ハンドレッド編その14:その頃の日本橋
Side 天川 マリネ
=夜・大阪日本橋、オタロード内=
宇宙犯罪組織ジャマル。
少女A事件。
そして前回の日本橋の騒動といい、この街は騒動によく巻き込まれているようだ。
(皆無事だといいんだけど)
と思いながらマリネは避難誘導する。
特撮作品で例えるなら複数の組織の戦闘員が彼方此方に出現している。
警察官の数が絶対的に足りない。
混乱が混乱を呼んでいる。
それでも必死になってマリネは建物への避難誘導を開始。
日本橋は敵に取り囲まれているらしく、脱出不可能の状態。
ならいっそ建物に避難した方がいいだろう。
「少女Aさんも一度退避を」
「ええ」
メイド喫茶ストレンジの店員、毒島 リンカ。
紫髪のポニテールの黒いミニスカメイド服の女の子。
刀剣的な近寄り難さや顔立ち、目つきであるが美少女の部類の女子であり、銃火器片手に大立ち回りしている。
事態を一早く察知し、建物への避難誘導を呼び掛けていた。
とてもではないが、マリネには真似出来なかった。
それを何故だか悔しく思うマリネであった。
☆
Side 日本橋の人達
=夜・日本橋各地=
「こんな時でしか役に立てねえから、頑張らねえとな……」
日本橋の名物と化している茶髪の背のある体格のいい野性味が感じられる少年、工藤 怜治は手加減抜きでぶん殴る。
「この街にどれだけの戦力投入しとんねん。うち死ぬんちゃうかこれ」
その傍にはたこ焼きの藤波さん。
逆立った茶色い髪の毛に男勝りそうな整った顔立ち。
エプロンを掛けた状態で必死に相手を殴り倒す。
「殺し屋廃業してからこう言うの多いな……何してんだか」
殺し屋の宇藤 タツヤ。
スキンヘッドでサングラス。
大柄の大男。
商売敵の警察官を助けながらとにかく戦う。
「あーやばいかも。今回は本当に不味いかも?」
魔法少女系動画配信者のリオ。
長い緑髪に焼けた肌。
とんがり帽子にノースリーブのシャツにネクタイ、黒のコルセットに赤いミニスカート、黒のニーソックスにブーツ。
手にはメカニカルなデザインの魔法の杖。
景気よく魔法で吹き飛ばしたりしている。
たぶん今回も動画配信していて、とんでもない事になっているだろう。
『少女Aの事件もそうでしたけど、こう言う事件にどうして関わるんですかね!?』
『諦めろルーキー』
付与魔法が施された玩具の銃を乱射しながらサバゲーチーム、大阪日本橋バスターズは戦う。
今回も敵の量が多い。
魔法が付与されたBB弾が幾らあっても倒しきれるかどうか分からない程の数だ。
「いや~今度こそクビカナ? まぁ、この国が無事ならばの話だケド……」
ブロンドヘアーの大柄白人美女、ジェイミー・ゴードンも開き直って何時もの星条旗の胸の谷間と鍛え上げられた腹筋丸出しの派手なレオタードを身に包み、プロレス技を次から次へと披露していく。
主に打撃や投げ技主体。
余裕が無いのか、プロレス技で滅多に使わない打撃戦を行っている。
「生徒を守るためとはいえ、何をやってるのかしら……」
と、私服姿。
長いスカートの両側の裾を破って動きやすくし、ブーツも脱ぎ捨てて裸足で暴れまくる長いピンク髪の爆乳女教師、愛坂 メグミ。
本当は戦いに介入するつもりはなかったが、一般論を超越した異常な事態を前にし、教師としてではなく一人の人間として戦う事を決意した。
これが結果的にクラスメイトを助ける事になるのだろうと思ってだ。
現在はジェイミーと同じく、打撃や投げ技で相手を投げ飛ばしている。
だが次々と敵は迫りくる。
絶体絶命の状況だ。
☆
Side 黒川 さとみ
=夜・オタロード南側の雑居ビル1階アニメショップ=
この場に居合わせたクラスメイト達はまるでゾンビ物のように押し寄せて来る敵を各建造物内に民間人と一緒に立て籠って戦っている最中であったりもする。
黒川 さとみもそうした民間人の一人だ。
「敵の数が多過ぎ!? このままだと持たないよ!?」
近くのアニメショップのテナントが複数あるビルに逃げ込んだ黒川 さとみ。
傍には黒髪ツインテールの小柄な地雷系ファッションに身を包んだ地雷女子を演じている女の子、綾瀬 リリ含めたクラスの女子チームがいる。
入り口に次々と敵が押し寄せてきているがどうにか撃退している。
消火器で相手を怯ませた後に袋叩きする感じだ。
熊撃退スプレーとかスタンガンとか持ち歩いているクラスのオタク二人組、尾田 サトシ、守宮 イッペイの二人も果敢に戦闘員へ挑む。
ただの高校生が特撮物から抜け出て来たような戦闘員相手に戦うのは色々と間違いだろうが、そう言う話はこの戦いを生き残ってからだ。
「私にも何か出来るかもって考えたのが間違いだったかも」
などと思いながら汗を拭う黒川 さとみ。
かれこれ敵の戦闘員を何体倒したか分からない。
自然消滅するタイプやその場に残留するタイプ、メカっぽい奴までいる。
戦闘員を特撮物では端役だの前座だの、ヒーローを引き立てるための要員だと言われてるが、実際生身で戦ってみると恐ろしさがよく分かる。
そこらの一般人Aでどうにかなる相手じゃない。
(あっちはあっちで修羅場ぽいし、私達でどうにか切り抜けるしかないか)
藤崎 シノブと谷村 亮太郎の二人を思い浮かべるさとみ。
巨大怪獣とシノブが戦っていたのはニュースで見た。
あっちもあっちで修羅場なのだろう。
都合よく此方へ助けに来る可能性は低い。
☆
Side ヘレン・P・レイヤー
=メイド喫茶ストレンジ・星見の間=
ここは大阪日本橋、メイド喫茶の地下に作られた異界。
星見の魔。
高そうな赤い椅子に座る紫髪のボブカットの可愛らしい童女。
同じく紫色のベレー帽に紫色のロリータファッション系のドレス、黒のブーツ姿。
名をヘレン・P・レイヤー。
日本橋の支配者であり、日本の裏社会だけでなく日本の裏の裏の世界、魔術や魔法使いなどのオカルトサイドの実質的な支配者でもある。
「うーん今回ばかりはまずいかな?」
空間投影された四角いディスプレイ。
日本橋だけでなく、異空間に引き摺り込まれた人々の様子を映し出されている。
一早く事態を察知し、先手を打って建物への避難を呼びかけた。
今は持ち応えているが、戦いに身を置く人達ではない頑張りによるものだ。
何れは惨劇になるだろう。
「この立て続けの異常事態……アンゴルモアの復活も近いのかもね」
日本橋関連で異常事態が起きすぎている。
元々この世界の日本橋は事件が起きやすい土地柄だったが、最近はより一層拍車が掛かっている。
アンゴルモアの影響も考えられるが、他の別の影響も考えられるだろう。
「仕方ないか……」
と、ヘレンは日本橋で頑張る人達に手を貸すことにした。
あまり自分みたいな上位者が手を貸すのは色々とよろしくない事かもしれないが、それで大勢人が死んでしまっては元も子もない。
それにこの街が壊滅すると言う事は日本だけでなく、世界は滅亡し、全宇宙が混沌と破壊が渦巻く世界へとなる。
それ程までに恐怖の大王、アンゴルモアの力は強大なのだ。
(政府や自衛隊にも悪いことしたしね……ここらで謝罪しときますか)
宇宙犯罪組織ジャマルの事件。
突然巨大ロボットが飛来して自衛隊の駐屯地が全滅した事件は、まあ仕方ない。
ヘレンとて神ではない。
だが自衛隊の無謀な報復攻撃は想像だに出来なかった。
例えるなら中世ヨーロッパの軍隊が現代の軍隊に真正面から突撃するぐらいに無謀な行為だからだ。
それが分かっているから、ジャマルに屈したのではないか日本政府と言いたいところだった。
(それにもう動いている子達もいるみたいね)
日本橋には邪神や魔王もいる。
時折並行世界からライドセイバーだって来る。
自分達ですら把握できてない戦力はまだ居たりもする。
希望はまだある。




