表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/77

決戦の地へ

 Side 藤崎 シノブ


 =午前7時・大阪日本橋高校、避難所=


 避難所は一夜明けた。

 まだ朝早くなのに騒々しい。

 特に被害を受けたわけでもないのに避難民の中にホームレスも混ざっていて、それで口論になっているようだ。

 

(避難生活も延々に続くわけじゃないし、想定外に避難物資が集まってるから多少はいいかな)


 と、シノブは考えているがそれで皆が納得するかは別問題だ。

 そこに一人の男が近寄って来る。

 見た目は白髪、白髪で眼鏡を掛けた、温厚そうな外国人の男に変装していた。


「ガーディアンズの者です。作戦は開始準備、整っています。道案内いりますか?」


 と、流暢な日本語で話しかけた。

 シノブは「大丈夫です」と返す。

そこへリリナが駆け寄ってきた。


「影司と亮太郎は先に現地へ向かったそうです。シノブは私が案内します」


「分かった」


シノブはリリナと一緒に現地へと向かった。



学校から少し離れた場所でステルスモードの宇宙船に乗り、現地へと向かう二人。


「朝早いですけど大丈夫ですか?」


「最近は早寝、早起きが習慣づいていたし、今日は遅いぐらい」


「そうですか」


「リリナは? 何か元気なさそうだけど?」


「正直、戦闘面は任せきりなところがありますし、こんな自分で大丈夫でしょうかと思って」


「あーまあ、活躍とか見せ場を奪ったとも言えるけどな」


「この一連の騒動が終わったら、貴方に弟子入りします」


「え?」


理由は分かるが、まさかの弟子入り。

キョトンとなってしまう。


「地球ではそう言う文化があると聞いたんですけど違うんですか?」


「どちらかと言うとバトル漫画とかのお約束じゃないかな? でも俺が師匠でリリナが弟子ね」


問題はある。

黒川 さとみがこの流れに乗って弟子入りを申し出る形になるんじゃないかと言う話だ。


(どうしよう? 異世界の師匠に頼るのも時期早々だしな)


 師匠と言っても複数人。

 剣術、魔法を中心に様々な事を教わった。

 リリナの事を考えると基礎的な事を教えるのがいいかもしれない。

 特にさとみやリリナの場合は胸を軽くする魔法とか便利だろう。

 他にも女性受けがいい、異世界式気功術とかもいいかもしんない。その気候術を学んでその手の薬を飲んでしまったせいか、老化が止まってしまった感がある。

 

「つきました。目的地周辺です」


 そして目的地周辺へと辿り着いた。


 

 =午前7時・元自衛隊駐屯地跡地から少し離れた森林地帯=


 ジャマルが持ち込んだ惑星メガニカの戦闘ロボ、ギンブラスによって自衛隊駐屯地は廃墟となった。

 そこから少し離れた場所。

 自衛隊が不自然に集結し、散発的に偵察隊などを送り込んでいる森林地帯。

 シノブとリリナは自衛隊やジャマルにも警戒しながら森林地帯を進む。

 どこかで谷村 亮太郎や闇乃 影司もいるのだろうか。

 

「魔力信号を確認した――こっちだ」


『魔力信号?』


「異世界でこう言う隠密行動や偵察活動中に使った方法だ。特定の魔力を放出するマジックアイテムを置いて相手に此方の位置を伝えると言う感じで使う」 

 

『そう言うのがあるんですね』


「それにしても血生臭いな。それと硝煙の臭いもする――」


 などとやり取りをしていると—―そこで見たのは自衛隊の死体だった。

 人数が多い。

 光線兵器でやられた痕跡や刃物で斬られた後、力任せに殴られて抉られた遺体まで散乱している。

 

「こいつは酷いな……」

 

『ええ……』


 あまり長居はしたくはなかったが放置するのも気が引けた。

 信号弾か何かで合図したいが、自衛隊も信用できない状況だ。

 話が拗れる可能性もある。

 見なかった事にして無視して進むことにした。



 自衛隊か、あるいは自衛隊か政府の暗部組織の遺体などを目印にして、谷村 亮太郎が設置したと思われる魔力信号を追う。

 そして見つけたのは—―


「こりゃ凄い……自衛隊じゃ荷が重いな」


『ええ』


 隙間から谷の合間を覗き込むようにして二人は呟く。

 建造物やライフラインが建築された文字通りの地下要塞だった。

 用途不明のマシンが各所に配置されている。

 警備は厳重。

 だが、谷村 亮太郎と闇乃 影司は発見されていないらしい。

 

「さて……どうしたもんか」


 派手に行くか。

 それとも隠密行動するか。

 などと考えていると激しい砲撃音。

 着弾。

 山中に築かれた地下要塞を攻撃しているようだった。

 恐らく自衛隊側だ。

 上の命令で攻撃を行ったのかもしれない。


 それで警報音が作動した。

 

(此方ベータ、聞こえるかアルファ?)


 念話が頭に響く。

 ベータは谷村 亮太郎。

 アルファは藤崎 シノブのこと。

 フュチャーテック事件でサカキ高校に潜入した時に使った互いのコールサインを今回も使っている。

 

(敵部隊は自衛隊殲滅の為に動き出した。自衛隊の救援はガーディアンズの増援に任せて僕達は本丸に突入する)


 谷村 亮太郎は自衛隊が全滅する前提が語っているが、実際のところテクノロジー差が空きすぎて一方的な虐殺になるだろうと二人は考えているのでシノブは言い返さなかった。



 Side 自衛隊


 =8時・焼き払われた駐屯地近辺に布陣した陣地にて=


 上の命令で強引に特科(砲撃部隊)による砲撃を開始。

 前時代的な攻撃や進軍が行われた。

 戦後初の自衛隊の軍事作戦の相手がまさかの宇宙人。

 制空権は敵に取られている状況で、陸上部隊のみで敵が立て込んでいるらしい場所へ進軍せよと言う無謀な作戦だ。

 

 隊員達の士気は低くはないが特別高いとも言えない。

 不思議と脱走者は出ていなかった。

 だがそんな状況が何時まで持つか分からない状況だった。

 

「ダメです!! こちらの機甲部隊が次々と撃破されてます!!」


「先頭の部隊は音信不通!!」


 虎の子の戦闘ヘリ、戦車部隊が優先的に破壊。

 輸送車両に乗せた隊員諸共通信途絶と言う悪夢のような状況がそこかしこで展開されていた。

 もはや戦うどころではない。

 皆生き延びるので必死だ。

 敵の飛行機機や陸上機械が蹂躙している。

 怪人や戦闘員と部下達が勝手に呼称している存在まで出張って来てもはや戦いの体すら保てていない。


「増援です!!」


「国連軍――ガーディアンズ!?」


 そして入れ替わりに近未来的な飛行機械。

 SF映画に出て来そうなハイテク装備に身を包んだ兵士達がドローンと共に進撃を開始。

 その戦闘を行くのは青い、星のエンブレムを付けたヒーローだ。

 

『こちらガーディアンズの特殊部隊、スター・アライアンスのネクストソルジャー!! 日本軍の援護に入る!!』


 などと言って敵の怪人や戦闘員を殴り倒す。

 日本の特撮かと思えば今度はアメコミ映画の世界だった。

 白いスーツに金色のヒーローグラスを身に着けた女性が空を飛んで縦横無尽にビームを発射して回り、鋼鉄の古臭いレトロな3mの巨大ロボットが敵を思いっきり殴り飛ばした。

 白銀の尖ったトサカを持つ騎士が剣と盾で敵に立ち向かい、魔法使いの美女が杖を持って雷撃の魔法を広範囲に降り注がせる。


「状況は困惑しています!!」


「戦隊ヒロインとくノ一の援護を確認?」 


「とにかく今のうちに退避して態勢を立て直す」


 状況は混乱状態だが、自衛隊は退避して態勢を立て直す。

 一気に形成逆転かに思われたが――


「巨大ロボットが来たぞ!!」


「今度は三体だ!!」


 敵の巨大ロボットが現れる。

 自衛隊を破壊したのと同じタイプ。

 50m級の巨大ロボが三台。

 激しい攻撃が戦場に降り注ぎ始めた。

 

「赤い剣を持った巨大ロボット出現!!」


「赤い巨人!?」


 それに相対するように琴乃市で現れ、リリナの巨大ロボヴィクトリオンと共闘した赤くてヒロイックなデザインの剣を持つ巨大ロボ。

 同時に国民的ヒーローの一つ、光の国からやってきた光の巨人を連想させる巨大ヒロインが登場。

 三体のジャマル巨大メカへと果敢に挑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ