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ポンコツ乙女は今日も歌う。  作者: のん


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番犬、星拾いと願い。


ニーナさんに頼まれた「星拾い」当日!

早めに夕飯を食べ、暖かいコートを着て、バケツに網にタオルに大きな籠、それからえーと飴とか、お菓子とか、お茶とか色々用意してカバンに詰めて、早速ラトさんと手を繋いで池まで歩いて行く。


今日は曇りだったので、夕方のはずが、大分薄暗い。

ランタンを照らしつつ、一緒に歩いて行くけれど、一人で池に行くとか確かにこれは嫌だなぁって思ってしまう。息を吐くと、白い息に変わって‥、寒さが厳しそうだなぁ〜と思わず身を縮こめる。



「寒いか?」

「へ?あ、いえ、大丈夫ですよ。しっかり着込みましたからね」

「そうか、無理しないようにな」

「‥そのセリフ、丸ごとラトさんに返しますよ」



私の言葉にラトさんが小さく笑って、私の手をギュッと握るけど、それも本当に心臓に悪い。これで、告白でもして断られたら、私は再起不能決定である。


そんな事を考えつつ、林を抜けて、以前魔物が出た池にやってくる。

と、ほんのりと池の底が光っているのが遠目から見てもわかって、私はラトさんの顔を見上げると、小さく笑って頷く。


「今日から光るのをニーナさんはちゃんとわかっていたんだな」

「すごいですね!でも、なんで?」

「占星術も嗜んでいるらしい」

「‥あの人、何気にすごいですよね‥」


常にスリルとサスペンスを求めるとんでもない人だけど、考えてみたら獣人の国の石とか、呪術の解析とかしちゃってるし‥。



私とラトさんとで池のそばまで行くと、池の底で石がチカチカと光っていて‥、



「本当に星みたいだ‥」



水面が揺れる度に、光も揺れて、幻想的な光景に魅入ってしまう。

綺麗。こんなに綺麗な景色を神殿にいたら見えなかった。

左遷されちゃったのはちょっと寂しかったけど、こんな景色を見られるならラッキーだったなって今なら思えるな。


「ラトさん、綺麗ですね」

「ああ、綺麗だな‥」


ラトさんの頬に、石の光が当たってほんのりと色づいて見える。

うーん、ラトさんが綺麗だわ。


「じゃあ、早速拾ってみるか」

「はい!」


網を改良したラトさんが、水の中に網を入れて、光る石を掬って上げてくれたのを、持って着たバケツに入れてみると、さっきよりもしっかり光っている石に目を見開く。


「綺麗〜〜〜!!これを拾わないとか、勿体ない!!」

「そうだな‥。魔石は便利だけど、これは綺麗だ」

「これ、光らなくなちゃう事あるんですか?」

「大体一年が寿命だ。だから、また同じ場所に戻す。そうすると、次の年にまた光る」


へ〜〜!!不思議!!

でも、何度も使えるって事?

それなら魔石よりずっとお得な気もするけど‥。と、ぴゅうっと冷たい風が吹いてきて、体を縮こませる。‥うん、でもこの寒さに耐えて拾うのは確かに辛いかも?



「スズも拾ってみるか?」

「はい!!やってみたいです!!」



私の良い返事に、ラトさんがおかしそうに笑って‥、網を手渡してくれたので、早速池の底に網を入れて石を掬ってみると、小さいのから大きい石まで結構取れた。


「みてみて!ラトさん、綺麗!!」


ラトさんはちょっと笑いつつ、バケツを差し出してくれたのでそこに早速石を入れる。幾つもあると、光はさっきよりも強く感じる。


「本当に星みたいですねぇ」


私の言葉にラトさんがコクコクと頷くと、手をギュッと握る。

なんだか同じ気持ちだと言ってくれているようで、嬉しくなる。



「なんだか星の歌を思い出します」

「星の歌?」

「えーと、私、一応前世持ちでして?」

「ああ‥、乙女達がそう言っていたな」

「‥あの子らは‥。まぁ、はい、それで前世で星の歌があって、それを思い出したんです」

「そうか、スズの以前いた世界の歌はどれも素晴らしいが、星の歌まであったのか」



不意に以前の世界の私を褒めてもらった気になって、嬉しくて頬が緩む。


「まぁ、私が作った歌じゃないんですけど、そう言って貰えると嬉しいです」

「星の歌とは、どんな歌なんだ?」


ちょっとワクワクした顔で見つめるラトさんに小さく笑って、

小さな頃に歌ってもらった、星の歌を歌う。



シンと静かな池の周りで響く私の声と、星の歌。

綺麗な星を、いつまでも見ていたい。

できればラトさんと見ていたい。



ちょっとだけ、願うようにそう歌うと、バケツの中の小さな石が一際キラキラと輝いた。


「あれ?なんか、これだけすごく明るい‥」

「‥スズの歌に感動したのかもしれない」

「ええ〜〜?そうかなぁ‥」


でも、それならそれで嬉しいかも?

ラトさんはその一際光る小石を取ると、タオルでそっと水気を拭くと私に手渡した。



「拾った石は一つだけ願いを叶えてくれるそうだ。きっと叶う」

「そうなんですか?!」



それ、初めて聞きましたけど??

そう思いつつ、手の平でキラキラと淡い暖かな光を見つめて、そうなったらいいなと思った。できたら、ずっとラトさんと。そう願って、そっとポケットにしまいこんだ。




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