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ポンコツ乙女は今日も歌う。  作者: のん


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番犬、離れたくない。


大変素晴らしい部屋を案内され、私はなんとか町長さんに笑顔でお礼を言い、速攻で胃薬を飲んだ。できる事ならこのまま逃げたいのが本音だけどそうも言ってられない。なにせラトさんはこれから自警団の人と話し合いに行くし‥。



ちなみにラトさんは隣の部屋だと言われて、ちょっと不満そうだったけどマキアさんに「すぐ隣だから!!」と言われて連れて行かれた‥。なんていうかその姿、完全に病院に連れて行かれるのを渋る大型犬そのものだった。



「っていうか、ドアが一杯だなぁ‥」



部屋をぐるっと見回すと、両側にドアがある。

どんな部屋があるのかな?と思って、街が見渡せる窓に近いドアを開けると、大きな白いバスタブにお湯が並々と入っている立派な浴室がある。え、温泉って、もしかしてこれ?!そろっと浴室に足を踏み入れると、大きな窓から燦々と光が差し込み、窓の外を見ると街並みが見渡せる。


‥すんごっ!!!


なるほど温泉好きの貴族が建てただけあるわ‥。

バスタブにそっと手を入れると、すぐにでも入れそうな適温だ。

もしかしてこれって、魔石で常に温度調節されてる感じかな?はぁ〜〜〜、そんなの前世でも電気代やらガス代を考えると、とてもできない所業だよ。



「すごいなぁ‥」



思わず呟くと、声が浴室だけあってよく響く。

昔の芸人さんが歌ってたお風呂の歌を思い出し、口ずさみつつ浴室を出て、あちこちある扉を開ける。


トイレや、洗面所、クローゼット。

その豪華さに部屋を見る度にため息をついてしまう。


最後に白い扉を開けてみると、違う部屋に繋がっている。

私の部屋は全体的に白っぽい部屋だけど、こっちは落ち着いた紺色に塗られた部屋だ。



「わ、こっちはシックな感じだ」



そう言って一歩み足を踏み入れると、右手に大きなベッドがあってその側に服を脱いでいる途中なのか、上半身裸のラトさんが目を丸くして立っている。



え‥?



「え、あ、お、お邪魔しました???」



慌ててドアを閉め、



「あ、あれぇええええ???!!」



思わず叫んだよ!!

なに?この部屋って隣の部屋と直通なの?なんで?!!

っていうか、人様の着替えている所を知らないとはいえ入って見てしまうとか!!かぁ〜〜っと顔が赤くなって頬を抑えてしゃがみ込んでしまうと、白い扉がノックされる。


えええ、ら、ラトさん‥しかいないよね。


そろっと立ち上がって、静かにドアノブを回すと、ちょっと照れ臭そうなラトさんが私を見つめる。ご、ごめんなさい!!着替えを覗こうとした訳ではなくて、どんな部屋があるかと思ってですね??そう説明しようとして、ラトさんに手を差し出すと、すぐに手を握ってくれてホッとした。



「す、すみません!まさか部屋同士が繋がっていると思ってなくて‥」

「ああ、それは大丈夫。それよりちゃんと繋がっていて安心した」

「へ?なんで?」

「すぐ助けに行けるし‥、それに、スズは俺の主人だから」

「ラトさん、それ絶対ペペルの乙女達の前では言わないで下さいね」



私はきっとメルフィラさん辺りに軽蔑の眼差しで見られると思うから。

しかしラトさんは私のそんな言葉を気にもせず嬉しそうに微笑む。頼む、番犬よ。言うことを聞いておくれ?


「ラトさん、仕事用に着替えたんですね」

「ああ、さっきの服だと動きにくいしな」

「それじゃあ一緒に自警団まで行きましょうか」


そう言うと、ラトさんは目尻を下げ私の手をぎゅっと嬉しそうに握る。

くっ、可愛い‥。い、いや、しっかりしろ私!!今は仕事!仕事モードだぞ!!そう心を奮い立たせ、ラトさんと手を繋いだまま部屋を出る。



と、丁度部屋の前にメルフィラさんが立っていて、



「あ、どうも‥」



と、挨拶をしようとしたら、ワナワナと震えたメルフィラさん。

目を極限まで釣り上げたかと思ったら、



「な、なんで同じ部屋から手を繋いでヴェラート様と出てくるんですの!!!」



ものすごい大きな声に、発声の練習すっごいしてるんだな!って感心しちゃったけど、違う、そうじゃない。誤解!!誤解です!慌てて説明しようとすると、


「まず手を離しなさい!!!」


ってすかさず怒鳴られ、ラトさんと手を離そうとしたらすかさず強く握り込まれて、手が離せない〜〜〜!!!!


「ら、ラトさん??手、手を離して下さい」

「ワン」

「ちょ、今は手を繋いでるでしょ?!」

「スズさん!!!ふざけないでくださる?!」

「ふざけてない〜〜〜〜!!!」


私の悲痛な叫びを聞いて、マキアさんが慌てて駆け寄り、



「こら、ヴェラート!番犬だからって調子に乗るな!」



そう言った途端、ビシリと空気が凍った。

‥あ、終わった。瞬間、そう悟った私は静かに目を閉じ、



「番犬って‥、貴方なんて無礼な扱いをしているの!!!!!」



すんごい声量を一身に浴びて、これくらい声量出るといいなぁ〜‥と、完全に現実逃避をした。




発声練習してる人の本気の声は窓ガラスを揺らす。

あとマイクぶっ壊れます。

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