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黒川 さとみと綾瀬 リリ


 Side 黒川 さとみ


 =昼休み・琴乃学園教室にて=


黒川 さとみ。

藤崎 シノブや谷村 亮太郎と同じクラス。


長い黒髪で大人びた感じの整った顔立ち。

背があり、胸はとんでもなく大きい115cm。

高校1年生で下手なグラビアアイドルよりも胸があり、それでいて顔もいいと来た。

周囲から羨望と嫉妬の視線を独り占めし、中学時代や高校入学当初はナンパも多かった。最近は色々あってナンパは減りつつある。


「で、藤崎君との仲どうなの?」


クラスメイトの綾瀬 リリが直球を投げ込んでくる。

黒髪ツインテール。

普段着が地雷系ファッション。

小悪魔的な顔立ちでスレンダーな美少女だ。


「最近色々と頑張ってるみたいだしね。それに今テスト期間中だし、勉強に専念しつつ、体が訛らない程度に鍛えるとか言ってたわ」


「言ってることが優等生みたいだね。以前はそんな風じゃなかったんだけどな」


「まあね」


 異世界帰りの勇者とか言っても信じられないだろうし、さとみはリリに合わせた。


「デートとかしてんの?」


「え? 私が—―」


 ふとそう言われてさとみは(そう言えばデートした事ないな)と思う。

 

(無理を言えばデートに付き合ってくれるかな? テスト期間中はダメっぽいし、テスト明けならワンチャン……)


 などと考えを巡らせる。 

 メイド喫茶のバイトもちゃんと事情を話せば分かって貰えるだろう。

 さとみはチャンスだと考える。

 

「まだしたことないけど、ちょっと誘ってみる」


「私的にはもっと自己主張しといた方がいいと思うよ?」


「う、うん」


 リリは一時期、顔や容姿だけを見て恋愛していたらしい。

 全ては散々な結果に終わったらしいが、それ相応に恋愛経験は豊富。

 聞いておいて損はないようにさとみは思う。  


「話変わるけど、最近またなんか宇宙人が出たとか噂になってるのよね」


「え? それってヤラセとかじゃなくて?」

 

 異世界はまだ半信半疑だが宇宙人の存在はもはや公然の事実だ。

 大阪府I市で活動しているローカルヒーローならぬローカルヴィランも実はそうではないかと言われている。

 シノブや亮太郎が言うには、実はI市にいる宇宙人達の御陰でジャマルは複数の他勢力との組織間抗争を恐れて大規模な破壊活動などは控えているらしいとさとみは聞いていた。


「ネットの情報だけど、自衛隊の駐屯地の近くの地下に秘密基地作られてたんでしょ? それを考えるとアリかなーって思うの」


「確かに……」


 聞けばジャマルと日本政府は上の方で繋がっていたらしい。

その関係が未だに続いていて、日本のどこかに秘密基地を作られていたらと考えてしまう。

 そもそも宇宙人が相手だ。

 地球の常識は何処まで通用するか。

 なんかの特撮ヒーロー物みたいに、また密かに秘密基地を作られたりしているのだろうかとも思う。


「話統合すると宇宙人の目撃情報は琴乃学園から近所。近くの駐屯地にドローン部隊が配備されたって話題になってて市民団体が抗議してる」


「ドローン部隊?」


「うん戦車とか戦闘へリ、無人車両型の最新鋭の奴。以前宇宙人に惨敗したからその穴埋めだって」


「詳しいのねリリ」


「趣味の幅広げてみようと思ってね。今私、亮太郎狙いだし」


「いまさらっと凄いこと言ったわね?」


 綾瀬 リリは谷村 亮太郎狙いだったらしい。

 亮太郎は不思議、変なところがあるが、容姿はいい方である。

 白王寺事件で暴れて名を馳せて近寄り難く思っている人もいるが、人当たりが良く、いい性格だ。

 

 また異世界帰りの勇者の片割れであり、さとみが助けられたフューチャーテック事件の功労者でもあるらしい。 


「人前でも変わらず自分自身を曝け出せる人って魅力的じゃない? 悪く言う人もいるけど人のために頑張れる人って凄いなって思うの」


 と言うリリ。

 彼女の言い分にさとみも成程と感じた。


「私、恋愛経験豊富とか言われてるけど、逆に言えばそれだけ恋愛に失敗しているのよね。酷いレベルだと付き合って初日でラブホとかもいたしね」


「それは……」


 何か教室の空気が一段落冷え込んだような気がした。


「色々とムキになってたしね。恋愛のための恋愛なんか成功するワケない。どこかで必ず破綻する。勉強料は高くついたけどね」


 言葉に重みのようなものが感じられた。


「話し戻すけど—―藤崎君と亮太郎がなんかヤバい事に首突っ込んでるのは薄々勘付いているのよ」


 話を戻して返事に困る事を言い始めるリリ。

 無理矢理とぼけて「えーとそれは—―」と、自分でも下手くそな演技で返そうとする。


「須藤とか白王寺との一件も何だかんだでおかしいところあったしね。特に白王寺と亮太郎との最初のやり取りとか今考えてみれば変だったし」


「あーあれね」


 第三者視点からみれば、白王寺は亮太郎に因縁をつけに来て悪事を暴露すると言うおかしい人だ。

 シノブにその事を聞いた事はあるが、異世界では初歩の初歩級の魔法らしく、魔法耐性がある人間には効果が薄いらしい。

 

「でも悪い人間じゃないのは確かかな? 宇宙人の侵略終わった後、各地回って物資配って回ってたみたいだし」


「うん。今でも時折仲間誘って復興作業手伝ってるんだってさ」


 宇宙人との戦いその物は三日も掛かっていない。

 だが受けた傷は大きい。

 未だ被害の全体的な把握も出来ていなかった。

 こう言う時の頼みの自衛隊も被害が多過ぎて手が回らないらしい。 

 だからか今でもシノブと亮太郎は時間を作っては物資の運搬作業をしているのだとか。

 異世界勇者にとってはそれ程重労働ではないのかもしれないが、傍から見ると聖人である。 


「あ、予鈴」と、さとみが気づき、「もうこんな時間か」とリリも口を開く。


 昼休みの予鈴が鳴り響き、 人の動きに変化がみられる。

 教師が来るギリギリまで休みを満喫しようとする者。

 規則正しく次の授業を準備を始める者。

 二人は会話の区切りの代わりにした。


「じゃ、デートの成功祈ってるわよ。まずは約束取り付けるとこからね」


 リリはそう言って席に向かう。

 さとみは「う、うん」と照れながら自分の席へと座った。

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