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メタルビースト襲来

 Side 須藤 正嗣

 

 =同時刻・極秘エリア、司令室=


「何をやっている!? あの役立たずども!! 何故たった一人今すぐ殺せない!?」


 正嗣は叫ぶ。

 戦いは一進一退のように見えるが、たった一人相手に複数人掛かりで何を手古摺っているかのようにも見えた。

 他にも仲間がいるらしく、此方の破壊活動も容赦がない。

 研究データーが詰まったサーバールームを物理的に破壊され、敵対する能力者は撃破、生物兵器扱いの異世界のモンスターも無秩序に施設内に解放されていく。

 さらにはモルモット扱いの捕えた人間も解放される始末。

 

 眼前の、映画のスクリーンの様な大きなモニターでは次々と改造人間達が倒されていった。

今は入れ替わりで能力者が対応しているがまるで歯が立たず無力化されていく。

 

「メタルビーストを起動させろ!! アイツをぶつけてやる!!」


その有様をき見て正嗣は禁忌の手段を選ぶ。


「しかしアイツは制御が困難な怪物です!!」


「ヤレと言ったらヤレ!! でなきゃ死ね!!」 


「く、狂ってる――」


 血走った眼で拳銃を突きつける正嗣に命の危機を感じた職員はメタルビースト投入を決意する。

 メタルビースト。

 闇乃 影司のデーターもとに、来るべき闇乃 影司との戦いの為に備えて作られた狂気の生物兵器である。  


☆ 


 Side 藤崎 シノブ


『とぉ!!』


「がふっ!?」


 最後の一体を腹部の蹴り一発で吹き飛ばし、壁に叩き付ける。

 実験エリアはまるで怪獣でも暴れた後のようにボロボロになっていた。

 そこかしこで改造人間が倒れ伏している。


『まだ追加で来るのか?』


 そう言ってファイティングポーズをとるシノブ。

 地面が開き、何かがせり上がって来る。そこから現れたのは銀色で紫色の目をした二本の触角を持つマッシブな体系の悪魔だった。

 身の桁は2mぐらいはある。

 鑑定の結果はメタルビースト、この施設で製造された人造生命体、人間ではないらしい。


『ゴォオオオオオオオオオオ』


『――殺さずではすまない領域に突入したらしい』


 人造生命体と異世界の勇者が激突する。

 両者ともに高速接近からの殴り合いだった。

 押しているのはシノブ。

 ノーガード戦法で何発か敵からの攻撃を食らうが徐々に対処していき――


『セイバーパンチ!!』


 割と本気の殴りが炸裂。

 施設を揺るがす程の大爆発、轟音と共にメタルビーストは一種の砲弾と化して施設を破壊しながら吹き飛んでいく。

 その吹き飛んだ後を追うシノブ。

 メタルビーストはまだ生きていたようでシノブに大口を開けて光線を放つ。


 光線は敵対者を破壊するどころか施設内すら破壊していく。

 彼方此方で火花が起き、爆発が起き始める。

 

(こいつを放置したまま脱出とかできないよな)

 

 こいつを放置するのは危険だ。

 だが、このまま戦い続けて悪戯に犠牲者を出すのも考え物。

 施設の外までこいつを吹き飛ばそうと思った。


  

 Side 須藤 正嗣


 施設の破壊率が激しい。

 研究データーも人員も何もかも全てを失いつつある。

 何を、どう自分は間違えてしまった?

 このままでは殺される――のはマシな方。

 殺してくれと懇願してしまうような目に遭わせられるだろう。

 自分が散々してきたようにだ。

 それならまだ自殺でもした方がマシだ。

 

 死ぬだけならこの施設に残っていた方がいい。

 爆発に継ぐ爆発が起き、生き埋めになるか全員吹き飛ぶかと言う状況にまでなっている。

 

 だが正嗣は――後先考えて死ぬより、目前に迫る死の恐怖が勝った。

 人を押し退け、蹴落としてでも「どけどけ!!」と言って我先に脱出路を目指す。

  


 Side 地上


 =同時刻・フューチャーテック株式会社ビル周辺=

 

 その頃地上では――地下から湧き出たモンスターの群れで地獄絵図が繰り広げられていた。

 ゴブリンやオークらしき生物。

 他にもゴーレムや大きな二足歩行で歩くオオカミの様な生物。

 多種多様なファンタジー生物が闊歩していた。

 そこへ更に改造人間、大小様々な異能力者などが混じり、混沌と化している状況だ。


 そしてこの騒ぎを聞きつけた、地上の警備部隊が軍隊並の武装を手に鎮圧に現れる。

 この会社の実験が漏れた万が一が起きた場合、フュチャーテックの警備部隊は口封じのためにありとあらゆる手段が正当化される。

 それは職員の口封じも含まれていた。

 そのために銃器を使って射殺しようとする。


 そこで不自然に鐘の音が鳴る。

 その音が当たり全体に鳴り響くと警備員、研究員ともに全員眠りこけた。モンスターも含めてだ。

 

 谷村 亮太郎のマジックアイテム、眠りの鐘による効果である。

 効果は抜群。全員が全員、グッスリとお休みタイムになった。


 人体実験にされていた人間を全員纏めて救い出した谷村 亮太郎はこうして騒ぎの鎮圧に来たのだ。

 もっとも生き延びた人間は全員死んだ方がマシな社会的制裁を受けるだろうが。

 

 後は闇乃 影司に奪い取ったハードディスクの解析を依頼し、情報を絞る必要はあるがネットに流せばいいと考える。


『おや?』


 その時、地上から轟音、爆音と共に何かが飛び出して来た。


『人造人間? メタルビースト? 対闇乃 影司用? んなもんまで作ってたのかここのラボ――』


 と言う事は遅かれ早かれこのラボは闇乃 影司の餌食となっていたのだろう。

 代わりに藤崎 シノブと谷村 亮太郎が手を下した形だ。

 

 ともかく、地上に現れたメタルビーストと藤崎 シノブの両者。

 二人は空中に浮かんで、向き合う。

 もっとも勝つのは藤崎 シノブだろう。

 

(さて、もう勝ったも同然だしどうしようかな?)

 

 谷村 亮太郎はふと(いい事考えた)と悪魔のような提案を実行する。

 それはもう、いっそ楽に殺した方がマシだと思えるような悪魔のような所業だった。

 


 Side 藤崎 シノブ


『メチャクチャやりやがる!!』


 全方位に光線を放つメタルビースト。

 それを最低限の動作で躱し、特に強引に反らし、近づいて思いっきりパンチを連打。一発一発が人間は即死、鋼鉄の塊を砕くレベルの破壊力を持つ一撃。

 

『しぶとい奴だな――』


『ウゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』


 それでも咆哮を挙げて襲い掛かる。

 そんなメタルビーストの横っ腹に2号セイバー、谷村 亮太郎による不意打ちの蹴りが炸裂し、メタルビーストは吹き飛んでいく。


『そろそろ決めようか? トドメはダブルセイバーキックでOK?』


『ああ!!』


 そして二人は意識共有。

 必要な動作を確認しつつ空高く上昇。 

 最後に彗星の如き勢いでメタルビーストに二人は背中合わせ飛び蹴りを放つ。

 

『『ダブルセイバーキック!!』』


『ウゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』


 メタルビーストは口から極太の光線を放つが――二人は蹴りで勢いよく掻き消していく。

 蹴りはあっと言う間に胴体に着弾。

 轟音と共に大爆発が起きる。

 

 そしてアスファルトの地面を数メートル抉りつつ着地。

 メタルビーストは爆発と共に消滅した。

  

 

 翌日。


 新聞、マスコミ、ネットはこんな見出しの記事が注目を集めた。


 日本政府は悪魔の人体実験をしていた!?


 悪徳警察官、須郷 正嗣の悪魔の素顔!!


 悪魔のサカキ高校!! 売春ビジネスに校内で麻薬の違法製造!?


 と言う内容であった。

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