

 最終的に織姫は退魔師協会にその身柄を拘束された。


 鎌田教諭は実質白王寺の部下で人の弱味などを探るために情報収集などをしていた男だ。

 白王寺の失敗を悟って逃亡したが、織姫の仕組んだ事故でガソリンスタンドへ車に突っ込み、大爆発を引き起こした。

 どうにか一命を取り留めたがトラウマになってそのまま学校を去った。


 藤崎 シノブが思い浮かべるのはこの四名だ。

 

「まあ、学園が完全に平和になったワケじゃないけど。以前よりかは大分雰囲気が変わったわよ」


「そんなもんか?」


 シノブは学園生活の間に異世界生活を挟み、様々なトラブルに遭遇しているせいかその辺は無頓着だった。

 まあ、変に嫌われたりするよりかはマシかと思う。


「リリが言ってたんだけど、もうそろそろ貴方達、ハンドレッドとぶつかったり、近所の自衛隊絡みの事件に巻き込まれるんじゃないかって噂してたよ」


「本当にどう思われてんだか」


 リリとは綾瀬 リリの事だろう。

 黒髪の小悪魔的な可愛らしい少女。

 何故か地雷系ファッションを好む。

 ヘアースタイルもメイクも地雷系だ。

 これは過去の恋愛経験が関わっているのだとか。

 どう言うワケか谷村 亮太郎を気に入って教室でもベッタリになる頻度は多い。

 最近さとみと同じくネクプラバトルもやり始めたが、ブームに乗っかったのではなく、亮太郎の気を引く狙いもあるのだろう。 

 何しろ恋の相手に現役の人気アイドルがいるのだ。

 そう言う手段を使いたくもなるだろうとシノブは思った。

 

「で? どうなの?」


「ハンドレッドはカラーギャングで、自衛隊は——確かドローン部隊の事だろ?」


「うん」


「ハンドレッドはブルーデビルと対立していた組織で、日本のヤバイ所に繋がってた証拠が出たからな。下手に警察を動かすと犠牲者が出る恐れがあるからお呼びの声が掛かるかもしれない」


「やっぱりそう言う話になるのね」


「谷村さんもハンドレッドにいるらしい中学時代のクラスメイトから何か聞き出せないかと探ってると思うよ」


「亮太郎のクラスメイトいんの?」


「ああ。小学校時代からかなりの悪で、他の不良達とつるんで教室でクラスメイト同士を戦わせてたらしい」


「話を聞く限り、中学校でもかなりヤンチャしてたんでしょうね」


 実際かなりの悪だったらしい。

 気に入らない事があれば暴力を振るう。

 体育の授業で気に入らなかったら人がいる教室で堂々と暴力を振るう。

 トイレに気に入らない人間を連れ込んで複数人で袋叩きもする。

 学校にヌンチャクを持ち込んで試しに後頭部をぶん殴って威力を試す。

 教師が何度注意しても生活態度を改める様子が全くない。

 一度野球部でもないのに裏門へバット片手に消えていった姿を確認した事もあるらしい。

 頭は致命的に悪く、学校の推薦で受験戦争を乗り切ろうと考えていたそうだ。当然こんな悪童を学校が推薦する筈もなく、底辺の高校に行ったきり足取りは途絶えたが、最近になってハンドレッドでそこそこの地位に抜擢されたそうだ。

  

 まるで不良漫画の悪役みたいな人生を送っている。

 人間、話をすれば分ると言うが、改心しない可能性もあるし、改心したとしてもどれだけ被害が出るか分からない。

 そんなロクデナシの人間も教育しないといけない学校社会は大変だなとシノブはため息をついた。

  

「次に自衛隊の方の話だけど——こっちも正直きな臭い。そもそもシビリアンコントロールが崩壊してるからな」


「会話の腰折るようだけど、シビリアンコントロールって何?」


「文民統制。文官が武官——つまり軍人を統制する、先進国の絶対条件だ。その真逆が軍事独裁政治だ。日本も一応はシビリアンコントロールの国だな」


 現在進行形で異世界の自衛隊から反乱を受けているが。

 テレビやネットは宇宙人の存在は認めているが、未だに異世界の存在も自衛隊の反乱も信じきれていない様子だ。

 正直シノブも、日本政府の非合法な違法実験場だった企業、フューチャーテックの地下で新種のモンスター達や異世界のゲートを目にしてなければ人事られなかっただろう。

 

 自衛隊の反乱の件は額面通りに受け取れないが、今の日本政府は信用できない。

 先日の日本橋での騒動も、たかがアイドルにHな事をするためだけに、ついでの感覚で街を焼き払うためにロボットや改造人間を動員するような奴が政治家やってたり、警察やってたりしたのだ。

 まだ決まったワケではないが日本政府の陰謀である可能性は十分に考えられる。

  

「ハッキリ言うと、自衛隊が今の政府に見切りをつけて悪事に走る可能性は十分に考えられるって話だ。近所のドローンだけの部隊を配置した駐屯地もその一環ってのは考えられる」


「世間の裏は本当にドロドロしてんのね」


「魔法掛けて会話の内容は漏れないように隠蔽はしてるけど、あんまりこう言う場で話す事じゃないな」


「ああごめん」


「いや、俺も悪かった」


 正直こう言うドロドロした物を一人で抱え込むのはキツイ。

 誰かに話して楽になりたいと言う気持ちはシノブもある。

 亮太郎もそうなのかな~とシノブは心配してしまう。



 =施設内・売店=


 その後は、さとみはテンションを取り戻して戦隊展を見て回る。

 シノブは完全に置いてけぼりだ。

 やがて売店に土産を買おうと言う流れになり——


「はい、これ」


「え? い、いいの? てかこれって、プレゼント?」

 

「ごめんな。色々と気が回らなくて。」


「う、ううん。いいのよ」


 グッズも買い込んで、シノブはさとみにプレゼントのアクリルキーホルダーを奢ってもらってさとみは顔を真っ赤にして嬉しそうだった。



 Side 黒川 さとみ


 デートは正直自分がはしゃぎ過ぎたちょっと反省している。

 でも上手く言ったかなと自己評価を下す。

 まだ見ぬ異世界ヒロインや宇宙刑事の子達とかいるし、自分も負けてはいられない。

  

 思えば中妻や須藤親子などが好き放題してくれたからこうなったワケで、その点だけは感謝している。

 

 これからも藤崎 シノブはさとみの時のように危険な世界へと飛び込んでいくのだろう。

 本音を言えば並び立ちたいし、一緒に戦いたい。

 だがそれは夢なのだろうとさとみは残念な気持ちになる。

 

 コーヒショップのオーナーや相棒枠もいいのだが、出来れば戦隊ヒロイン枠がいい。

 一緒に戦う感じ。

 宇宙刑事の子みたいに自分も変身して戦うヒーローになれたらとも願う。


 反面戦いの恐ろしさ、厳しさは自分の想像以上の物だった。

 巨大ロボの時は何も出来なかった。

 事故みたいな形で変身して興奮が抜けた後は怖かった。

 自分にはこの世界には向いてない、一般人Aなのだと現実を突きつけられた。


 それでもと願う。

 傍にいたい。

 シノブの傍に並び立ちたいと。

 理想の自分を諦めたくないと。

  

 だから自分に出来る何かを見つけていこうと決意した。

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