ホラーなんて、よよよよゆうなんだけどぉ?
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お題メーカーにて
「お題:コックリさんをする」
「台詞:ホラーなんて、よよよよゆうなんだけどぉ?」
を引き当てたので、短編にしてみました。
お楽しみいただければ幸いです。
「ホラーなんて、よよよよゆうなんだけどぉ?」
わたし達以外の気配が無くなった教室で、三人で一つの机を囲む。
机の上にはひらがなの五十音表と、はい・いいえの文字、鳥居が一緒に書かれた紙と十円玉が一枚置いてあった。
夕暮れが近いせいか、僅かにヒタヒタと闇の気配がしてシチュエーションはバッチリだ。
だから、ちょっとだけ声が震えてしまっても仕方ないのだ。たぶん。
「余裕なら大丈夫ね。ほら、十円玉に指乗せて。
コックリさんが降りてきたら、一人一つずつ質問して……。
終わったら還ってもらう。わかった?」
いつもグイグイ引っ張ってくれるマユが仕切る中、コックリさんは始まった。
「ヒェ! ほ、ホントに動いてるぅ!」
三本の指で押さえてるはずの十円玉がクルクルと動き出す。
「とりあえず、私から行くわね? 私は希望の大学に受かりますか?」
マユの質問に、十円玉は『はい』を指し示した。
「お! やったね! 次、サキ行く?」
「う、うん。わかった。えーっと、ヒマリの好きな人は誰ですか?」
「何聞いちゃってんの?!」
わたしはびっくりして十円玉から指を離しそうになる。
なのに、指先は吸い付いたように離れなかった。
そして……。
すいすいと文字を綴る。
『さとう まさき』
「ひえっ!?」
そこには誰にも伝えたことのないわたしの恋心が暴かれていた。
「へぇ」
「あー、一年の時同クラだったもんねー」
三年間一緒のクラスだったサキが納得したように頷いてる。
「ほら、次はヒマリ。どうせならこの恋が叶うか聞いとく?」
マユの言葉に勾引かされた訳ではないが、なんとなく聞いてしまった。
「さとうくんへの恋は報われますか?」
四本の指を乗せた十円玉はグルグルと彷徨い……。
グルグルと。
グルグルと。
彷徨って……。
あげく、『いいえ』のところで止まった。
その結果に沈黙が落ちる。
重苦しくなった空気を払うように、明るい声が響いた。
「じゃ、じゃあ、最期の質問ね!
……ダレヲツレテイキマスカ?」
「……え?」
「え?」
「だれっ!?」
戸惑うわたし達を嘲笑うように十円玉はクルクルと紙の上を滑って……。
『サンニントモ』
『ツレテイクカラネ』
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真冬にホラー? と思いつつ、コックリさんと言えば! なお話にしてみました。
改めて、最後までお読みいただきありがとうございました!