番犬=守護騎士。
あの後、部屋でラトさんの頭を撫でてたら、乙女達と神官の爺ちゃん、マキアさん、ニーナさんが流れ込んできて、それはそれは心臓が飛び出したけど、私は元気です‥。
パトの神殿は上へ下への大騒ぎになったけれど、私達は神殿にそれぞれ帰ることになった。確かに私達ができることなんてないしなぁ‥。
私と乙女達は案内してもらった部屋へ、よろよろとした足取りで進むと、ソファーにぐったりと寄りかかる。魔物に、事情聴取にと‥つ、疲れた‥。それは乙女達も同じようで、それぞれソファーやベッドにぐでっと寝転んでいる。
「つ、疲れた!!!!」
「っていうか、まだ衣装さえも脱いでない‥」
「化粧落とさないと、明日やばい‥」
「え、これ、明日どうなんの?」
皆、ボソボソと話しつつ顔を上げる。
うん、流石にもう元気がないよね‥。
「そういえばニーナさんは?」
「調書終わった途端に街へ村長さんと飲みに行くって出かけた」
「すごいなぁ〜〜。ってか、私エルフ初めて見た!」
「前世では漫画で見たけど、今世で見るとは思わなかったわ〜」
皆、ちょっとずつ前世の記憶を持っているからか、なんだか感慨深いらしい。まぁ、実際会ってみると結構ファンキーな感じな人なんだけどね。飲んだら先に帰るって言ってたけど‥大丈夫なんだろうか馬車の運転。色々考えるけれど、疲れ切ってため息しか出ない。
シンと部屋が静まりかえると、乙女の一人が私を見つめる。
「スズ、本当に歌上手になったね」
「え?」
「それにあの鳥!神様の使いが花を持ってくるとか!」
「あ、ああ、そ、そうだね」
「いつもは茶柱しか立たなかったのに、‥奇跡って、一体なんなんだろね」
「‥確かに」
前世の歌を神殿で歌っちゃダメって言われてた事と何か関係あるのかな。
でも冬の歌を歌ってた時も白い鳥はきたし‥。
ダメだわからん!!ソファーの上で頭を抱えた私を乙女達はニヤリと笑う。
「あとヴェラート様の手を繋ぐと話せるとか、ものすごい奇跡じゃん」
「あ、あれは‥。でも、私限定じゃ意味がないというか‥」
「でも、話せるだけでもすごいんでしょ?」
「そ、そうらしいけど‥」
皆はニヤッと笑って「そうだよ!」と言ってくれて、それだけでなんだか胸が暖かくなる。
と、ドアがノックされ、返事をするとラトさんが顔を出す。
あれ?何かあったのかな?
急いでソファーから体を起こしてラトさんの方へ行くと、嬉しそうに微笑んで私の手を握る。
「‥明日、村へ帰る手筈は整えておく。今日は乙女達と休んでくれ」
「あ、は、はい!」
返事をしたものの、ラトさん一人で寝られるの?
つい心配になって私がラトさんをまじまじと見つめると、ラトさんは眉を下げて微笑む。
「大丈夫だ。明日は一緒だし」
「ら、ららららラトさん!???」
ちょ、シー!!乙女達が耳をそばだててるから!!
「‥本当に困った守護騎士です‥」
思わず呟くと、ラトさんはふっと小さく笑う。
「スズの番犬だ」
「‥‥言っておきますけど私、ポンコツですよ?」
「スズは十分すごい。あの場でスズや乙女達が歌ってくれたお陰で助かった」
あ、ああ、歌っちゃいましたね。
思いっきり前世の歌‥。あとから神官の爺ちゃんに怒られないかな?って思ったけど、そういや怒られなかったな‥。チラッと後ろで耳をそばだてている乙女達を見ると、ラトさんの言葉に乙女達も嬉しそうに微笑んでいる。
ラトさんは私の手をぎゅっと握ってから、そっと離すと、
「ワン」
「いや、だから言って。言葉で言って」
おやすみって言ったのかな?
そう思って、「おやすみなさい?」って言うとラトさんは小さく笑って、私の頭をそっと撫でると手を振って廊下の向こうへ行ってしまった‥。な、なんだったんだ?不思議に思いつつ、ドアを閉めて乙女達の方へ向き直ると、皆がニマニマして私を見てる。
しまった!
乙女達がいたのに‥!
「さて、じゃあ夜通し騒ぐか」
「私、お菓子持ってる!」
「じゃあ、お風呂入ったら食べようよー!」
「いいね〜、今日は寝かさないぜ!」
‥いや、寝ましょうよ。
反王族派はどうにかなったけど、ラトさんの問題は何一つ解決してないのに、そんなことしている場合なのか?
そんな事を思っていると、ふと窓を見ると窓の外で白い鳥が一羽窓からこちらを見ているのを見て、なんだかそれが「もう大丈夫だね」って言ってるようで‥。でも、待って神様??ラトさんの呪いを忘れてます!!そこ、肝心な所ですよ〜!!
思わず心の中で叫んだけど、無情にも飛び去ってしまったのだった‥。
乙女達のお菓子はどこから?
もちろん守護騎士からがめました。




