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サイジャマルとの戦い

Side 藤崎 シノブ


=夕方・琴乃学園近くの廃工場周辺=


緑の昆虫モチーフのライダースーツのヒーロー、ライドセイバーに変身したシノブ。

手には赤い刀身の炎の剣、フレイムエッジを持って戦闘員を切り裂く。

剣事態の切れ味もあるがフレイムエッジが出す炎も凄まじく、大抵の敵はフレイムエッジの刃が届く前に剣の炎で焼かれてしまうのだ。

今回は宇宙の犯罪組織相手なので加減無し。異世界で得た戦闘技能をフルに発揮し、時代劇の殺陣のように次々とジャマル兵を斬り倒し、兵士達は爆散していく。


『数い、これが少年の実力――』


リリナも負けてはいない。

手に持ったレーザーブレードとビームガンで次々とジャマルの戦闘員を倒し、上級戦闘員と戦っている。

しかし、巨大ロボの顔面を蹴り飛ばす少年と比べるとやはり見劣りしてしまう。


(身体能力や武器だけじゃない。戦闘技術も一級品。何処でこれだけの戦闘能力を得たの?)


リリナは考えを巡らしながらも戦闘を続行。

戦いはシノブとリリナ達が優勢だ。

とにかくシノブが強い。

戦闘員は時間稼ぎにしかなってなかった。


『ええい! こうなれば俺様、サイジャマルが相手してくれる!』


サイジャマルが巨体を活かし、槍のように持ち手が長い斧、ハルバートと呼ばれる斧を持ち、シノブに襲い掛かる。


シノブは相手の動きが遅く感じているのか、踏み込んでサイジャマルの太い両腕を斬り飛ばした。


『ぎゃああああああ!? 俺様の!? 俺様の両腕がぁ!?』


両断面が焼かれ、その場でのたうち回る。

斬り飛ばされた両腕はシノブの剣、フレイムエッジで燃えていた。


『ジャマル様! お助けを!? 俺様に力を!?』


助けを求めるサイジャマル。

すると空の模様が、周囲の景色が変わっていく。


『何だこれ?』


突如の空間の変化に戸惑う。

空気が重くなり、嫌な気分になる。

悪の力が増すとかではなく、倍増するような感じ。

サイジャマルの両腕が修復し、一気に50m級の化け物へと変化した。


『これはジャマル空間です! 悪しき力を持つ存在の戦闘能力が数倍に跳ね上がります!』


リリナが教えてくれた。

それに『丁寧に教えてくれてありがとう』と返すシノブ。

50m級の巨大化や動きが格段に良くなった戦闘員達を見ると、数倍のパワーアップなどホラではないようだと現実を認識する。


たった二人にここまでやるかと思いもしたが、命を懸けた戦いとはそう言う不条理な物だ。

嘆いてはいられない。

シノブは死ぬまで打開策を頭の中で模索し続ける。


『さっきはよくもやってくれたなぁ!! 死ねぇ!!』


巨大化し、剛腕を振り下ろそうとするサイジャマル。

シノブは炎の剣、フレイムエッジから茶色い大きな大剣、ガイアソードを構える

強度、破壊力に特化した剣だ。

それで猛スピードで迫る巨大な質量物体、サイジャマルの拳へと自ら飛び込んだ。


リリナは幾ら何でも無謀だと思った。

助けようと体を動かそうとしたが、シノブのスピードが速すぎて救助が間に合わない。


シノブは呆気なく死んだ。

その予想は裏切られる。


『ナニィイイイイイイイイ!?』


サイジャマルは驚愕を。


『うそ……』


リリナは目を疑う。

サイジャマルの、50mの巨体から振り下ろされた剛腕が弾かれた。

 ただ弾かれただけではない。サイジャマルの拳が出血している。

あの少年、藤崎 シノブは強いのは分かっていたが、ここまで出鱈目とは思わなかった。

シノブは大勢を崩したサイジャマルに空中を飛翔して斬り掛かる。

ジャマルの円盤や宇宙船はサイジャマルとシノブの距離が近すぎて援護が出来ない。


ここでようやく赤青白のシンプルな造形の巨大ロボ、ヴィクトリオンが転送されて急いで乗り込む。


サイジャマルは距離をとってトウマに鼻の角から光弾を雨のように幅広く連射する。

シノブは避けて、光弾を剣で弾き、サイジャマルに近づく。

近寄ったハエを叩き落とすように腕を振るうが、またもシノブに思いっきり剣で弾かれる。


『どうなってる!? ありえん!? 俺様は数倍パワーアップしたんだぞ!?』


『なのにどうして!? どうしてお前を叩き潰せない!?』


サイジャマルの嘆きに返事せず、シノブは剣を鈍器のようにサイジャマルの鼻先の角を破壊する。


『お、俺様の角がぁ!?』


もう一発、シノブはサイジャマルの顔面目掛けて茶色い大剣を振り落とす。

巨大な質量物体が激突したような轟音。

サイジャマルは一瞬意識が飛びそうになる程の衝撃と痛みを感じる。

 顔面から盛大に血を噴出していた。


『もらった!!』


その隙をついてリリナが乗った50m級巨大ロボ、ヴィクトリオンが剣を召喚してサイジャマルに斬り掛かる。

右上段から左下へと両断。

サイジャマルは爆発四散する。



Side リリナ


通常空間、廃工場周辺に戻る。

リリナは藤崎 シノブについて考えた。

とにかく強い。


 もしも敵だったら敵わないだろう。

 それが味方である事の証明に繋がった。

 あれだけ強ければ自分を騙すような真似などせず、サイジャマルと一緒に排除すればそれでいい。

 

「アナタは一体何者なんですか?」


 ヘルメットを取り、白髪白肌、紫の瞳を外気に晒しながらシノブに問いかけるリリナ。


「異世界帰りの勇者――と言っても信じられないだろうけど」


「異世界帰り?」


「日本で想像されているようなナ—ロッパ世界で世界を救って帰って来た人」


 ナーロッパ世界。

 日本のWEB小説界隈に溢れるテンプレートな異世界を言うらしい。

 そう言う風な世界を救った人?

 軽い調子で言っているがどんな経験をすれば戦闘用巨大ロボの顔面を蹴り砕き、巨大化したジャマル怪人の攻撃で大剣一つで互角以上に渡り合う事が出来るのだろうか。

 リリナが手を下さなくてもシノブは勝っていただろう。

 

「実は友人が手掛かりを入手している。それを聞きに行くために日本橋に向かう」


「日本橋ですか?」


 日本橋。

 ここで言う日本橋は大阪日本橋の事だろう。

 関西のオタク街。

 銀河連邦から密かにマークされているらしい場所。

 それと何か関係があるのだろうか。


「交通機関も麻痺しているだろうし、飛んで向かうしかないかな?」


「それなら私に提案があります」


「うん?」


「宇宙船に乗れば日本橋までスグに辿り着けます。完全迷彩、周辺の電子機器も無効化しますから騒ぎにはならない筈です」


「宇宙船でか――早く付くに越したことはないか」


 リリナの提案に乗るシノブ。

 本音では宇宙船に興味があったからだ。

 


 Side ジャマル


 =某所・ジャマルの司令室=


 様々なSF的機械群が立ち並ぶ部屋。

 モニターではライドセイバーの驚異的な戦闘データーが集められていた。

 銀色のアーマーにヘルム、黒のマントを羽織る、人物。

 地球攻撃を任された司令官、デスター司令。

  

 その背後にはジャマルの戦士達。

 サイジャマルが一方的に打ち取られた映像が大画面で映し出されても動揺した様子は見せなかった。


『サイジャマルめ、大口をたたいておいてこの程度か』


『地球如き田舎惑星で死ぬとは使えん奴よ』


『だが田舎惑星にも腕に覚えがある奴がいてなによりだ』


『暇潰しにはなろう』


 などど、サイジャマルの死を恥晒し程度に考えていた。

 同時に暇潰し程度にはなろう相手が現れたのを喜んでさえいた。

 

『そこまで言うからには油断はするな。役立たずに二度もチャンスは与えんぞ』


 漆黒のヘルメットの赤いバイザー、白いツインアイを光らせ、漆黒のマントを靡かせながらデスター司令はこの場の人間の気を引き締める様に言葉を出す。

 

『して次は誰が行く?』


「私が行くよ。例の子の調整が済んだしね」


 現れたのは長い紫色の髪の毛の女性。

 氷のように冷たく鋭い瞳。

 妙齢の女性の顔立ち。

 背もあり、バスト、ヒップも大きい。体の四肢のボリュームがあるふくよかな美女。

 体の各部に銀色のアクセサリーを身に纏い、露出高めな黒塗りのボンテージファッションに身を包んでいる。

 ロボットアニメに出て来るロボットのような大きな肩の黒光りするプロテクター。

 特撮物に出て来る悪の女幹部のような背格好だった。


 傍には赤いだけでリリナと同系統のヘルメットにコンバットスーツの女性が立っていた。

 ヘルメットからは燃えるように赤い長い髪の毛が伸びている。

 背もあり、四肢もホッソリしていてスタイルがとてもよい。

 リリナと同じく爆乳に類するサイズだ。


『サティーナか。いいだろう』


「分かりましたわ。吉報をお待ちください」


 サティーナと呼ばれたボンテージ姿の女性はニィッと笑みを浮かべた。


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