表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/116

1年A組罰則(?)期間中


 前回の事件は早速ハンドレッド事件と言う呼び名が定着。

 ハンドレッドは今の日本政府や自衛隊と同じぐらいに袋叩きに合っていた。


 自衛隊の駐屯地で宇宙犯罪組織だけでなく新顔の悪の組織と手を組んで日本壊滅を目論む計画を進行させてたいたのだ。

 

 国が国ならば殺し屋を使って関係者を見せしめで皆殺しの口封じとかもあり得るレベルの一大スキャンダルだ。

 フューチャーテック事件や少女A事件の不祥事への追及も再燃。

 自衛隊の上の方の人間が自害したり、政治家の人間も何人か自害したり、物理的に消された。

 それでも尚、世間はヒートアップし連日のように政権批判が続いている。


 世間の目を欺いて世界の敵として暗躍していたという事実はそれだけ重い。

 こればっかりはもうシノブや亮太郎も、どうにも出来ない。

 政府関係者達は忙し過ぎる上に、短期間の内に起きた日本国内の大事件のせいで実家に帰れず、職場が住処状態になっているらしい。


 だが恐怖の大王アンゴルモアや、宇宙犯罪組織ジャマル、異次元帝国ディメルに異世界リブラリアでの自衛隊の反乱、同じく異世界リブラリアのゼツパライア帝国の問題が待ち構えている。

 

 これを乗り越えない限り、日本どころか世界に未来はない。



 Side 藤崎 シノブ


 =放課後・琴乃学園武道場=


 シリアスに日本の事をアレコレと羅列したが、藤崎 シノブも高校生だ。

 ハンドレッド事件で一緒に暴れた先生やクラスメイトと一緒に罰則を受けていた。

 その罰則事態は反省文に環境美化活動、体育祭準備の手伝いと軽めであるのが救いだった。

 人の命が大勢掛かった戦いとはいえ、普通の高校なら退学も十分ありえるぐらいのやらかしだったにも関わらずこれだった。

 ガーディアンズなどの秘密組織が働きかけてくれたのかもしれない。


 そして現在、藤崎 シノブは琴乃学園の武道場にいた。

 琴乃学園は体育会系なのか、武道関係に力を入れる学校らしい。

 シノブは白い柔道着に着替えて白い帯を捲き、屈強な大人達に広い畳部屋の道場で取り囲まれる。

 

 学校側のいじめとかではなく、立派な特別稽古であり、罰則の一環でもある。

 藤崎 シノブは無傷で不良を五十人抜きしたり、銃を持った強盗犯を瞬殺したり、熊を一撃で仕留めたりするのは世間に知られている。

 最近の騒動でライドセイバー=藤崎 シノブ説が広まってきており、日本国内で起きたこれまでの事件と合わさって世間からの注目度が高い。


 藤崎 シノブは世間的なスター扱いになっていたのだ。

 もちろん相方の谷村 亮太郎もだ。

 

 それを利用して二人の身を守るためのイメージアップ作戦を考えたガーディアンズや日本橋の有力者達は今回の特別稽古を企画した。


 クラスメイト達その担任に武道系の部活の人間、顧問は最優先で見学の場所が与えられ、校外からの見学者、宇宙刑事に並行世界の戦隊レッド、異世界の対魔に—―魔法少女なども来ている。

 谷村 亮太郎目当てなのか、ジェイミー・ゴードンや少女A、現役アイドルの天川 マリネまでいた。

 女性率、美少女率が高く、それ目当ての男性陣までいる。

  

 畳部屋の稽古上中央の絵面は大の大人達が高校生一人に複数人掛かりで挑むと言う感じになっていたが、自衛隊側も顔が真剣になっていた。

 汗を流し、緊張した様子になっている。

 その空気を感じ取ったのか見学者も押し黙る。

 藤崎 シノブの闘気に当てられたと言えばいいだろうか。

 手を出したら死ぬ。

 今のシノブはそんなイメージすら湧く。

 

 藤崎 シノブは異世界帰りの勇者であり、多くの人々の死を見て来た。

 そして今の地球の、日本の置かれた状況を肌で知っている。

 いらぬ手加減は無用、これで自衛官の道を辞めると言うならそれは無理からぬ事と考え、中央で構える。

 


 Side 黒川 さとみ


 見学者に与えらえたスペースで体育座りする長い黒髪の美少女、黒川 さとみ—―胸が大き過ぎて体育座りで膝の上に胸を乗せながら藤崎 シノブを見詰める。

 シノブと同じクラスメイトであり、シノブが異世界から帰還した直後のフューチャーテック事件で一気に距離が縮まり、恋に落ちた。


(絵面はアレだけど、シノブってこんな風になるんだ)


 シノブの強さは、さとみはよく知っている。

 前回の事件では五十m級の巨大怪人を空高く空中まで蹴り飛ばし、飛行して先回りして地面に叩きつけたりもした。

 ライドセイバーはただの頑丈なスーツであって、そこまでの便利なパワーアシスト機能はない。


 さとみはシノブの心配はせず、(相手の自衛官は大丈夫だろうか?)とか(仲間複数人掛かりで倒した魔王サウラスってどんだけ強かったのよ)とかアレコレと頭を働かせる。

 体育祭が終わった後ぐらいに自分もクラスメイト達ともどもシノブに稽古をつけてもらう約束(罰則の一環ではあるが)をしてもらっているが不安になってきた。

 だがそれでもシノブの傍にいられるならと思ってしまう。

 

「で? 実際のとこどうなの?」


 隣にいるおかっぱ頭で柔道着姿の少年、線が細く争い事とは無縁そうな感じの物静かな感じの少年、谷村 亮太郎。

 先程まで藤崎 シノブのアップに付き合っていたせいか、汗を流して呼吸が荒い。

 二人にしか分からない程の壮絶なやり取りがあったのだろうと思う。

   

「どう言う意味で尋ねているのかは分からないけど、心配はいらないよ。後れを取ることは無いし、誰も大怪我をさせる事もない」


 確信しているように語る亮太郎。

 

「あっ」


 そして事態が動いた。

 取り囲んでいた柔道着姿の自衛官がシノブを背後から襲い掛かる。

 だが後ろにでも目が付いているのか、シノブは背中を向けたまま綺麗に投げ飛ばされた。

 まるで事前に打ち合わせでもしていたかのように綺麗な投げだった。

 自衛官も投げられた事が分かっていないのか、その場でバッと起き上がり、周囲をキョロキョロと見渡していた。

 

 それを皮切りに次々と襲い掛かるが、次々と投げ飛ばしていく。

 自衛官達は皆、投げられた感覚が無かったのか、立ち上がって周囲をキョロキョロと見渡していた。

 引率の教官らしき男も両手で拍手をする。

 


 自衛官達と入れ替わりで今度は美少女二人が相手となった。

 王子様系黒髪女子、桜井 あきらと長い金髪ギャルのキャロル・アイビリーブ、赤いロングヘア―の女の子、火渡 レッカ、白髪白肌の美少女、リリナの四人。

 全員爆乳で美少女。

 男性達は羨ましそうに、女子達は嫉妬の視線を投げかけていた。

 男所帯の自衛官達もニヤケ顔になってしまっている。

 審判は谷村 亮太郎が務める事になった。


「おい、すげえぞ!?」


「何なんだあの子達!?」


「あれ人間の動きだよな!?」

 

 だが始まってみると四人の戦い方、動きのキレが素人のソレではない。

 何かしらの武術を嗜んでいるものだった。

 凄いのはシノブ。

 四人の動きを完全に捌いている。

 時間経過で四人の連携は良くなっていくがそれに合わせてシノブもギアを上げる。 

 徐々にだが軽い反撃に始まり、投げやカウンターの打撃が飛んでくる。

 それに反応できるだけでも四人は凄い。

 やはり常人とは違うのだとさとみは思う。

 

「まだアレだけ動けるのかよ!?」


「格ゲーだか無双ゲーじゃねえんだぞ!? 普通ならとっくにスタミナ切れだ!?」


「両方ともどうなってんだ!?」


 皆言葉を失って四人の奮闘を見守る。

 さとみもどちらかと言えば四人の方達を応援していた。

 あんだけ胸が大きくてもここまで動けるのかと感動したぐらいだ。

 キャロルやレッカも、見た目はギャルとヤンキー娘だが魔法少女(?)と宇宙刑事でもある。

 それ相応の戦闘技術はあるのだ。 


(と言うかシノブ全然疲れてないわね)


 ふとシノブの方に目をやる。

 ハンドレッドの事件の時、一日中暴れ倒したようなもんだが全然疲れていない。

 亮太郎と軽くアップした時に出た汗があるぐらいだ。

 更に凄いのはその場から全く動いていない事だ。

 四人の方は徐々に消耗していき、やがて一人、また一人と亮太郎から一本判定が取られる。

 


 次に1年A君、シノブや亮太郎、さとみの担任が出て来た。

 愛坂 メグミ。

 長いピンク髪で優しそうな顔立ちの爆乳美女。

 背もあり、体も鍛えられている。

 

「さて、1年A組の皆はこれから稽古つけてもらうから。勿論武器ありでいいわよ」


 男の教諭がリヤカーを引いて稽古場に現れる。

 リヤカーには結構な本数の100均で売ってるスポンジ棒が持ち込まれた。

 先端に輪っかがついた刺股まである。 


「ルールは簡単。誰か一人当てればいいから。罰則の追加とかは無しよ。シノブは敗けたら罰則追加だけど。シノブは柔道技しか使わないように言ってあるから」

 

 クラスメイト達は恐る恐る武器を手に取り、周囲を取り囲む。

 場の空気に当てられたのか皆真剣だ。 

 さとみもスポンジ棒を構える。 

 罰則で参加しているクラスメイトは半数以上。

 先程戦ってくれた爆乳美女四名、ジェイミー・ゴードン、少女Aこと現役アイドルの天川 マリネ、担任まで加わる。

 流石に亮太郎は参加していない。

 絵面が酷い。

 リンチもいい所だ。

 だが相手は不良五十人抜き、殺し屋を返り討ちにし、拳銃を持った強盗犯を瞬殺、熊を一撃で倒し、さきほど戦闘訓練積んでる自衛官達を投げ飛ばしきった高校生である。

 パワーインフレが進んだバトル漫画の主人公に戦いを挑むようなもんだ。

 

「では、はじめ!!」


 審判役を買って出た体育教師が開始の合図を告げる。

 早速クラスメイトの一人が背後から襲い掛かるが綺麗に投げ飛ばされた。

 特に痛がってる様子もない。

 まるで魔法のように襲い掛かった生徒達が次々と転がされていく。

 いっそ、そう言う超能力の持ち主とかの方がどれだけ救いがあったか。

 

(え? ああっ、私……負けたんだ)


 気が付いたらさとみも転がされていた。

 近づいて剣を振ったところまでは覚えている。

 特に痛いと言う感じはない。

 完敗である。 



 最後の締めは谷村 亮太郎だった。

 居合わせた自衛隊の教官や各武道系部活の顧問。

 柔道ルールを厳守で戦う事になった。

 ここから同格同士の戦い。

 黒川 さとみは固唾を飲んで見守る。

 他のクラスメイトや教諭や自衛官達、見学者の生徒達もだ。 


「何だこの緊迫感――」


「空気が凄く重い—―」


「バトル漫画の緊迫した空間ってこんな感じなんだ……」


 両者少し離れて、間合いを測りながらの戦い。

 闘気とか殺気とか—―二人からそう言う何かを感じる。

 二人からすれば遊びのような物かもしれないが、素人の自分達の目線から見れば壮絶な殺し合いでも始まりそうな空気感。

 

「えっ!?」


「はやっ!?」


「消えた!?」

  

 一瞬、両者の姿が消えた。

 互いに位置が入れ替わり、再び姿を消す。

 もはや自分達の知っている柔道ではない。

 まるで手品師のシャッフルのように激しく位置が変わる。

 二人とも宇宙人でもなく、異世界人でもなく、ある日突然スーパーパワーを身に付けたとか改造人間になったとかではない。

 異世界と言う特異な環境で死線を潜り抜けた結果がこれなのだ。


 最終的に戦いはドローとなった。

 時間超過で引き分けである。

 二人はそれを素直に受け止めた。

 


 Side 愛坂 メグミ


 =その後・運動場=


 琴乃学園の女子プロレス部は爆乳プロレス部とか言われててその筋では有名である。

 今の学生女子プロレスの人気を牽引している学校と言われて、関西圏なら間違いなく琴乃学園の名が上がるぐらいには有名になっていた。

 そんな女子プロレス部の顧問であり、女子プロレスラーでもある愛坂 メグミ先生も罰則を受けていた。

  

 先日のハンドレッド事件の罰則である。

 教師として止めねばならない女教師がクラスメイトと一緒に自衛隊の駐屯地で国家の存亡を懸けた世紀の一戦に参加したのだ。

 

 そんな彼女には罰則として二十キロの土嚢を背負っての十kmマラソンを行っていた。藤崎 シノブや谷村 亮太郎も同じく土嚢を背負ってマラソンをしている。

 幾ら女子プロレスラーでも堪えるハードなトレーニングだ。

 と言うか二十キロの土嚢とそれを背負う道具の一式は何処で調達したのだろうか。

 

「二十キロの土嚢抜きでもキツイわこれ……」


「大体一周で約三百mだから、一㎞で三と半分、そこにかける十して――」

 

「十kmに到達するには運動場を三十三週?」


「誰だこの罰則考えたの?」


 担任の愛坂 メグミが悪ノリして考えた罰則だった。

 最近教師業との二足の草鞋で体の鈍りを感じていたのもある。

 そこに谷村 亮太郎や藤崎 シノブが加わり、ガーディアンズの北川 舞まで話に加わってアレよアレよと言う間に参加者が増えて放課後マラソン同好会が誕生した。

 罰則として目に見えて分かり易い形なので誰も文句は言えなかった。

 今回は自衛隊員もニ十キロの土嚢付きでランニングしている。

 疲れた人間はシノブと亮太郎の手で回復させられて戦線復帰させられ、マラソンする前よりも健康的な体になってマラソンに励んでいた。


 更には武道系の部活の人間、陸上部に運動部の人間、体育教師までも混じっている。 

 琴乃学園は何時から体育会系の学校になったのだろうか。

 武道場とかあるし前々からか。


 流石にクラスメイト達には十キロマラソンはやらないようにしてある。

 一部生徒は土嚢背負って頑張っていたが。


 =日が落ち、夜=


 自衛隊員がまだ元気なのは分かる。

 そう言うお仕事の人だからだ。


 それよりもまだシノブや亮太郎はまだまだ頑張れそうだ。

 何気に現役アイドルの天川 マリネも疲れてはいるが、走り切ったのは凄い。

 爆乳美少女四人……レッカ、リリナ、キャロル、あきらも土嚢ありで走り切り、学生女子プロレスラーのジェイミー・ゴードンも土嚢二十キロ付きで十キロ完走した。

 これに負けじと運動部の皆も、琴乃学園の武道系の部活の皆も、教師も走り切った。

皆ランナーズハイと言うか、テンションがおかしくなってる。

 

何時の間にか北川 舞が冷えたスポーツ飲料を皆に振る舞っていた。

ハンドレッド事件で見掛けた顔である。

 お金持ちのお嬢様で、父親がPMC会社の社長でちょっと世話焼きであるらしいが、本当のところは分からない。

 谷村 亮太郎や藤崎 シノブに何者か聞いてもはぐらかされるが、知ったら知ったで手に負えないような人間なのだろう。


 せっかくなのでドリンクはキチンと頂いておく。

 今は十月。

 まだまだ残暑は続いている。

 もうそろそろしたら皆で体育祭の準備が始まる。  



 Side 藤崎 シノブ


 =翌日・早朝の琴乃学園武道場=


 早朝の琴乃学園。

 朝練に精を出す熱心な部員達。

 最近は警察関係者も出入りしている。


 担任の愛坂 メグミ先生は女子プロ部のコーチ。

 黒川 さとみも朝早くからシノブの手伝い、女子マネージャー業。

 昨日アレだけトレーニングしたと言うのに元気だ。

 

 ちなみに谷村 亮太郎は妹とその友人――日曜朝型に出て来るようなマジカル戦士らしくて、それの面倒を暇さえあれば見ているらしい。


 シノブは柔道着姿の警察官を綺麗に投げ飛ばし終えて一旦席を外し、考え事をする。


(……地球に逃げ場無しか) 


 有名なゲームで使われたフレーズだ。

 それが現実の物になってると言うのが今の地球だ。

 まず間違いなく今迄以上に戦いは激しくなる。

 その時に自分の友人や家族、さとみ達はどうなるだろうか?

 戦いは無慈悲だ。 

 そんな彼達に今から何をしてやれるだろうか。


(……思いきって琴乃学園に核シェルターでも作るか?)


 琴乃学園は谷村 亮太郎の手で魔導要塞と化しつつある。

 そこへ更に緊急時のために避難用シェルターでも作った方がいいだろうか。

 50m級の巨大ロボットがまた襲い掛かって来る可能性だってある。

 亮太郎が教室に来たら相談しようと考えた。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ