表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/77

天川 マリネ編その10(END)・ひとまずのハッピーエンド?

Side 金城 マサト


気が付いたら全てが終わり、全てを失っていた。

大勢の逮捕者が出たらしい。

罪状も顧客データも何もかもバレていた。

権藤 セイトも警備員達も同じく破滅したらしい。

ヤバイ仕事を請け負う正真正銘のヤバイ連中もお縄になった。


ホッとし、ざまぁみろと思ったが、何時の間にか自分は全財産を譲渡する書類にサインしていた。

何故だか、自分の意思に反して必要以上に自分の罪を暴露し、何度も警察官に激昂された。

普通の人間は、ましてや裏の世界などロクに知りもしない警察にとって自分はとんでもない凶悪犯に映っただろう。実際そうであるので弁解しようもない。

正直、拳銃で撃たれてないのか不思議なぐらいだ。


弁護士は精神異常云々で切り抜けようと言っていたが、仮にそれで無罪を勝ちとったとしても、権藤達よりもっとヤバイ連中に殺されるかもしれない。


顧客リストには海外の大物もいる。

日本政府と日本警察のマヌケぶりはよく知っている。

海外の殺し屋に殺されるのはまだいい方。

裏の権力働かせて殺してくださいと頼まれるような目に遭うならいっそ自害でもした方がいいかもしれない。


だがそれも何故だか出来なかった。

自分は考えているよりも小物だったらしい。

ただもう、どうしようもなく成り行き任せにするしかなかった。



Side 権藤 セイト


何時もなら権力を動かして無罪も出来た。

人を殺したとしても、例え証拠があっても権力さえあれば無罪に出来る今の世の中、抜け道は幾らでもあった。


待っていたのは正義の裁きだった。

金も隠し財産も抑えられた。

ハウンド警備会社も同じらしい。

そして全ての罪を必要以上になぜか告白していた。

他の人間も同様だ。

自分が知らないような事でも証拠を見せられれば思い出したかのように口が滑ってしまう。


金も権力も失った大悪党の末路は悲惨だ。

まさか自分がそう言う立場になるとは思いだにせず、子供のように泣き叫び続ける日々。

食事にも手をつけていない。

毒を盛られている可能性があるからだ。

監視の人間も信用出来ず、一生塀の中で疑心暗鬼に生きて行く事になる。



 Side 谷村 亮太郎


 あの日本橋で起きた大騒動は無かった事になった。


ただ権藤 セイトと言う巨悪の罪が世間に知れ渡り、その主だった仲間達も顔と実名で晒された。


彼達の財産と隠し口座はハウンド警備会社の口座もろとも何もかも全て接収。

その一部はスターズ芸能事務所への謝礼金やあの騒動に参加した人々を労うお祭りの運営費、金城 マサトや権藤 セイト達の餌食となった女の子達や家族へ渡された。


スターズ芸能事務所は希望があれば、例え傷物にされた少女でも再びアイドルとしての道を支援する、そうじゃない人間も最大限責任は取らせて欲しいとして被害女性達の支援に回った。

そこに闇乃 影司が協力して全能力を注いでメンタルケアを行い始めた。この子何でもありだ。


日本政府の方は、日本橋側が用意した台本通りに動くしかなかった。

今の日本政府に、日本橋を敵に回す余裕はないし、余計な騒ぎを起こす体力はない。


2年前の闇乃影司絡みの一連の騒動。

フューチャーテック、ジャマルの事件で大ダメージを受け、さらに今回の騒動。


異世界で自衛隊に反旗を翻され、欧州の秘密組織の財団と戦争状態になるのではないかと言われ、国連からの査察をあの手この手で防いでいる今現在、時期が悪すぎる。


ネットも騒いだが、ネットは何処まで行っても所詮はネット。

日本国内で次々起きる話題に興味が移り忘れ去られていくのだった。



Side 谷村 亮太郎


=昼・谷村 亮太郎の事務所=


テスト明けの事務所。

勉強頑張ったが、テストの点数はどうなるかは分からない。


後始末やトドメの処理など、色々手伝いもしたが、日本橋の様々な人々の尽力もあって特に苦労はしなかった。


それも落ち着き、事務所で一息。


「亮太郎、考えごと?」


マリネは亮太郎にベッタリだった。

チャットアプリで頻繁にやり取りする仲。

通話もよくするし、オンラインゲームで遊んだりもする。


メイド喫茶から渡された魔法の便利グッズの数々も所持し、その上で身バレ対策しっかりした上で事務所に出入りし、メイド喫茶ストレンジの方にも少女A名義で手伝いもしている。


(まさかマリネとこう言う仲になるとは)


天川 マリネと谷村 亮太郎はスターズ芸能事務所の社長やマネージャーの了解を得た上で節度ある付き合いをしている。

マリネも休業中なのを良い事にベッタリだ。

体を密着させてのスキンシップも増えてる。

今も隙あらば体の密着を狙える距離だ。


「休業中でも学校通って、レッスンは続けてるんだろ? 僕に構ってる暇ある?」


「大丈夫。それにアイドルにも息抜きは必要だし、あの一件以来安全はタダじゃないって思い知らされたしね」


「それに、亮太郎のことやっぱ好きだしね」


「不意打ち気味に言うねキミ?」


言ってて恥ずかしくないのかと思う亮太郎。

聞いてるこっちが恥ずかしい。


「何ならコスプレの個人撮影とかしてもいいんだぞ? ビキニアーマー女戦士とかサイバーパンクくノ一とか」


「正直言うと嬉しいけど、アイドルとしての自覚ある?」


「その時はその時よ。あんまり気にしないの」


「はあ」


その時の内容は何となく分かるが、あえて口には出さなかった。


それはそうと、言っておくべき事はある。


「シノブ君、さとみさん、それとリリさん、バレてるよ」


事務所の玄関が騒がしくなる。

マリネは「えっ」と驚いた様子だった。


「こう言う事もあるから節度ある関係でいよね?」


「う、うん」


それでも二人は意識しているのか顔を赤らめていた。



天川 マリネ編 END

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ