番犬、絶対秘密!!
ラトさんに額にキスされたけども、あれからなんとか精神を保って家に帰り着いた私はすごいと思う。ブラボー!ハラショー!素晴らしい!と、自分で自分を褒めちぎり、ベッドに倒れこんだ。
‥けど、その隣でびっくりするくらいイケメンのラトさんがベッドで横になって寝てるけど。
「何か間違えてないかなぁ‥私」
うん、完全に間違えているような気がする。
小さく呟いて、ラトさんを見つめると目の端がぼんやり明るい。不思議に思って顔を上げると壁に掛けておいたコートのポケットの辺りがほんのり淡く光っている。結構明るいんだなぁ。
ニーナさんに頼まれた石は、明日届けようと話して玄関にまとめて置いたけど、そういえばポケットにしまった石はそのままにしてたっけ。不意に石の明かりを見て、さっき起きた出来事を思い返して、私はまた顔が赤くなる。
あの甘えたいって言って、キスするって‥、どんな気持ちでしたんだろう。私だったら、特にどうも思ってない人に額にキスなんてできないけど、もしかして今世のキスって外国並みのハードルの低さなのか?
外国って、割と知り合いでもキスする習慣あるし。
別に「好き」って意味のキス、ではないのかもしれない。
‥と、思わないと、呪いが解けた時に告白して「あれはそんなつもりでなかった」って言われたら、全私が四散爆発する。
もう一度、枕に頭をのせて小さくため息を吐く。
いっそ、私から先に「好き」って言ってみる?いや、ダメだ!!番犬として側にいてくれて、それだけでも有り難いのに、そんなつもりじゃなかったと断られたら、それこそ気まずいオブ気まずい。
じゃあ、ラトさんからは?
って、いやいや、ラトさんが私を好きだったらきっと真面目な人だし、普通に伝えてくれるだろう。でも、そうしないってことはやっぱり友情の延長みたいなものなんだろう。そう自分で納得して、毛布を顔まで掛ける。
呪いが解けたら。
そう思って目を瞑ると、あっという間に睡魔がやってくる。
どこかズキズキと「私のことを好きでない」事実から、目を逸らすように、逃げるように眠った。
そうして、翌朝。
ラトさんは早朝の見回りに、私は朝食を作ろうとしたタイミングで扉をノックされて、扉を開けるとそこには真っ白な毛皮のコートを着て、美女っぷりを遺憾無く発揮するニーナさんが立っている。‥そのコートどちらでお買い求めになったのだろう。
「おっはよ〜〜〜!!!」
「ニーナさん、おはようございます。すんごい早いですね」
朝早くニーナさんがやってきて目を丸くした。まぁ、ニーナさんだしなぁと思いつつ、家に招き入れると玄関に籠いっぱい入った石を見て、ニーナさんはニンマリ笑う。
「ありがと〜!これだけ沢山大変だったでしょ?」
「いえいえ、ほぼ頑張ってくれたのはラトさんで」
「あ、やっぱり?っていうか、昨日大丈夫かな?って思ってちょっと様子見にいったんだけど‥」
「っへ?」
やっぱり心配して来てくれたの?
でも会えなかったよね。
ニーナさんは、私を見てニンマリ笑うと小声で、
「なんだかお邪魔しちゃ悪い雰囲気だったから、そっと帰ったんだけど正解だったでしょ?」
え‥。
お邪魔しちゃ悪い雰囲気?
言われて、ラトさんに額にキスされたのを思い出して、顔が真っ赤になった。
「な、そ、そんな、ことは?」
「まぁまぁ。村の人と若いっていいよね〜って話してて楽しかったしさ〜」
「待って!??村の人って!!!??」
「え、村の人達だよ?星拾いはここいらの人達は結構するからね」
サラッと言われて、私は体が固まった。
ちょ、ちょ??てことは、村の人達が見てたってこと??
口をパクパクさせていると、ニーナさんはニンマリ笑って、
「大丈夫!ちゃんと皆、遠慮しておいたし、帰ってから星拾いしたから」
「わぁああああああああああああ!!!!!!」
見られてたーーーー!!!??
村の人に???
ぎゃああああああ、なにそれ!!なんだそれ!!
なんで遠慮??いや、そこは堂々と顔を出してくれよぉおおお!!!
「お、お嫁にいけない!!!!」
「あっはっは!スズは面白い事言うね〜〜!!」
私の叫びにラトさんが驚いた顔で家に戻ってきて、慌てて駆け寄る。
「ワン??ワン、ワン??」
「う、ううう〜〜〜、もうラトさんのせいだ〜〜」
「ワン!???」
ラトさんは私の言葉に目を見開き、大爆笑しているニーナさんに説明を求めたけれど、ニーナさんそれもう絶対言わないで。恥ずかし過ぎて、当分村に行きたくないから!!!
村の人達はちゃんと空気を読んで、離れた場所で
「若いっていいわよね〜」とか
「クッキー持ってきたけど食べる?」ってやり取りしてたし、
ラトさんのお耳はちゃんとそれを拾っていたという‥。(内緒ですけど)




